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    小春(刀)

    @koharu_sword

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    小春(刀)

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    途中までです。
    白山くんがやって来て、色々暴露する話。
    長船、国広、南泉が出てきます。皆長義くんが大好き。
    ブラック本丸やら、長義くん配属時のあれこれについて言及しておりますので、ご注意ください。

    #くにちょぎ
    #にゃんちょぎ
    cats-eye

    長義くんのあれやこれ。【くにちょぎ・にゃんちょぎ】辺りの空気が引き締まり、ふわりと顕現された白山吉光はまるで機械のように抑揚の無い声で、静かに口上を述べた。

    【タイトル未定】

    白山の顕現に立ち会ったのは、近侍を務めていた初期刀の山姥切国広。
    常ならば、少し話をしたところで近侍や近しい者に案内を頼むところだが、挨拶を兼ねて話があると主と共に執務室へ行き、小一時間程出てこなかった。
    その後、淡々と案内する国広に控えめな相槌を打ち、これから共に生活をする面々と挨拶をしながら本丸を一周する頃、転送ゲートから帰城を報せる鈴が鳴り響く。
    どこかソワソワした国広は「部隊が帰った、声を掛けておこう」と白山を連れて正門へ向かった。
    少し離れたところに帰ったばかりの一部隊が見え、そこで「本歌」と小さく、けど確実に嬉しそうに国広が呟いたのを、白山は聞き逃さなかった。
    そして、白山は二本の足を速く動かす。
    洋装でありながら袖は着物のような変わった作りの服は、風を受けると羽のように広がり、何の迷いも無く一点を目掛けて駆け寄った。
    「え、」と背後に国広の声が聞こえたが、無視をした。

    「山姥切長義」

    ぽすん、と正面から飛び込んだのは、国広が本歌と呼び、白山が山姥切長義と呼んだその刀だ。
    突然飛び込んできた影に驚きの声を上げながらも、反射的に抱き止めた長義は腕の中の特徴的な服装を見て、目を丸くする。

    「え、白山吉光・・・?」

    周りに居た部隊の面々も一様に驚いた顔になり、それから破顔した。

    「おおおっ、白山来たのか!こりゃ驚いたぜ!」

    「良きかな良きかな。一期も胸を撫で下ろしたであろうよ」

    「ようこそ白山くん!歓迎会しなきゃだね!僕も腕を奮っちゃうよ」

    太刀は思い思いに喜びを顕にし、長義に抱きつく白山に笑顔を向けていた。

    「白山来たのは良いけどよ・・・お前らそんな親しかったのか?」

    異様な状況に同じく出陣していた南泉一文字が首を傾げる。
    それもその筈、南泉は長義と付き合いがかなり長く、交流についてはほぼ知っていた。

    「白山くんは唯一の剣で、回復を担う特殊な存在だからね。顕現前から政府預りで様子を見ていたんだ」

    元監査官だった個体である長義は事も無げに答え、「抱き付かれる程親しかった覚えは無いけどね」どこか困ったように白山に離れるよう促した。


    だが、これは始まりに過ぎなかった。
    特殊な能力云々はさて置き、新しい仲間に誰もが喜んだ。
    中でも一番喜んだのは刀派を同じとする粟田口。
    一番数が多く、殆どを短刀が占める彼らは、まるで転校生が来た小学生のように白山を取り囲み大いに盛り上がる。
    部屋割りや寝る場所など、決めるだけでも楽しいのだから。
    だが、当の白山は少し離れたところで食事をしていた長義の元へ行き、口々にどうしたの?と言う粟田口の短刀を見据えた。

    「みなさま、ありがとうございます。ですが、わたくしは暫く山姥切長義と行動を共にします。あるじさまより許可は取っています」

    「は?」

    長義は間の抜けた声を上げ、箸で摘んだ里芋が茶碗の中に落ちた。
    向かいに座っていた南泉や、その近くに座っていた国広も目を丸くする。
    そして、長義と同じく政府より配属となった肥前忠広は眉間に皺を寄せ、南海太郎朝尊はそんな肥前に「仕方ないよ」と宥めるように声を掛けていた。


    それからというもの、白山は宣言通りに長義にべったりだった。
    まず一人部屋だった長義の部屋に布団一式だけを持ってやって来た。
    長義が呆れたように何か言おうとすれば、「あるじさまより許可をいただいております」と言っては黙らせている。
    長義は練度が上限に達していて基本的に出陣する機会が無く、合わせるように白山も内番や事務仕事の手伝いをしていた。
    更に、どこに行くにも着いていくのに、親しく話すという事ではなく、少し離れたところから長義の様子をじっと見ているに留まっていた。

    「・・・白山吉光、君は何がしたいのかな?そろそろ目的を俺に教えてくれないか?」

    かれこれ一週間程度経過した朝。
    長義は食堂で鮭の切り身を解しながら、目線は箸先に注いだまま、隣に座る白山へと問いかけた。
    んぐ、と味噌汁を喉に詰めたような声を上げたのは、たまたま同席していた後藤藤四郎。
    その背中を擦り、柔和な笑みを浮かべる物吉貞宗は少しだけ心配そうに目の前の二振りの様子を伺っていた。

    「わかりました」

    白山は顔色を変えることなく、手に持った茶碗を見ながら淡々と答えると、それ以降会話は途切れた。


    ***

    「白山くん、俺は君の行動の理由が聞きたいだけだったんだけど?」

    食後、今までずっと後を着いて回っていた白山が別行動を取り、空き部屋で待たされること十分弱、漸く来たかと思えば何やらぞろぞろと連れ立っている。
    気だるそうな内番着の南泉と、装備を外した状態の戦装束の国広が入ってきた瞬間、長義は露骨に顔を歪めたが、その後から謙信景光を除く長船一同の顔を見て、言おうとした言葉を呑み飲んだ。
    長船の祖たる燭台切光忠は、盆に急須と人数分の湯呑、それからポットを提げて来ていたのも、長義にとって何か言いたくなるが何も言えなくなる相手であり、言葉を奪う要因だった。

    「みなさま、お集まりいただきありがとうございます」

    思い思いに適当な場所に座り、およそ十畳程の部屋は一気に八振りの男士に埋め尽くされ、窮屈に感じる。
    そんな中で肩に狐を乗せた白山は、恭しく三つ指を着いて頭を下げた。
    その頭に、白山吉光、と苛立ちを隠さない声で長義が呼び掛けたのを、隣に座っていた小竜景光が肩を叩いて止める。

    「なんかさ、俺ら長船や南泉、国広にも聞いてほしいんだってよ。お前を待たせてるから来てくれって、本丸内うろうろして皆を集めてたから話くらい聞いてやろう、な?」

    「アンタが遊びたそうにしてる粟田口の奴らに気を揉んだり、白山の対処に困ってたのは見てたさ。それを手助けしなかった俺たちにも落ち度はあるから、話が終わったら思う存分怒りをぶつけてくれ」

    小竜を援護するように大般若長光が蕩けるような笑顔を向けてきて、少しむくれながら「俺に付き纏った理由を答えてくれるなら何でもいい」と怒りを引っ込めた長義に、南泉が「長船強ぇにゃ」と小さく口笛を吹いた。
    話し始めるまでに時間を取ってしまったが、白山がひとつ咳払いをして、「では」と姿勢を正すと部屋の空気は凛と引き締まる。

    「まず、みなさまには先の聚楽第調査にて、山姥切長義が一振りで監査官を務めたお話からいたします」

    それと今と何の関係があるんだ。
    突拍子のない切り込みに思わず腰を浮かせた長義だったが、燭台切が先に「続けて」と静かな声で言ったので、大人しく座り直し、それを見た白山はゆっくりと、そして抑揚のあまり無い声で淡々と話し始めた。

    「ご存知の部分もあると思いますが・・・そもそも──」

    そもそも監査官として山姥切長義が素性を隠し、一振りで本丸に赴いたのには、所謂ブラック運営をしている本丸を見極める前提があった。
    そして、審神者や刀剣の様子、本丸内にある穢れなどを見た上で、現地での戦力も測っていた。
    戦力のみであれば問題無くとも、無理な進軍や審神者と離れたところでの刀剣達の様子、または監査官に対する態度など総合的に評価し、運営に問題のありそうな本丸へは、政府からの指導や調査が入るようになっている。
    実際解任された審神者も少なからず居た。
    長義が一振りだったのも、相手の警戒心を削ぐ為であり、万が一監査官に危害が加えられるような状況であれば緊急の通報手段も持っていた。
    その上で、監査官である長義が優を出した本丸に、彼自身が配属されるという流れが大前提にある。
    即ち、長義の配属は運営と戦力の両方を満たした本丸であるという証拠だった。

    「はー・・・やっぱり長義くんは凄いね。うちも無事配属になったから良かったけど、評定出るまで粗相が無かったか不安だったからね」

    「そういう気を遣うことが出来る本丸は、基本的に問題は無いんだよ」

    監査官が来て、聚楽第任務をこなす。
    評定で優が出れば山姥切長義の配属、それが各本丸に通達された内容だ。
    本来の政府の目的など知る由もないのだが、改めて教えられた事実に燭台切だけではなく、それぞれが感心したことだった。

    「しかし、問題はその後から起こりました」

    白山が目を伏せる。
    そして、長義も白山が何を言おうとしているのか見当がつき、大きく溜め息を吐いた。

    「ここからは少し嫌な話になるね。白山くんが俺を気にしている理由は分かったから、俺としては目的を果たしたんだけど・・・彼らを集める必要はあったのかな?」

    「うっせーぞ化け物斬り、白山が必要って判断してオレらを呼んだんだろうが。黙って聞いてろ。真っ二つにすんぞ、にゃーっ!」

    「君が妙な傷を負わないように気を遣ったんだけどね。ここでぶった斬ってやろうか?」

    互いに片膝を立て、今にも掴み合いそうに睨み合う二振りを、長義は小竜が、南泉は国広が止めて、話の続きを促した。
    「ですが、確かに嫌な話ですので・・・」僅かに口ごもった白山は、チラリと横目で国広を見て、目を閉じ口を開いた。

    長義が配属ということになり、山姥切国広にとっては勿論だが、審神者にも衝撃が走った。
    山姥切国広は初期刀の一振りであり、初期刀に選んでいなくても古参の一振りだ。
    余程新設されたばかりの本丸でない限り、十中八九顕現していた。
    審神者と長く苦楽を共にした刀は比べられることを嫌がり、本歌を重圧に感じている。
    そこにその本歌がやって来て、あまつ偽物と呼ぶ。
    大抵の審神者は、いつかは直面することと思いながらも急な話に、自分達で解決するよう促したり、間を取り持ったり、距離を取らせたりと、悩みながら互いの落とし所を探そうと模索したのだが、そうならない者も居た。
    中でも多かったのが、審神者による長義への冷遇だった。
    酷いものは監禁や拷問じみた虐待、低練度のままの単騎出撃、或いは欲を満たすための道具として扱うといった、肉体的精神的に攻撃をする非道な行いの数々で、結果として刀剣破壊へと至る。
    発覚するだけでも目を覆いたくなるような悪逆非道に、発覚していない分を考えるとぞっとする。
    政府でも懸念していることではあるが、表向き──少なくとも監査官が見て問題の無かった、或いは上手く隠し通した本丸であれば、見つけるのは難しい。

    「ある種、騙し討ちのようにやって来たとはいえ、明確に一部の審神者との確執を生んでしまったのです」

    部屋はしんと静まり返った。
    長義は居た堪れず何か取り繕おうとしたところで、南泉と国広がスっと立ち上がった。

    「ちょっとオレ、便所行ってくるにゃ」

    「奇遇だな南泉、俺も厠に行ってくる」

    「待て待て待て、座れ!そんな殺気ダダ漏れで何しに厠に行くんだ」

    目が据わっている国広たちを長義は何とか引き止め、「こんな話をして何の意味がある」と白山に噛み付く。

    「そもそもね、俺はその話を少しは聞いてたし、この本丸ではそういった心配も無い。実際起こっているのは隠れブラックと言われる本丸で、たまたま被害が俺だっただけ。何より審神者の琴線に触れた俺の落ち度だ。虐待でも破壊でも、それで気が済むのなら致し方ないかな」

    再び室内は水を打ったように静まり返った。
    ん?と長義が首を傾げる。

    「このように山姥切長義自身、人の子のすることに対して寛容なので発覚が後れ、通報もせず是とすることにより審神者が増長する要因となっております」

    白山の補足で、一番に唸り声を上げたのは南泉だった。

    「バッッカじゃねーの!?寛容じゃねーだろそれ、人間に対してただの無関心だ!お前が損なわれてんだぞ?怒れよ!しかも知っててオレらに何も言わなかったのか!?ふっざけんな、にゃ!」

    「君に馬鹿とか言われたくないよ猫殺しくん。何で君がそんなに怒るのかな?怒鳴るなんて珍しい。俺のことだけど、俺じゃないし・・・言う必要ある?」

    南泉が吼えても、煽っているわけでもなく純粋にきょとんとするだけの長義に、南泉は目を見開いて信じられないとでもいうように眉を寄せた。

    「本歌・・・俺も怒りでどうにかなりそうなんだが。何でアンタは・・・そんな涼しい顔をしてるんだ」

    「お前が何に怒っているか分からないけど、この後出陣だろ。その握った手を開け。怪我で刀が握れないなんて無様を晒すなよ」

    わなわなと震え、怒りを無理矢理押し殺したような国広に、長義の冷静でどこかズレた言葉が刺さる。

    「小豆、大人しいが大丈夫かい?」

    大般若が、これまで一言も発さず黙した小豆長光に水を向けた。

    「だいじょうぶ、だが・・・」

    「ひゃ!?」

    彼がいつも謙信にそうするように、長義の脇に手を差し込み、軽々と持ち上げると正座した腿の上に乗せ、逃げないように腹に腕を回す。

    「ひぇ・・・あの、あ、小豆殿・・・俺、謙信くんじゃないから、下ろしてほしいんだけど」

    「いやだ。長義はちゃんとみてあげないと、だめなこだってわかった」

    恥ずかしい・・・と、長義にとっては理不尽な子供扱いに、大般若が「そりゃあ仕方ないな」と膝を叩いて笑ったが、直ぐにその笑みを消して、長義の手を掬い上げた。

    「アンタは精神が随分と高尚なとこにあるようだな・・・南泉や国広が何に怒って、小豆が何に悲しんでいるか分からないか。折角与えてもらったんだ、もっと自分の心ってモンを大切にしなさい」

    普段はヘラヘラと冗談を言う大般若にジッと真剣な目に見つめられ、諭すような言葉に長義は二の句を詰まらせる。

    「あーもう無理なんだけど。長義の膝借りなきゃやってらんない!つか何?冷遇?は?どこの誰がやってんの?」

    「ちょ、小竜殿っ、擽ったいし重い。結ってる髪が乱れるよ・・・」

    小豆の腿の上に乗った長義の腿に、小竜が飛び込むように撓垂れ掛かった。
    気の抜けた声を上げながらも、その目に宿るのは明確な怒り。
    長い髪が無造作に垂れ、身動き取れない長義の膝を擽る感覚にクスクスと声を上げて笑い、小竜の顔にかかる髪を指で梳きながら払った。

    「ほらぁ、こんな優しいのに・・・監禁?単騎出陣?虐待?欲を満たす道具?へぇえ・・・面白いことすんじゃん、全然笑えないけど」

    「うーん、小竜殿が怒ることでもないかな・・・」

    大きな体が甘えるようにしがみついて、髪を整えるように撫でながら長義は困った顔をする。
    「長義くん」優しい声で燭台切が呼んだ。

    「君は何で僕達が怒ったり悲しんだりするか分からないかもしれない。でもね、君ではない他所の君でも酷い目に遭っていれば悲しいし悔しいよ。そのくらい、僕達には君という存在が大きいことを覚えておいて」

    さら、と長義の髪を梳いた燭台切の目には悲哀が浮かんでいる。
    長義は配属後に起きた問題を少なからず知っていた。
    そのことで審神者たる主も気を揉んで、少しばかり話をした。
    この本丸の審神者自身が長義配属の波乱に、普段問題が無くとも理由があれば男士に害を為す存在はタチが悪い、と相当腹を立てていたのだ。
    その時も「他所の俺のことだし、発覚した分は沙汰が下ってるよ」と宥めた。
    この本丸は本当に良い場所だと思うと同時に、長義は不遇の憂き目に遭った同位体と自分が逆であれば良かったのかもしれない、とも思う。
    しかしながら、なんとか保護された山姥切長義達は大体が口を揃えて言うのだ。

    「あなたたちは保護されて尚『主の不興を買った俺が悪い』と言っていますね。山姥切長義、あなたが考えていることは分かります。顕現時にあるじさまと話をしましたから」

    つらつらと長義の頭の中を読むように白山は音にした。
    なるほど主と相当込み入った話をし、白山の決意は確固たるものだと長義が確信し、考えていたことを勝手に口に出すのは如何なものかと不平を吐こうとした次の瞬間、出た言葉は「痛い」だった。
    背後から腕を回す小豆が、腿にしがみつく小竜が、手を握っていた大般若が、そして燭台切が掴んだ腕に、一斉に力が入る。
    いくら練度上限に達していようと、太刀の腕力は打刀では比較にならない。

    「い、痛・・・苦し、あの、離して・・・くれないかな」

    長船派は黙ったままだった。
    助けを求めるように旧知の南泉に目を向けると、呆れたような顔をしたのも束の間、見慣れた長義をもってしても息を呑むほど目だけをギラつかせ、感情の一切を削いだ顔をしている。

    「はーーーー・・・長義よぉ、こりゃちーっと長めの説教が必要だわ。お前のその精神、一遍叩き落としてイチから矯正してやるから覚悟しろ」

    「は、はあ?普段長義なんて呼ばないくせに!可愛い語尾も無いし!それに矯正って・・・こういう時だけ年上面するのやめてくれるかな」

    一瞬怯んだものの、南泉相手であれば舌も滑らかになるのが長義だ。
    即座に言い返すが、当の南泉は全く聞く耳を持たない。

    「長義、昔からお前に甘かった自覚あるけど・・・考え改めるわ。オレがしっかりお前の手綱握っててやるよ」

    にゃあ、と金色の目を細めて笑顔を見せる南泉に、普段なら可愛いねと茶化すところであるが、長義は僅かに身震いすると冷や汗をかいた。
    日常的に距離が近いとはいえ、ふとした時の威厳が違う。
    ぐ、と奥歯を噛んで青褪めた長義の手にふわりと熱が触れた。

    「はは、本歌の精神が高潔なのは分かった。だが俺としては、ただひたすら心配でしかない。もてあた?知るか。俺はこの傑作でもってアンタを守り抜くことを誓おう」

    大般若に握られた手と反対の手を、まるで宝物のように包んで国広は冷えた長義の手を頬に当てた。
    それは熱でもあるのかと思うほどに熱い。
    その温度に驚くものの、凍りついたように動かなかった口は動くようになった。

    「俺の理念を勝手に略すな。優しい眼差しも腹が立つよ偽物くん。表情筋生きてたんだな驚いた。あとその傑作とやらは戦場で使え、俺に使うな」

    鼻を鳴らして不遜な態度を取るものの、ここで誰かが部屋を訪ねたら何があったと騒ぎになるような異様な光景だった。
    恨みがましい目で長義は白山を睨んだが、当の白山は相も変わらず無表情で、会話が止まったのを見定めると再び語り始める。

    「ここまでは政府と各本丸、そして配属された山姥切長義と審神者の問題です。そして、この件に異を唱える者が出てきました・・・それが次なる問題となりました」

    問題?と、長義を除く集められた者たちが反応した。

    「君は地雷原に爆弾を放り投げるのが趣味だったのかな?俺の身を案じるなら、今の状況を案じてほしいんだけど」

    「最も多いのは山姥切国広と南泉一文字、政府調べで山姥切長義と恋仲になることが多いと出ています」

    長義が明らかに険しい顔で嫌味を言っても、白山は続ける。
    そして、その言葉に長義の顔は引き攣った。

    「お?流れ変わったか」

    「はいはい多いらしいね知ってるよ。その両名がそれぞれ四割ずつだったかな。さっきから言ってるけど俺のことじゃないから、好きにすれば良いんじゃないかな。ねえ、この話まだ続ける気?」

    ……To be continued
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