【ヴェラン】「Was Kätzchen nicht können」Was Kätzchen nicht können
ランちゃんに「急ぎで頼みたい」と任された書類を持って、騎士団長の執務室を訪れる。
いつも通りの回数をノックして、「入ってくれ!」と親しみのある返事を聞いてから、扉を開くと、白いものが柔らかい感触をすり寄せて通り抜けていく。
「おっ、ムート! 出勤ごくろうさまー!」
声をかけるとムートは「ニャー」と返事をして、尻尾をひと振り、書庫へ向かって軽やかに歩いて行った。
ムートは俺とランちゃんが面倒をみている白猫。俺たちが仕事中は、ムートも「書庫番」という立派な仕事をしてるんだぜ!
午前中はランちゃんの執務室で日向ぼっこをしている時が多いけど。
「ムートが移動したってことは、そろそろ昼か」
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