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    INA

    @201231_ina
    こっそりいろいろ 五夏とか

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    INA

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    PIXIVの作品再掲 甘酸っぱい高専五夏 まだ互いに向ける感情の正体を把握しきれてない頃

    #五夏
    GoGe

    初めての…「お疲れ様、悟、疲れただろ?」
     任務を終え、悟、戻ろうかと夏油が五条に声を掛ける。
     急な任務はいつものことだが、今回は余りにもハードワーク過ぎて文句の一つも言いたくなるくらいだ。さぞかし相手もお怒りだろうと思っていたら意外にも明るめの口調で返された。
    「ぜーんぜん! 傑こそぉ、お疲れではなくてぇ?」
     余裕の表情とまったく乱れていない制服。流石だなと思いつつも夏油は笑って正直に今回はちょっと疲れたよと五条に本音を漏らした。そういえば妙に張り切って呪霊を祓って居たけどどうしたのかなと思い出しながら報告の為携帯を操作する。
     数コールで出た担当の補助監督に対し、任務完了しましたと手短に報告をする。其の折、電話の相手がお疲れさまです、近くまで車を回しましょうと言ってきた。自分だけで判断するのはどうかと思い手持ち無沙汰の友に声を掛けて意見を求めることにした。
    正直すぐ戻るのもなぁと思いながら。
    「悟、補助監督から車をこっちに寄越そうかって言われたけど、どうする? お願いする?」
    「んー、車で早く帰ったらさぁー、やれ報告書書けとかー、次はあそこの現場に祓いに行けとか色々煩いきがするんだよなぁ、なぁ二人でゆっくり帰らねぇか? 傑はどうよ?」
     首をゆっくりと傾けて五条が返事をする。
     確かに早く戻ってもゆっくり休める訳ではない。なにせこの世界はかなりの人手不足なのだ。こんな歳の自分たちに色々仕事を回してくるくらいには。
    (そうだね悟、ゆっくり帰ろう)
     意見が合致したなと内心嬉しく思いながらも、申し訳無さそうに断りの連絡を入れる。
    「―すみません、お言葉に甘えたいのですが、此方で調べたいこともありますのでお迎えの件はお断りさせて頂きますね、五条君と一緒に戻ります、はい、お気遣いありがとうございました」
     夏油は通信終了のボタンを押した後、五条が此方を指で挿して大笑いしているのに気がついた。
    「……何だい? 悟」
    「ぶっはははは、ごじょーくんといっしょ☆ ごじょうくんだってー♪」
    「仕方ないだろ、公的な相手に向かって悟の事、悟と一緒に、なんて言えないだろう、それに悟だって今みたいに補助監督に報告する際はさぁ……、“夏油く…んって” ぶっ…… あははは」
     夏油も大笑いする。自分のことを真顔で“夏油君”と呼ぶ友人の顔を思い浮かべると余りにもおかしくなってしまったせいだ。最も最初の頃は名字で呼ばれていたかと思ったが、とんでもない呼び名で呼んでやがったなと思い出してしまいそれ以上は考えないことにした。二人が此処で腹を抱えて笑い転げているのも流石にどうかと思い、戻ろうかと相手を促し最寄りの駅へ向かうことにした。


    「悟? どうしたんだい?」
     駅に向かう最中、五条が足を止めて、一点をじっと見つめている。その様子はまるで猫みたいだと夏油は思いながら彼の視線の先を辿る、そこには洒落た内装のケーキの専門店が在った。
    「……」
    「……?」
     夏油がそっと店の内部を見るとケース内には色とりどりのケーキが並べられていた。
    「悟、ケーキ食べたいの?」
    「え?」
     驚いた顔で五条が夏油の顔を見る。
     ―あの中にあるのが、ケーキ
     とても甘くて美味しい食べ物らしい、けれど初めて見た。
     家に居た時は、見たことも食べたこともなかったなぁと思い出す。俺は五条家の大切なモノ扱いだったから。高専に入って始めて知ったり体験したりした事が多くて、皆が俺をにんげんとして扱ってくれることに内心喜びを感じ始めて居る、中でも傑は特別だ。
    「へー、あれがケーキって言うんだな、俺知らなかったよ」
    「……え?」
    「家に居た時はさぁ、ケーキっていうの?、食べたことも、…いや見たことも無かったんだよねー」
     へへとバツの悪い顔で笑う五条を見た夏油は胸が痛くなる。そう云えば彼は自分と違い、家庭について口にしたことが無かった。名家の出という事は知っていたけれど、本人が話さない事を無理に詮索するのはタブーだと思っていたから。
    胸が痛む。
    可哀想になんて思うなよと夏油は誓う。可哀想の情は思い上がりの慢心とすれすれのところにあるものだから。
     相手が未経験だというのなら此方が体験させてやれば良いだけだ。無論悪い事はさせるつもりはないけれど。
    「ね、店入ってみようよ、買って帰ろうよ、悟はさ、何がいい?」
    「へ?」
     夏油の申し出に五条は驚くが、嬉しさの方がずっと上だったらしく、いいのか?と返事する。まるで子供の様に純粋に喜んでいるその顔が余りにも愛らしくて夏油は微笑ましくなった。只、五条がケーキを知らない事案と理由を知ってしまうのが少し怖くて、そんなに嬉しいのはどうしてとは聞けなかった。暗い気持ちを一旦リセットし親友に告げる。
    「では本日、頑張って呪霊を祓いまくってくれた悟に、私がケーキをごちそうしてあげよう☆」
    「え? マジ? 傑愛してる☆」
    「私も悟のこと愛してるよ☆」
    「イエーイ☆ 俺達両思い☆」
     これくらいで本当の両思いになれるのなら良いのにと五条も夏油も内心相手に対して思ったがいまの立場で良いのだと思い、それ以上の思いは今は切り取っておくことにした。
     ケーキは夕飯後に食べようねと夏油が打診し互いに約束し店内に入った。
     互いに陳列していたケーキのバリエーションに心を動かされるが、五条の方は文字通り心を奪われている。ちらちらと視線でどれにしたら良いのか判らないと訴えてくるが自身も余りケーキに薫陶が深いわけでは無いのでどれが彼の好みか判らずしばし悩む。
     待機していた店員がふたりの雰囲気を察してくれたようで、今なら一番人気が苺ショートケーキ。季節限定のマンゴープディング、甘いのが少し苦手な方ならチョコケーキ買われてますがいかがでしょうかと教えてくれた。
     このままだと五条が本気で、
     ーここにあるの一つずつ頂戴。
     と言いかねない雰囲気だっただけに夏油は店員の申し出に感謝する。
    「ありがとうございます、ではお言葉に甘えて教えてくれたのをひとつずつでお願いします」
    「俺さぁ、どれも美味しそうだから、ここにあるの全部欲しいなぁ」
    「ふふ、全部美味しそうだものね、気持ちは解るけど全部は無理だよ、一日で食べられないでしょ?」
     俺一日で食べるもん、何なら俺がお金出すから全部欲しいと主張する五条をどうにか宥めすかしてケーキを注文し箱に入れて貰っていく。其の折、店員がおまけにどうぞと牽牛と織女のメレンゲドールとクッキーを添えてくれた。
    「七夕が近いですし、先程全部欲しい、と仰ってくれたお礼も兼ねて」
     二人が店のサービスに対し礼を言う。
     互いに車でそのまま帰らずにいて良かったと喜びながら店を出る。ケーキ箱は夏油が持つことになった。
     五条が当初持つと言い張ったけれど、彼の余りに嬉しそうな顔を見た夏油は、これを彼に持たせておくと嬉しさの余り、振り回してしまいケーキを崩してしまいそうだと危惧した。かと言って正直にそれを言うと確実に機嫌を損ねるだろうから、先程の任務で悟にばかり頑張らせてしまったから私にこれくらいさせてほしいなと甘える所作をしてケーキの安全を守った。

     無事校内へと戻り、夏油は自分の部屋内にある冷蔵庫へケーキを入れる。
    「ご飯食べてからね、ああ、悟、コーヒー入れてあげるからよ」
    「はーい」
     夏油の言いつけは守れる。何故かは判らない。最初はなんでだよと拒否し、大喧嘩を何度もしたけれど。もしかして、彼の言葉に素直に従えるようになったのは自分を自分として扱ってくれるからかなと五条は思う。
     夕飯を済ませた後、小腹が減るまで取り敢えず今日の報告書書いて置こうかと夏油からの申し出に対し、五条はあからさまに拒否してきた。
    「えー、そんなのいいから、先にケーキ食べようぜ」
    「そうだね、確かに甘いのは別腹だ、……とも思ったんだけど」
    「だけど?」
    「正直、いやーな報告書書いてから、美味しいの食べたほうが楽しみが増すかな?って思って、どのみち報告書は出さないといけないし」
     美味しそうなケーキだからご褒美に食べたいな、なんてと夏油が提案すると五条は考え出した。考えが出たらしく顔を上げて笑って親友の申し出に賛同する。
    「そっか、それも良いな 傑ってすげぇ賢い」
     それならとっとと終わらせようとふたりで誓い、上層部に対する呪いの言葉を吐きながら報告書を書き上げていく。その合間違う紙へ五条が、**のバーカ!と書けば夏油が対象者の簡素な似顔絵を書いて矢印を書いたりさらに謎のアイテムを追記してふたりで大笑いした。
     手当はそれなりに貰えるとはいえ、このくらいしないと割に合わない。脱線しながらも提出しても問題は無さそうな内容の報告書が出来上がる。
     二人は勝利のポーズを取った。
    「悟、ご苦労様、じゃあケーキ出してこようか、アイスコーヒーも冷蔵庫に入れてたから持ってくるね、悟は悪いけど机の上綺麗にして待ってて」
    「オッケー☆ 楽しみー」
     夏油が離席する。五条は机の上を片付けながらケーキが来るのを心待ちにしていた。
     ― ね、悟、誕生日にはもっと大きいケーキでお祝いしようよ、それまで食べたいケーキ見つかったらさ、私に教えてくれるかい?
     高専までの帰り道、そう微笑んで言ってくれた事を思い出す。
     そうか、傑は俺の友達なんだなと胸が暖かくなる。友達以上になりたいと思うが友達以上って何だろうか、俺は判らない。
    「おまたせ、悟、ごめんごめんどれ食べるか聞くの忘れてたね、どれがいい?」
    「傑は?」
    「私かい? 私は良いよ、先に悟が好きなの選んで」
    「それはねぇよ、買ってこれ持ってくれた傑が先だろ、どれがいい?」
     夏油が優しく笑んで、では私は甘さ控えめのチョコケーキにしようかなと告げる、折角の初めての体験なら一番人気の品が良いだろうと思っていたら、案の定親友が嬉しそうな顔で俺はショートケーキと宣言してきた。冷蔵庫に入れているマンゴープディングは期限明日までと言われていたので此れは明日に食べなと伝えておこうかなと思っていたら、五条の方から明日半分こして食べないかと逆に言われてしまい素直に賛同する形になってしまった。
    「そうだね、ならこれは明日の夕飯後にクッキーと一緒に食べようか」
    「さんせーい☆」
    『……そういえば、確か店員さんがメレンゲドールも入れてくれたっけ』
     夏油が袋から取り出して見てみると牽牛と織女のふたりがモチーフの愛らしい砂糖菓子がそこに在った。折角だと相手のショートケーキに牽牛を載せ自分のチョコケーキに織女を乗せてみた。
    「これはかなり甘いらしいからね、ケーキ食べてから齧るといいよ、硬いから気をつけてね」
    「わかった」
     互いに頂きますと言い、アイスコーヒーを飲みつつケーキを食べる。
     夏油はふと、初めてだと言っていた親友の反応はどうだろうと正面の相手をさり気なく見る。相手が今まで見たことのない嬉しそうな表情でケーキを食べていた。最も生来の育ちの良さからくるのか食べる所作は美しい。
    「美味しい? 悟」
    「うん☆」
    「ふふ、良かった、悟が喜んでくれて嬉しいよ」
    「へへ、このお菓子硬いけど甘くて美味しい」
    「そうだね、久しぶりに食べたけど美味しいね」
    「え? 傑食べたことあるんだ? なぁなぁ、いつ? どこで」
     幼い子のようなキラキラした顔で色々と返されてどう返せば良いのか判らない。素直に小学生の時に食べたことがあると夏油が応えると五条がそうかぁと項垂れる。不憫に思うが決して哀れんだらいけないことは知っている。せめて自分に出来ることとはなにかと。
    「ねぇ悟、こっちのチョコケーキも食べてみる 食べかけだけどいい?」
    「え? 良いのか?」
     良いよ、私夕飯ちょっと食べすぎちゃってと半分本当で半分嘘を付く。
    先程から視線を感じていたから。幸せそうに2つのケーキを食べる五条を見るだけでお腹がいっぱいになる夏油だったが、すぐる、と自分の名前を呼ばれて驚く。
    「ごめん、考え事してた」
    「こっちこそごめん、傑に言いたくて」
     夏油がなぁに?と尋ねると五条がケーキありがとうなと礼をしてきた。
     そんな礼することじゃないよと笑って返すが、五条の礼をさせて欲しいという本気の眼にゾクリとさせられる。危うく見たことのない色のクレジットカードを渡されそうになったので必死に断った。
    「悟、カードはしまって、そこまでの事私してないからさ」
    「でも、傑にお礼してぇんだよ、傑が教えてくれなきゃ俺、一生知らなかったかもしれない」
    「じゃあ悟、お礼ということで、今夜さ、私に添い寝して欲しいんだけど、良いかな?」
     夏油は自分よりも体躯の大きい五条がまるで幼子にみえて、寂しそうで、そっと抱きしめてやりたいと思った。けれどいきなり提案されても五条も困るだろう。だから、彼のお礼がしたい、其の言葉に便乗する形にした。
    「そんなんで良いのかよ」
    「そんなんじゃないさ、大体悟と一緒に寝られる権利なんでそうそう得られないでしょ」
     そもそもお前以外にそんな権利渡すつもりなんて無いけど。
     五条は傍らの親友を見ながら思う。物心が付く頃から寝る折、傍に誰かが居た記憶なんて無かった。精々見張りだと襖を隔てた横に誰かが居たくらいだし、幸いにも無理やり女を当てがられることも無かった。初めて誰かと一緒に寝る。その相手が目の前の親友だという事が何よりも喜ばしい。
    「えへへ、傑と一緒に寝られる」
     目の前の親友の表情があまりに愛おしいと思った。
    「嬉しそうだね、悟、でも明日休みじゃ無いから夜更かしは今回駄目だからね、後、ふざけて私に触ったり、襲ったりしちゃ駄目だよ」 
    そう念を押すけれど、これは自分自身に対してだ。彼に触ったりしたいのは私の方だから。
    「大丈夫、約束する」
     五条も真顔でそう言うが、正直眼の前の相手に友情だけの好き、だけではない感情が芽生え始めているのを自覚している。触れたいし、…たい、けれど今はしない、得体の知れない感情の正体が判らないうちに動いてしまうと今相手が大切にしてくれて居る友情を壊してしまうと思い。

     五条が枕とか持ってくると言い出し、互いに分かれることにした。
     ひとりになった折、ふたりとも思わずため息が漏れる 相手の事を好きと云う感情が沸いてくるのは良い、親友だから。
     止められてはいるけれど、抱きしめて寝たい。
     相手に対して友情以上の情が生まれ始めている事を気付かされてしまった。






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    kaoryu12273

    PROGRESS3~6月に出すかもしれない話の冒頭です。
    相変わらず記憶なし×ありの転生。
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    もし一言でもあれば、こちらから!
    https://wavebox.me/wave/3vwvg0bho3p7xq56/

    イベント中に増えるかもしれないし、Xで連載をはじめるかもしれません。
    いつか一緒に 昨日知り合ったばかりの男は不思議な家に住んでいる。
     階段は外付けで、外壁は淡いミントグリーン、幼児が積み上げた積み木のように、少し凹凸のある三階建て。
     雨ざらしになっているせいか、ところどころ塗装が剥げていて、鉄さびが滲み出ている頑丈そうな階段を昇りきると、何もない屋上に辿り着く。本当に、何もないわけではない。洗濯物干しと台風でもきたら吹き飛ばされそうなプラスチックか何かでできている白い椅子が一つ、ぽつりと置かれていた。
     朝焼けも夕焼けも似合いそうな建物は、だけど北向きの路地に建っていた。周囲も家屋に囲まれているから、反対側がどうなっているのか、一見するだけではわからなかった。
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