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最初にその夢を見たのは幼稚園の頃だった。
誰一人いない真っ暗な街、不気味な空。迷子になったのだと思い、親を探して走り、肉の塊を踏んづけて転んだ。ふたつ並んだ塊は、手だったであろうものを私に伸ばし、私の名を呼んだ。
瞬間、目が覚めて、心配そうに自分を覗き込む両親に抱きつきわんわんと泣いた。塊は両親の顔をしていた。
次に夢を見たのは半年後、次は数ヶ月、小学校に上がる頃には月に1度くらいになった。悪夢を見て親に泣きつくこともなくなった。一人で布団を濡らした。
中学になる頃には週に1度、2度、3度。最初は異世界のようだった夢はどんどん解像度が高くなり、現実の延長線上にあるものかもしれないと疑い出した。夢の中なのに五感に響く。
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