黑限のどきどき!結婚式 〜迎亲篇〜ー
「…で、なんで仕事着着させられてるの?俺」
ぴったりとした黒のハイネック・ウェアと、同じ色の下履きを身に纏った小黒はそう言って、正面に立つ二人にジト目を向けた。
「当たり前でしょ?小黒はこれから試練を受けるんだから」
強気な眉毛はそのままに、流麗な瞳を返してまずその内の一人── 山新が言った。
「うんうん。礼服が汚れちゃったら大変だもん!」
その隣に立つ紛紅色の髪をした少女── に見えるが、立派な成人である── 小白も、それに同意する。
「…で、何すればいーの」
「うん。それじゃあまず珠穆朗玛峰に登ってもらいます」
「待って」
「山新たちはどーやって行くのさ!?」
「藍玉盤」
当たり前のように藍玉盤を取り出す山新
「…………」
「まあ、本当にエベレストの頂上で式をするわけじゃないから。登り切ったら妖精館に場所を移すわ」
「がんばってね、小黒!小黒ならぜったい出来るよ!」
※
妖精館内
「よくここまで辿り着いたわね…!さすが、山新軍団随一の斬り込み隊長・羅小黒」
「…ハア…ハア……、水……」
「お疲れさま、小黒」
「あ……ありがとう、小白…」
場所を移す。
闘技場のようになった広場。沢山の観客で席が埋まっている。歓声。
「なに、ここ…この館にこんな所あった…?」
「うん、特設ステージだって。山新が造ってもらったみたい。もちろん館長さんの許可は取ってあるよ」※山新はIT会社の社長なので金持ち
「え、えええ…」
会場中に山新の声が響き渡る。
「会場にお集まりのお前ら〜!!!!今世紀最大の武闘の祭典、羅小黒の結婚式にようこそ〜〜!!!!!!!!」
客:ウオおおおおお!!!!
「赤コーナーから現れましたるは本日の主役!!!!金属性と空間属性の二刀流……誰もが恐れ慄き泣き叫ぶ最強の執行人に師事された、最強小猫・羅小黒〜〜〜!!!!!!!!」
客:うおおおおおおおお!!!!!!!!
「何なのこれは」
「そして金コーナーから来たるは二条の凶星!!!!」
「は?」
「(谛听の紹介)」
客:うおおおおおおおおおお!!!!!!!!
「何してんの、あんた」
「老君の代理だ。おめでとう、小猫」
「いや、ええ……」
「驚くのはまた早い!!!!(哥哥の紹介)」
「はは…どうも〜」(客席に手を振る哥哥)
「………」(ジト目小黒)
「視線が痛いなあ…」
「二対一とか、歳上なのに恥ずかしくないの」
「この組み合わせは山新が……いや、まあ…ほら、はは…」
※
「強い!!!!!!!!!!!!これ以上の説明は不要!!!!!!!!!!!!」
「ちょっと」
「無限大人だあ〜〜ーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
客:うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
「山新、もしかして俺のこときらい?」
「好きに決まってるでしょーが。これが最終マッチよ。ファイト小黒☆」(キラッ)
「喵…」
「…だってこんな…見せ物じゃんか、これじゃあ…」
「…小黒。自信が無いならやめてもいい。無理するな」(煽り)
「…は?」
「またいつか、結婚したいと思ったら、挑戦するといい。私もそれまで待っているから」
「…………」
「あんたを負かして、あんたと結婚してみせる」
「……フッ。来(来い)、小黒」
開始.05秒でやられそうになる小黒
ぞくぞくする