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    れん月さくら

    @RengetuSakura
    !成人済 ♡GLNLBL♡ !腐 男女問わず主人公受固定派 love:HQ!宮日侑日治日 オバロ骨愛され 吸死ドラ受固定 現代版英国探偵/S BC右 BCキャラ右 セカフェリ JOJOジョナ受け SS銀受け 気分屋

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    れん月さくら

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    オバロ二次創作小説
    マジでびっくりしたんですけど書いたのも忘れてたし話の展開とかオチとかどうするつもりだったか全部忘れました。

    #オーバーロード
    overload
    #至高の御方
    theSupremeBeing

    其は墓の中全てが真っ赤になり、そして、黒く沈んだ。何も実らず、何も成らず、死だけが量産された殺し合い。
    バケモノを退治した英雄達の眼には色濃い宵闇が映り込み、光を殺すばかりである。
    その戦の名は報告書にて、ナザリック地下大墳墓掃滅戦と名付けられた。


    流れる汗が見開かれた眼に入ろうとしていることに気が付き、人間は己が息を乱していることをやっと自覚し動揺した。その汗が灼熱の炎による熱で生まれたのか、内臓を撫で回されるような不快感から生まれたのか、その人間の戦士には、判断はつかなかった。
    地下深くにあったそこは、まさに炎獄。まるで生きたまま地獄に辿り着いてしまったかのような、昏く燃え盛る痛みと死の蔓延る場所だ。
    「が、あっ……!!」
    「前列後列交代!!」
    右肩の鎧の隙間を爪のような刃物で貫通され、剣を握れなくなった前衛の兵士が指揮に従い後退する。負傷兵を守るため一歩出た二名のうち一人が振り下ろしたメイスが、山羊頭の悪魔の角をとうとう折った。
    「ッ! ウルベルト様!!」
    「おのれ、人間風情めがッ」
    「戦線を崩すな!!」
    飛び出ようとした悪魔達が、ギリッと歯軋りして踏み止まる。切り裂かれ汚れきったオレンジ色した派手なスーツの悪魔の見開かれたその眼からは、ギラギラ輝くダイヤモンドが覗く。その背後で蠢くマグマが、怒りを表すかのように吹き上がった。
    「っ、糞」
    「まだ死なねぇのか、この悪魔共……!」
    負傷兵が下がり代わりに前へ出た後衛だった兵達は、自身と心臓が怯えているのを確かに感じていた。
    目前にいる悪魔は角は折れ、手袋の指先についた長い爪のような刃物は既に何本かが無くなり、頭から蹄の先まで血塗れの状態なのにだ。その背後や周りを固める異形のバケモノ達も似たような有り様で、後少しで仕留められるだろうと確かに感じられる。それでもやはり、人間達は不愉快な気分だった。
    彼らは、相対する悪魔から子供のように泣き叫びながら逃げ出したい気分だった。
    しかし戦況は、誰がどう見ても人間の戦士達の方が有利である。ズタボロ状態のバケモノと、多少の疲労は見えてもまだ戦える兵達を控えさせる人間達。いずれ死に絶えるのがどちらなのかは、明白だった。
    そして実際に、強さも、総戦力数も桁違いだ。ナザリック地下大墳墓という相手の土俵での戦いだが、補給も応援も来ない相手と違い人間の援軍は続々と近くの王都よりやって来る。そのうえ奇襲を仕掛けたのは人間達側で、バケモノ達にとって戦は青天の霹靂のことなのだ。
    「バケモノ共を皆殺しにしろ! 我ら、王都神聖軍がこの世界の盾であり、剣だ!!」
    士気が下がってきたのを感じ取った指揮官が発破をかけ、兵達が雄叫びを上げて前進する。
    偉大なる勇者の末裔や、人間の守護者として代々魔族を狩り尽くして来た一族が率いるその王都軍は、他の都市や国なら将軍として活躍できるであろう者達を配下に従えた絶対不敗の軍隊である。
    「は、鬱陶しいなぁ、デミウルゴス」
    それなのに、人間達は目前の敵に怯えていた。
    ダークドラゴンの討伐、何万に及ぶアンデッドの討滅戦、復活した古の魔将とその配下達との熾烈な戦い、その全てに打ち勝ち生き残ってきた兵士達皆が言いしれぬ気持ち悪さと不安感をどうしても拭えずにいた。
    まるで沼にはまったかのように重い足をじりじりと前に進める兵士達の前で、角の折れた悪魔が後ろへと急に下がり他の悪魔と入れ替わる。その様を見て兵士達は安堵した。やっと見せた敗者側らしいその姿に、兵達の士気が僅かに持ち直される。
    もしかしたら逃げ出したのかと、そう思いたい人間達はつい気を緩めてしまっていた。
    しかし、後方上空から冷静に戦線を見詰めていた指揮官は下がった悪魔が何かを飲み干しているのを見止め即座に声を張り上げる。
    「防御しろ!!」
    「〈朱の新星〉!!」
    咄嗟のことであり、また、敵がもう魔法は使えなくなるほど弱り切っているのだと思い込んでたこともあり、その一撃による被害は甚大なものであった。防御が間に合わず、元々ダメージを負っていた兵士達のほとんどは命尽きてしまう。
    しかし、それは全体の戦況変えるほどの特別な一撃ではない。次の部隊がまた現れ減った分はすぐに補填されるし、先へと進んだ将軍達が敵将の首を討ち取れば人間側が勝利である。優劣は、何も変わらないのだ。
    指揮官は、生き残った兵士達は、冷静に思考を働かせ常の通りであろうと努めた。決して、感情に支配されないようにと。
    「は、はは、ハハハハッ!! やっべーな、デミウルゴス! なけなしの超レアアイテム使ってあれだけしか死ななかったぞ!」
    「いえ、なかなかの数で御座いますよ、ウルベルト様」
    「そうかそうか。それじゃあ、もっと殺そうか! 第七階層の悪魔共! 殺せ! 殺して殺して殺しまくれ! ハハッ、ハハハハッ!!」
    笑っている。
    どの悪魔も、笑っている。
    死ぬまで戦うこと、否、死ぬまで殺せることに心から喜んでいる。
    援軍は来ない、ジリ貧で、既にボロボロで、確実にこれから殺されるであろうに、ずっと笑っている。ずっと殺しの手を緩めない。子供が一つの遊びに夢中になるように、殺して、殺して、殺そうとしている。いずれ死ぬその時まで、全てを。
    「う……、おげえええ!!」
    とうとう誰かが吐き戻してしまうが、誰もその兵士を咎めなかった。ここまで圧倒的に不利な状況で命乞いも降伏もしない集団など、気持ち悪くて仕方ない。誰もが無言で、その悍ましさを共感していた。その気持ち悪さに対する不快感に、賛同していた。
    死と狂気しかない燃え盛る地下より、彼ら兵士は唯の一人の人間として立ち去りたくて仕方なかった。
    「はい、さようなら」
    ヒュンッ。
    「え、」
    「え?」
    後方にいた指揮官の頭部が、彼が跨っていた天馬から落下する。少し遅れてその首から下も地へと崩れ落ち、天馬は光の粒となって消えた。
    指揮官が死んだ事実に精神面での限界を迎えた兵士数名が叫びだし、隊列を離れ脱兎の如く逃げ出した。錯乱している仲間を呼び止め思わず追いかけようとした者達に、さらに待ったの声がかかる。
    「前を見ろ!!」
    「悪魔の群れだ!!」
    突如どこからか現れた無数の悪魔達は、一体一体は弱いがその数が厄介な敵であった。指揮官が死に、隊列も乱れた兵士達は苦戦を強いられてしまう。
    そのすきに、乱入者達はウルベルトの傍らへと着地した。
    「やっほー、ウルベルトさん、まだ生きてたんだね」
    残った片腕を振り軽口を叩く堕天使と、疲れた様子を隠さない鳥人間に、山羊頭の悪魔も軽口を返す。
    「なんだ、お前達もまだ生きてたか」
    「どーもおかげさまでー」
    「さすがのるし★ふぁーさんも真面目に戦ってるよ」
    同じくズタボロな姿のペロロンチーノとるし★ふぁーの様子に、ウルベルトは上の階層がどれほど酷い有様なのか察することができた。
    「あー……、たぶん上はたっちさん以外全員死んだよ」
    「チッ」
    「いやいや舌打ちはさすがに草だから。つーか、たっちさんマジやべぇよ。もうMPも何もねーのにガチの格闘技能力だけで地表で殺しまくってる」
    「ふん、こっちも似たようなものだ」
    「ウルベルトさんって燃費悪いもんね。ぶっちゃけもう死んだかと思ってた」
    「五月蝿え」
    「あ、つーかヤバイ」
    るし★ふぁーの視線の先では、生き残った兵士達が隊列を整え直しており着実に悪魔達を屠り始めていた。後少しで数多の下級悪魔を殲滅し終えるであろうことは、火を見るより明らかであった。
    「50~100レベぐらいの奴らうん万人で袋叩きとかマジでイジメだよなぁ……」
    「将軍とか呼ばれてたイベントボスみたいなの何人かブッ殺しただけでもう限界つーの」
    「ああ、いたな、そんなの。殺したわ」
    「あ、ごめん。それ上で逃した奴らだ」
    「気にするな。俺らもだいぶ取り零して下に行かせちまった。下も同じような地獄だろうよ」
    愚痴りながらも残り僅かな装備品とアイテムを装備し直し、互いの手札をウルベルト達は見せ合う。貧相な手札にボロボロの体、余儀なくされる普段とは違う戦闘スタイル。
    指揮官を失くして尚生き残った部下の中で優秀な人間が立て直しを図れる軍隊を相手取るには、あまりにお粗末なそれに異形達はとうとう吹き出し肩を震わせて笑ってしまう。
    「あっ、ちなみに俺達もMPないんだよね~」
    「ナイフで指揮官の首を切り落としてた時点で期待はしてねぇよ」
    嘆息して肩を回しながらウルベルトは先程のことを思い返す。
    天馬に跨る敵の指揮官を左手から現れたるし★ふぁーが注意を逸らせて、その隙に背後からペロロンチーノがナイフを投げるという作戦とも言えない行動。ともすれば落下していたのは、るし★ふぁーかペロロンチーノ、はたまた両者の首だったかもしれないような行為だ。
    「……デミウルゴス、まだ手足は動くな? 爪はまだ全て折れてないな?」
    「は、まだ戦えます、ウルベルト様。この手足千切れようとも最期までこの身は御身のお傍に」
    にやりと笑うウルベルトとデミウルゴスに、ペロロンチーノが羨ましそうに視線を送る。
    「ねえ、シャルティアに土産としてアイツらの首持って行きたいんだけど」
    「それいいね、ペロロンチーノさん。地獄での手土産にピッタリって感じ」
    向かって来る敵の軍を眺めながら、彼らは軽口を交わし続ける。最早ここまでくれば一蓮托生。さいはとうの昔に投げられている。
    殺して殺して殺して殺して、ゲームオーバーまで殺し尽くす。
    「──それじゃ、殺すか」
    異形達が笑い、人間達は歯を食いしばった。


    駆け込んで来た伝令のその顔が、運び込まれたのが吉報ではないことを証明していた。テントにて待機している将軍二名の眉間のしわが、また一層深くなる。
    報告内容は、戦況とそして死んだ将軍や指揮官についてだ。死亡確定とされた者達の名前が読み上げられていく度に、空気が凍るようだった。
    「っ、糞!! だから私は、この戦には反対だったんだ!」
    最奥でテント内唯一の椅子に座っていた男が堪らずといつた様子で立ち上がり、声を上げる。男はこの戦──ナザリック地下大墳墓奇襲作戦における総指揮官であった。
    「卿、落ち着かれよ。そして御自身の御立場と、今ここは戦場であることを思い出されよ」
    「分かっている! 鎮圧の完了した上層の負傷兵と指揮官は撤退、地表のバリケード作成を急がせよ! 下層にさらなる援軍を送れ、王都にも援軍要請を伝令!」
    男は怒鳴りながら指示を繰り出し、そして周囲全域の索敵を担当する将軍に顔を向けた。女がふるりと首を横に振るのを見て総指揮官の男は伝令に退室を命じる。伝令は震える声で返事すると、青褪めた顔で逃げるように出て行った。
    「……貴殿が怒り狂うのも仕方ないな。既に我々は予定以上の被害を出している。かなりの痛手だ」
    伝令が立ち去った後に三人きりとなった部屋で先程は総指揮官を諌めていた男が愚痴をこぼし、嘆息する。
    「この戦で一体何人死ぬのか……。しかも我々の切り札とも言える者や、その後継の者達ばかり……」
    どかりと腰掛けた総指揮官の男は、重たい息を長々と吐き出す。
    男は、この戦には反対だった。
    なぜなら男は、ナザリック地下大墳墓に初めて偵察を行った部隊の隊長であり、その後ナザリック地下大墳墓の者達との交流を多く行った国使の代表でもあったからだ。
    今まで見てきた魔物達とは違い知性と理性があり、そして仲間を想う彼らに対して、刃を向ける必要性を男は感じていなかった。
    彼らは、話し合いの場と相互に利のある契約を求めてきた。双方にとって良い形になるようにと、話し合いによる解決を求めてきたのだ。そのうえ初めは、不本意とはいえ王都近くに転移してしまったことの謝罪と貢物まで用意してくれていた。それはそれは立派な調度品はどれも繊細な造りで美しく、知らない食べ物は衝撃的な程に美味だった。
    ナザリック地下大墳墓のことを一国として扱ってもおかしくないほどの相手だと、男は判断していた。対話ができるのならば、無駄に血を流したくないという思いもあった。
    だが、結局のところ上が出した決断は殲滅だった。人間ではないならば、全て滅ぼすべし、といのがこの国の総意だったのだ。
    「話し合いと契約を求めてきた相手に奇襲をかけ、殲滅せんとする我ら……どちらの方が人間らしいのやら」
    項垂れる男の肩に、手が乗せられる。
    「総指揮官殿、今はまだ仕事中ですよ。愚痴は全て終わった後の酒場でしなされ」
    「ああ……そうだな」
    将軍が視線で指し示す大きな机上に拡げられた地図を一瞥し、総指揮官の男は立ち上がる。そして、地図上にあった駒をいくつか動かし、そして片付けた。
    「これで、至高の御方と呼ばれる者達の首級は三十個目か。この三十の首に払った対価と、残り八名に支払う対価を思うと愚痴を吐きたくはなるな」
    横たわる赤い三十の駒の山をガラリと崩し将軍は地図を睨みつける。
    「あぁ、それに今までの報告から考えるとタブラ・スマラグディナ様を討ち取ったとしても戦意が衰えるとは思えない。やはり全員討ち取るしかないのか……」
    「タブラ・スマラグディナ……。我らの王のような立場の者、でしたか」
    「そうだ。我らと同じような仕組みだな。議会が話し合い、王が専決される。ナザリック地下大墳墓という組織も、三十七名の至高の御方が話し合い、最終決定はタブラ・スマラグディナ様が行われるそうだ。ただ、彼らの場合は多数決が基本的な決定方法らしい」
    地図の中、第九階層と書かれた部分を男は指先でなぞる。
    「賭け事だろうが何だろうが、多数決だと仰せだったな……」
    まるで懐かしく大切な思い出を語るかのような総指揮官の肩に、将軍の大きな手が置かれる。
    「先程から随分と、敵を敬い、大切そうに語られますな、総指揮官殿。私は貴殿にそのお立場を思い出されよと、伝えたはずですが?」
    ひやりとした言葉と眼差しに先程まで僅かに目尻を下げていた総指揮官の男は、ぎくりとする。
    「貴方は昔から考えが甘い。あのような異分子と本当に和解の道を考えられていたとは、いくら貴方といえど、王と議会の決定に従うだろうと考えていた私の方がよほど甘かったようだ」
    「しかし、彼らは──」
    「今更和解の道など有り得ぬ!! 我らは今までも、そしてこれからも人間を守るために在るのだ!! 今更、モンスター共との和解の道など提示されても、それは世界を混乱させ破滅させることにしかならぬ!!」






    崩壊という言葉がとても似合う有様だった。
    「なぁ、酒呑んじまわねぇか?」
    「馬鹿、何考えてる」
    「お前だってやってらんねぇだろ。あの噂、聞いてねぇのか?」
    「……今回の給金がしょぼくなりそうってマジなのかよ」
    「なんでも、思ってたより金目の物が無かったって話だぜ。上質な布とか装飾の金とか宝石とか頑張って掻き集めたけど、死んだ数と見合わねえってさ」
    「あー……、遺族や棺桶に片足突っ込んだ奴らと違って後方控えで後片付けやら見張りやらの雑用係の俺らに払う分はろくにねぇって訳ね」
    「そうそう、だから緩くやろうぜ。これが終わったら終わったでどっかのモンスターの群れ殲滅してこいってなるだろうしよ」
    「あー……それもそうか。すげえ死んだもんな……」

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