トレーニングのあと動けないだとか抜かすビリーを小脇に抱えてトレーニングルームから放り出すのが日課とすらなっていた頃だ。最初から気になってはいたがこうしてトレーニングを重ねても能力を使わずとも抱えられる軽さに少しだけ心配を覚えてしまう。筋肉の付きやすさは個人差があるのも承知しているがそれにしても腕を回した腰だとか、僅かな筋肉しか付いていない身体だとか少し力を入れるだけで簡単に折ってしまえるんじゃないかと思って馬鹿な考えに直ぐに首を振る。
「(…そんな柔じゃねぇだろうけど。)」
ふと、視線に気付いてビリーを見れば小脇に抱えたままいつまで経っても動かない事に戸惑ったのかじっと俺を見上げていた。なんとなくそれが癪に触る気がして、ビリーを掴んでいた手を放して床に落とせば大袈裟に痛いと騒ぐ。そんな批難の声なんてものは無視をしたが。
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