深イチ未満。ふたりとも２年生で、同じクラスという設定でお願いします。
最近流行のポケ〇ンの影響で「サトシ～」と呼ばれることが増えたｲﾁﾉｻﾝ。
※年代的に被ってるかやや微妙なところですが…


「……なんだベシ、今の」
「流行ってるだろ、ポケ〇ン」
「ああ……」
「アニメの主人公の名前がオレと同じなんだよ」
「ベシ」
「……興味なさそうだね」
「よく知らないベシ」
「オレもそんなに詳しくないけどね」
「……サトシ」
「やめて。……名前で呼ばれるの、好きじゃないんだ」
「……ごめんベシ」
「好きじゃないっていうか……今は、だけど」
「？」
「みんな流行に乗じて呼んでるだけだろ」
「……」
「べつに、悪気があるわけじゃないと思うけど」
あんまりいい気分じゃない、と答えたｲﾁﾉｻﾝの横顔をじーっと見てるﾌｶﾂｻﾝ。

以降、教室でクラスメイトからふざけて「よっ、サトシくん」と声を掛けられた時にﾌｶﾂｻﾝがその場にいると「その呼び方、やめるベシ」と言われてみんなちょっとびっくりする（ｲﾁﾉｻﾝも
「え、なんで？」
「イチノが嫌だって言ってるベシ」
「……深津、別にオレは」
「あー……ごめん、イチノ」
「悪かったよ、そういうつもりじゃなかったんだけど」
「いや……大丈夫」
「イチノをサトシって呼びたいならシゲルを連れてくるベシ」
「ぶはっ、それもそうだな」
「ウチのクラスにシゲルっていたっけ？」
「予鈴鳴ったベシ。席着けベシ」
「うわヤベ」
「イチノ、ごめんな」
「あ、うん」
みたいなことがあってほしい…


「……深津」
「ベシ」
「あの……さっき、ありがとう」
「何もしてないベシ」
「うん」
「……」
「……」
「……オレは」
「ん？」
「名前の漢字が好きベシ」
「カンジ？」
「サトシの漢字ベシ。『聡明』の聡、聡い……」
「ああ、漢字ね」
「イチノに合ってるベシ」
「そんなこと、初めて言われたよ」
「……」
「人に名前の漢字聞かれても『耳、ハム、心』って説明してたし」
「……ハム？」
「耳の横の、心の上に公園の『公』って書くだろ。カタカナのハムにも読めるから」
「……、…………ぶふっ」
「（笑ってる……珍しい……）」
「……ハムは盲点だったベシ」
「面白いだろ」
「ベシ」
「自分で聡明の『聡』って説明するの、恥ずかしいし」
「お前に合ってるベシ。堂々と言っていいベシ」
「……なんか、照れるね」
「そうは見えないベシ」
「顔に出ないように耐えてるから」
「そんなことまで出来るのかベシ」
「深津には言われたくないな」
「……」
「まあ、なんていうか……嬉しいよ。ありがとう」
「……嬉しい？」
「深津に褒められたら嬉しいだろ」
他の人もそうだと思うけど、というｲﾁﾉｻﾝの言葉を聞いているのかいないのか、ｲﾁﾉｻﾝをガン見しているﾌｶﾂｻﾝ。

「……なに、あんまり見ないでくれる」
「……イチノはオレに褒められると嬉しいベシ？」
「うん。オレだけじゃないと思うよ」
「ふうん……ベシ」
「いや、今のいる？　ベシ、って」
なんか嬉しそうだな…とﾌｶﾂｻﾝを見上げて首傾げるｲﾁﾉｻﾝと、その日は一日ご機嫌なﾌｶﾂｻﾝ。なんか機嫌良いな～っていうのがわかる先輩たちと「えっどこらへんが？？」と分からないｻﾜｷﾀｸﾝ含めた下級生たち…