視線⑤ 見ているよ「え?!卒業した後、七海の所に居たの?!」
「居たわけじゃないよ。仕事では世話になっていただけ」
朝食中に今までどうしていたかの話をすると、先生は持っていた卵焼きを皿の上に落とした。
先生と再会したあの日から、先生と暮らすことになった。暮らし始めてからもうすぐ2週間。
積もる話もすむんで、一緒に過ごせなかった過去を取り戻す様に、今を過ごしたい。そんな思いから、同棲しようと話が進み、こうして朝食を共にしている。
「同じだよ。七海を頼るくらないなら、僕を頼ってくれたら良かったのに!」
態とらしく頬を膨らませる先生は、高専の時には見ることができなかったから新鮮だ。
「しょうがないだろ。俺は振られて、先生のこと忘れたかったんだから…」
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