【曦澄】もう一度 #1「そんな……」
突然の訃報に藍曦臣は言葉を失った。
江宗主、江晩吟の妻君が亡くなったという。
病に侵されたなどの話は聞いていなかった。つい先月会った時も元気そうだったのに。
信じがたい気持ちで届けられた文に目を落とす。だが、そこには葬儀の日取りが淡々と書き添えられていただけだった。
「……」
本当なのか。
身内を失う痛みを彼の人はまたも味わうのか。天を仰ぎ、沈痛な面持ちで藍曦臣は深くため息をついた。
そして葬儀の日。暗く沈んだ蓮花塢を訪れた藍曦臣を出迎えたのは魏無羨だった。
訃報を聞き、真っ先に駆けつけた後、細々と葬儀の手配を手伝っていたらしい。
こっちに江澄がいるから。そう言って案内された部屋には、棺の傍に控える江晩吟がいた。二人の幼い子供が父親の衣の裾を握り締めながら寄り添っている。
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