「手の大きさを比べる曦澄」その後「晩吟、無羨から興味深い話を聞いたのだけど」
「あいつの話の九分九厘はくだらん事だ」
「いいえ、晩吟」
微笑みながらそっと江澄の手をとる曦臣。
「私には、とても有益な情報だったよ」
曦臣は両手でそっと包んだ江澄の掌を、丁寧に開いていく。
「貴方はどこもかしこも美しい」
言いながら、曦臣は母指球、小指球を両手で指圧した。
そのまま指の付け根まで少し強めの圧で揉み上げると、次は指を一本ずつ根本から爪の先まで細かく揉んでいく。
その心地よさに、「魏無羨の興味深い話」に対する嫌な予感がとかされていく江澄。
しかし、
「俺は美しくなどない。どこもかしこも美しいのは貴方の方だ」
拗ねた子供のような言い方になってしまったが、江澄は心底そう思っていた。
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