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    redtomato_pizza

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    2/9 バレンタインローズフェスにて頒布した、アズイドのペーパーラリー作品です。

    バレンタインという文化に初めて触れ、
    とあるお菓子をお土産に買ってくるアズのお話です!

    #アズイド
    id

    「ばれんたいん??」
    初めて触れる言葉を目にし、アズールは不思議そうに読み上げていた。
    それは、たまたま見かけた言葉。アズールはラウンジのために情報集めと街に繰り出しており、そこで見かけた店に貼ってあったチラシにそう書かれていたのだ。
    「何かイベントでしょうか……」
    アズールは初めて目にする言葉に興味津々。スマホをポケットからサッと取り出すと、その言葉を調べ出す。
    「なるほど……」
    検索結果はすぐに出る。
    バレンタインとは、陸の風習だそうです。二月十四日にお菓子を贈り合うイベントとのこと。主にチョコレートを贈ることが多いだとか。
    「ほう……」
    あいつらのお土産……留守番の駄賃に丁度いいかもしれません。やつらはただの品物を渡すより、ストーリーがあるものの方が喜ぶだろう。
    特にイベントに乗っかったものの土産は好評だ。お土産話と共に渡してやれば完璧。
    お菓子一つで駄賃となるならばコスパが良い。
    「さて……」
    アズールは店内に入り、早速土産の吟味を始める。ショーケースの中に色とりどりに並ぶ多種多様なスイーツ。一つ一つのお菓子の前には、名称と説明書きが書かれたポップが掲示されていた。
    「ふむ……。細かく書かれていて随分と親切ですね……」
    説明書きには、どのような味と食感のお菓子であるかや、由来などが細かく書かれていた。初めて見るお菓子も多く、文章を追うだけでもとても楽しいものであった。
    ——なるほど。モストロ・ラウンジでもメニューの説明をするカードを作成してみてもいいかもしれませんね。
    アズールがそんな戦略を練る中。ふと、とあるお菓子に目が止まっていた。
    「おや?」
    それは珍しい見た目で、色どりも華やかなものであった。そしてまるで、サンゴを思わすような色と形をしていた。
    「では、こちらをお願いします。」
    アズールはそれを選びとると、箱に詰めてもらい、学園に持ち帰ったのであった。



    「ただいま戻りました。」
    「ずるいずるい〜」
    アズールが学園へ戻ると、案の定不機嫌そうな双子の顔がお出迎えをしてきた。そんな二つの膨れっ面に、アズールはお菓子の箱を押し付けてやる。
    「お土産です。」
    彼がそういって差し出すと、暗かった二人の表情は一変。ぱぁっと火が点ったように、満面の笑顔に変化する。
    「やったー!」「なんでしょうか!」
    「現金なやつめ……」
    二人はそれを受け取ると、早速箱の中身を確認する。
    「なにこれ??」「お菓子……でしょうか?」
    中に入っていたのは、丸みを帯び、パステルカラーの生地にクリームが挟まったもの。
    「マカロン、というお菓子だそうです。」
    アズールは解説を続ける。
    「卵白を泡立てたメレンゲを焼き、クリームを挟んだお菓子です。カラフルかつ形も特徴的で、今後のスイーツ開発に役に立つかと思い買ってきました。」
    ペラペラと説明を続けているうちに、二人はパッケージを開け始めていた。
    「興味深い形をしていますね!」
    「うまそー!!」
    ジェイドは、初めて見る形に興味津々。フロイドはお菓子であることに喜び、味を確かめようとする。
    「商品開発も兼ねているので、ちゃんと形を楽しんだり味わったりするんですよ。」
    「承知いたしました」「はぁい」
    アズールの注文も話半分に、二人はマカロンに手をつけようとする。
    だが、摘まみ上げようとしたところで、ふととあるものに気が付く。
    「おや、何か入ってますよ」
    「え」
    ジェイドは中から何か紙のようなものを取り出す。しかし、何か入っていることに気づいていなかったアズールは驚いた声をあげてしまう。
    呆気に取られるアズールをよそに、二人はその紙の内容を読み進める。
    「ほうバレンタインという風習が陸にはあるのですね。」
    そういえば、背景を説明するのを忘れていた。危ない。
    「そうです。2月にお菓子を渡す行事だそうで……」
    「あれ、なんかまだ書いてあるよ。」
    そんなフロイドの言葉に、アズールは一旦説明を止める。一方のフロイドは、そんなアズールの様子を意に介さずにそのまま続ける。
    「えーと、なんかおやつに意味があんだって~。このマカロンってやつの意味も書いてあるみてえ」

    ——意味……だと??
    そんなのは聞いていない。

    一体僕は、なんの意味があるモノを贈ってしまったのだろうか。
    「なるほど?意味は何でしょう!」
    ジェイドも嬉々としながらフロイドに身を寄せ、二人して内容を確認する。
    一方のアズールは、内心ヒヤヒヤしながら二人の言葉を待っていた。
    「えー、なになに……あは♡」
    「おやおやおやおや」
    すると、二人は軽く目を見開いたかと思えばこちらへと視線をよこす。そして、きゅっと眉尻と目尻を下げ、ニヤニヤとした表情をこちらに向け始めたのだ。
    「なんだよ⁉」
    ——まずいことが書かれている気がする。
    アズールはとっさに、二人が手に持っていた紙を奪い取る。
    「わっ」
    勢い余ってくしゃりと紙を丸めてしまい、声を上げてしまう。だが、今はそんなことよりも中身が気になる。
    ——いったい何が書かれているのだろうか??
    アズールは震える手で、おそるおそるその紙を開く。
    「っ…………」
    その中身を見て、アズールは息を飲んでいた。

    書かれていた言葉は、『特別な人』

    「ちがッ…………」
    途端にアズールの顔は真っ赤に色づく。火を噴いてしまいそうなほどに真っ赤に。
    「なんで赤くなってんのー。茹でダコじゃん~」
    「いや、待て!ちが、別に意味を持って選んだわけじゃ……」
    「でも真っ赤じゃないですか。」
    「ちが、そういうつもりじゃ……」
    しかし、アズールがそう言いかけたところで言葉を飲み込む。

    ——『特別』……??いや、あながち間違ってないんじゃないか??

    だって、この僕のそばに置いているんだ。誰だっていいわけじゃない。

    そう思うと、自然に口にしていた。
    「この特別で偉大なる僕が手ごまとして置いてるウツボなんだろう?そんなお前たちは特別じゃないのか??」
    「へっ」「え」
    すると、今度はジェイドとフロイドが呆気に取られていた。ストレートなアズールの言葉に、ぽかんと口を開ける。
    アズールは何気なく言った言葉かもしれない。だが、二人にとってはたまらなく嬉しかったのだ。
    そして同時に、アズールのストレートな言葉に、彼をからかう余裕などなく動揺してしまった。
    すると、二人のそんな変化にアズールはすぐに気がつく。
    口角は自然と、くいっと吊り上がっていた。そして追い打ちをかけるように続ける。
    「おやおや。特別な人、の自負がないんですか?そんな覚悟でこの僕についてきて……??」
    「そんなわけねえじゃん!オレたちすげえし!」
    挑発するようなアズールの言葉に、素直に返していたのはフロイドであった。そして、ジェイドも続ける。
    「僕たちは……偉大なるアズール様に仕える特別なウツボ様です。」
    そんな二人の言葉に、アズールは満足そうな笑みをこぼす。

    そして、そっと呟いていた。
    「悪くないな……」

    学園で過ごす時間は限られている。今の『当たり前』もいずれはなくなるものだろう。

    ——こうして、こいつらと過ごすのも今だけの特別な時間かもしれない。なら、精一杯目の前のことを楽しんでやろうではないか。

    まずは、目の前の菓子を楽しむこととしよう。

    アズールは、箱の中のマカロンをひょいと摘まみ上げ、口に放り込む。そして、今のひと時を味わうように『特別』を噛みしめたのであった。


    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    以下ペーパー及びラリー企画の背景です。


    ペーパーラリーのメインイラストに『マカロン』を使用した理由を描いた作品となっております!

    きっと彼らにとって、お互いは当たり前。
    『特別』だとか、あまり考えたことはないでしょう。
    だけど、いなくなったときや離れた時に、やっぱり寂しいと思って、その時初めて『特別な存在』であることに気が付いたらいいなと思い、『特別な人』を意味するマカロンを選びました。

    作品及び企画をお楽しみ頂きありがとうございました!
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    Replies from the creator

    redtomato_pizza

    DOODLEアズフロwebオンリー開催おめでとうございます!
    新作フラペチーノを飲むアズフロのお話です。

    余談ですが、何がとは言いませんが、ライトアイス・抹茶ベース多め・ライトシロップがすごく美味しかったです。
    抹茶好き、濃厚ミルクが好きな方はお試しあれ。(それはフラペチーノではなくラテですが笑)

    パスは共通パスです。良いお年を!
    「ふう……。これで全部ですかね。」
    アズールはスマホと睨めっこをしながら、そう呟いていた。

    今日はモストロ・ラウンジの買い出しの日。
    アズールとフロイドはそのために街に繰り出していた。
    そして、スマホに買い物のメモをしていたのだ。

    買い物を達成していく度に、メモを一つ一つ消していく。

    そして、とうとう最後の一つを消し去った時。
    「いっぱい買ったねー」
    アズールの荷物持ちに同行させられていたフロイドは、そう言いながら笑っていた。

    いつもだったら、彼の片割れも同行するところだったが、生憎本日の彼は部活であった。
    だから、今日の同行者は彼一人。

    しかし、買う量はいつもと変わらない分、彼はいつもの倍の量の荷物を持っていた。

    今日は機嫌がいいため笑ってはいるが、一気に買った荷物の量は相当に重いはずだ。
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