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    まる@雑多

    @sakkurinn1
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    まる@雑多

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    #シエウノFes 過去作再掲

    ##グラブル

    無題「シエテって、ウーノのことが好き?」
     新しく騎空団に加わったウーノの歓迎パーティーは終わり、現在の場所は人気のないグランサイファーの甲板上。そこにシエテの姿を見つけた私は、声をかけて共に月見をしていた。彼はよく喋る方だが、今日はいつもより落ち着いた様子だった。その横顔に、そんな言葉を投げてしまったのは美しい月のせいかもしれない。
    「どうしたの、団長ちゃん」
     突飛な質問だと思ったのだろう。シエテが首を傾げる。
    「あ、ごめん。思ったことがそのまま口に出ちゃった」
     実際、私にとってもそれは突飛な質問であった為、素直に謝る。それから、もう口に出してしまったからいいかと思い続けた。
    「シエテの、ウーノを見る時の目がね。なんていうか、熱いなぁって」
    「団長ちゃんは俺のことよく見てるなぁ。そんなに俺が好き?」
    「シエテのことは好きだよ。仲間だから」
    「あはは、俺も同じだよ」
     真顔で返せば、シエテは笑って私の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。
    「その言葉はどこに掛かってるんだか……」
     手を振り払ってやろうかと思ったが、先程のこともありなんとか思い留まる。でもあと五秒続けたらやり返そう。そう思っていると、シエテの手はあっさり離れていった。
    「ちょっと耳貸して」
     その言葉に、髪を耳にかけて「どうぞ」と答えれば、シエテの顔がすぐ隣に接近する。それから、耳元で低い声。
    「それは、秘密」
     それだけ言って近付けた顔を離したシエテに、私は不服を現すかのように眉根を寄せる。
    「……それ、耳打ちする内容?」
    「団長ちゃんってば照れちゃってー!」
    「ところで今さっきウーノの気配がしたんだけど気のせいかな?」
     胡乱な目で見れば、シエテはほんの少し視線を逸らして、「気のせいじゃない?」とか適当なことを言う。
    「シエテのあほ。ウーノに嫌われちゃえ」
     私は真面目な顔で低い声を出して立ち上がった。それから船室への扉に大股で向かう。
    「おやすみ〜」
    「おやすみ!」
     扉を開いた私に、ひらひら手を振ってきたシエテに対して、律儀に挨拶を返したせいか、楽しそうな笑い声が聞こえた。が、私は相手にせず後ろ手で扉を閉めたのだった。



     それから数日後、船内で顔を合わせたシエテが、「ウーノが全く相手にしてくれないどころか、君のことは信用しているけれどもって前置き付きで、『きちんと責任を持った行動をするんだよ』って真顔でこんこんと諭されたんだけど……団長ちゃん、ちょっと釈明手伝ってくれない?」と多少は落ち込んだ様子で協力を仰いできたので、私は満面の笑顔で言ってやった。
     「自業自得」と。
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    まる@雑多

    DONE2020年5月に書き始めて未完のまま放置していたものを、この前発掘して、2023年のいま完成させたシエウノ小説です。
    2020年の私が途中まで書いているのですが、まあシエテがめちゃくちゃ可愛い。いや、シエテが可愛いのは世界の真実ですが、今の私からこのテンションのお話は出てこないなあと思います。可愛いシエテしかいません。
    頑張って可愛いままに終わらせました。そのつもりです。不穏なことは一切無いです。
    予期せぬ告白の余韻 シエテが、ウーノに最初に好きだと気持ちを伝えたのは、酒の席だった。


     二人で街のバーに入って、隅のテーブル席に座り、情報交換をしながら酒を楽しんだ。
     シエテも酒に強いのだが、ウーノは所謂ザルだ。その小さな体でよくもまあそんなに飲むものだと思う。
     久しぶりに二人で酒を楽しんだせいか、シエテは少し理性が緩んでしまっていた。だから、楽しく酔っ払った結果、楽しく気持ちを告白してしまった。
    「ウーノ。俺ね、ウーノが好きなんだ」
     シエテが頬をゆるゆるにしながら伝えると、ウーノはほんの少し驚いた顔をしたものの、「それは嬉しいね」とまるで子どもに対するかのように微笑んだ。この時点で冷や水を浴びせてくれればよかったのに、と翌朝のシエテは思う訳だが、このときのシエテは単なる酔っ払いであった。ウーノが微笑んでくれたことが嬉しくて、彼の片手を取って、その手の平にちゅっと口付ける。そのまま舌を出して、ペロリと舐めた。僅かに汗の味がする。
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