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    チビきー

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    チビきー

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    2021.12.12 無配

    #ツイステ
    twister
    #マレレオ
    maleLeo

    すれ違い「卒業したら僕は国へ帰る」
    「―そうか  せいせいすらぁ じゃぁな」

    その日、俺とアイツとの関係は終わった。
    お互い立場があるからなんとなくはわかっていた。所詮は学園に在籍している間だけの関係―それでもアイツとならって僅かに期待をしていたのは俺の勝手だ。
    卒業式を終え何処からか視線を感じたが無視を決め込む。少しでもアイツの気配を感じたくなくて俺はすぐに国へ帰った。
    そしてそのままよくも知りはしない雌と結婚させられた。
    第二王子だからか派手な結婚式がなかったことは不幸中の幸いだったと思う。
    結婚したからと言っても何か変わるわけではなかった。
    チェカがいる為か、特に世継ぎをとせっつかれる訳でもなし。結婚したにも関わらず嫁となった雌の顔も見ることもない。何のための結婚だったんだ?と思わなくもないが煩わしい思いをしなくてすむのならそれに越したことはない。
    四年になったラギーを実習と称して変わらず傍に置いている。たまにスラムの環境改善として同行させている。
    そんなラギーも卒業し本格的に俺の傍仕えとして今までと何も変わらない生活を過ごして数年。
    NRCから同窓会の知らせが届いた。同窓会と言ってもかつて学年を共にした奴らだけでなく前後の学年の奴らも参加する様だが俺には関係ない。ラギーに不参加を言い寝台に沈んだ。
    にも関わらずラギーの野郎は勝手に参加で返事をしやがった。
    「てめぇ 何勝手なことしてやがる!俺は行かねぇからな」
    キレた俺に対してラギーは態度を変えることはない。むしろ
    「何ビビってんスか?たかだか同窓会程度www」
    と煽ってくる始末 マジでなんなんだこいつ?今度こそ砂にすんぞ?


    その頃マレウスの元にも一通の手紙が届いていた。送り主は元監督生。
    彼は結局元の世界に帰る事は叶わず、そのままこのツイステッド・ワンダーランドにいる。今は確かNRCで助手をしていたはず。
    電子機器を苦手とするマレウスとは文通相手として卒業してから数年経つ今でも連絡を取り合っている。
    今回の手紙の内容は同窓会への招待だ。在学中から何故か寮長会議など集まりに招待されないマレウスは監督生からの招待が嬉しく即参加の返事を返した。

    「レオナは参加するのだろうか…」

    ふと思い出した柔らかく温かい愛おしい記憶
    他者がいる前では憎まれ口ばかりだったが二人きりの時の素直な彼
    『目は口ほどにものを言う』を体現したサマーグリーンの瞳。

    卒業を間近に控えた僕たちはその夜も逢瀬を重ねていた。
    その日、そういえば卒業後の話をしたことがないなと思い至り
    ― 卒業したら僕は国へ帰る ―と告げた。
    例え国へ帰ったとしてもこのまま関係を続け、彼さえ良ければゆくゆくは茨の谷へ迎えようと告げるつもりだったのだがその前にレオナは僕の元を離れた。
    何がいけなかったのだろう?
    結局そのまま言葉を交わせず卒業し彼も国へ帰ってしまった。

    「もし会えるのならあの日に伝えられなかった話がしたいものだな。」






    そして同窓会当日。
    久しぶりの再会に賑わう会場の一角に不貞腐れたレオナがいた。ラギーに煽られても不参加の姿勢は変わらなかったのだが、何処からか話を耳に入れた兄が『行きたくないのなら無理に行く必要はない』と仕事を放置して構いに来たり、図体ばかりデカくなった甥が『それなら僕と遊んで』とひっついてきて鬱陶しいことこの上なかったので必然的に参加せざるを得ない羽目になったのだ。
    そんな不機嫌極まりなかったレオナはある気配を察知した。

    ―アイツだ―

    あれから何年も経つのにまだ未練があるのか…そんな自分が嫌でレオナは気配を消し会場を離れた。

     級友との挨拶を終え監督生と話していたマレウスは『彼の』気配が動くのを感じた。
    そんなマレウスに何かを察した監督生は
    「ツノ太郎大丈夫?気になる事があるなら行った方がいいよ」
    彼はマレウスとレオナの関係を詳しくは知らなかったがNRCの生徒の中では空気を読むことの出来る人間だった。
    「すまない人の子 感謝する」
    「大丈夫だよ 今日は会えて嬉しかったよ また手紙書くね」
    そう言って監督生はマレウスに手を振り親しい級友の元へと向かった。

    そしてマレウスはかつて彼が好んでいた植物園に当たりをつけ音もなく会場から消えた。





    ―なんで逃げてきてしまったのか―

    逃げる必要なんてなかったはずなのに、あの気配を感じたら自然と足は会場を離れていた。
    「もうアイツとは関係ない…終わってんだ…なのになんでっ」

    「やはり此処だったか 久しいなレオナ」
    「マレッ! っなんでテメェが此処にいるんだよ」
    完全に気配を消してきたはずなのにさすが茨の谷の国王
    「お忙しい国王様はご学友とのご挨拶が終わったんならさっさと国へお帰りになられた方がよろしいのでは?」
    こんなことが言いたい訳ではないのに
    「何故そんな事を言うんだ?まだお前と話が出来ていないではないか」
    「はっ テメェと話すことなんざこっちにはないね さっさと消えろ」
    いつだって素直になれない自分に嫌になる。
    「それでも僕はお前と話がしたかった。レオナ何故あの日僕の元から離れた?」
    一瞬呼吸が止まった。何故?お前がそれを聞くのか?
    「何故?お前が国へ帰るって言ったからだろ?それ以外なにがあるってんだ」
    「? 確かに帰るとは言ったがそれが何故僕の元を離れる理由になる?」
    何言ってんだコイツ?話が噛み合わない。
    「もうどうだって良いだろ」
    もう終わったことだろ…
    「良いわけないだろう あの日お前が僕の話を最後まで聞かなかったせいで随分と無駄な時間を過ごしてしまった。」
    何を言ってんだ?だってあの時―
    「なぁレオナ 僕の事はもう好いてはいないのか?」
    「は?今更何言ってッ…」
    「何年経っても僕の気持ちに変わりはない 好きだよレオナ」

    は?
    「いやっ お前何言って… ってかマジで今更そんなこと言われてもッ」
    「僕としてはお前に茨の谷へ来てほしいが「いや話聞けよ」ん?何か問題でもあったか?」
    いやいや問題しかねぇよっ
    てかなんだよそれ 今更そんなこと言われても俺は―
    「そんなこと言われても俺はもう番を…」
    「知っている そんな形ばかりの伴侶などどうとでもなる」
    は?何言ってんだ いくらお前でもそんなことッ
    「それよりも僕の問いには答えてはくれないのか?」
    「チッ 答える義理はねぇ」
    そんなこと言えるわけない
    「僕は聞きたい お前の―レオナの口から」
    言っていいのか?あの日から蓋をしていたこの気持ちを
    「くどい! 俺はっ 俺 は 」
    「レオナ 愛してる 僕と共に来てほしい」
    「クソッ バカヤロ… 言うのが遅ぇよ…」








     その後マレウスの方で何かしたのかあの雌との結婚はなかったことになっていた。
    まぁ式をあげたわけでもないから国民にも周知されていないし面倒はない。
    でも何故か俺が茨の谷へ『友好の証』とでも言うかの如く嫁ぐ事になった。
    嫁ぐ?何故だ?まぁ似たようなもんだが腑に落ちない。
    でもだからと言って今すぐ茨の谷で住むと言うわけではない。
    俺はこっちでスラムの環境改善事業に携わっているし此処を離れることはできない。
    ラギーは傍仕えではあるが俺と同じ王宮ではなく実家のあるスラムから通っているからそっちの心配もない。
    俺の問題だ…互いの気持ちを再確認してもやはり今更過ぎて恥ずかしい。俺の心の準備が出来るまで待っててもらうことにした。
    それでも以前と違い、心は繋がっていると言うのと休日が合えば互いの部屋(チェカが乗り込んでくるので主にマレウスの部屋)に泊まれると言うのが良い。

    そんな今夜はマレウスの部屋にいる。
    実はなんだかんだで共に夜を過ごすのは久しぶりだ。


    「待たせたかレオナ」
    「ん~そんなに待ってねぇ それより早く…」


    どんな夜になるのかは俺とマレウスだけの秘密―
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