ユノスケ☆quiet followDONE千ゲばれんたいんねたこんな話100億万回見た… 「千空ちゃんみーっけ」雪がちらつく冷え切った夜。ラボで作業をしている千空の耳に、ゲンの軽い声が届いた。千空は特に反応もせず薬品をフラスコへ入れて混ぜている。ゲンは千空の隣へするりと滑り込むように来てその様子を見ると、唇を尖らせた。「なんか言ってよ〜」「生憎反応してる暇もないもんでな」千空は仏頂面でそれだけ伝えるが、ぶっきらぼうな態度に慣れっこのゲンは意にも介さない。「今日はバレンタインだよ〜?」「ドラゴは溜まったか?」「順調に儲かってまーす」「そこは抜かりねぇな」「もちろん」悪い顔をした2人の目が合う。ゲンは何もないことを証明する為に両手を千空へ広げて見せ、くるりと手首を回し、また手を開いた。その瞬間、紙幣が両手いっぱいに溢れ出し、床へひらりひらりと舞い落ちる。「クク、テメーならインチキで大金持ちになれそうだわ」「ゴイスー人聞き悪いなぁ」クスクスと笑いながら、ゲンは落ちた紙幣を拾い服の袖にしまった。イベント独特のふわふわとした高揚感は、この空間においては微塵も感じられない。ゲンは無色透明な液体がフラスコの中で渦を作っている様子を見ながら言葉を続ける。「ところで、千空ちゃんはバレンタインの思い出ないの?」「興味も関心もねーからどうでも良いわ」「女の子から告白とかさ…青春真っ盛りだったんだしあったでしょ」「さぁな」再び作業の方に集中し始めた千空の表情は変わらない。強い思いを宿した赤い目は、手が届かない至上の宝石のようにきれいだ。告白のひとつやふたつ、いやそれ以上普通にあったんだろうな。本人は気に留めてなかったんだろうけど。ゲンはそこまで考えて、それより先を想像することをやめた。少しの間沈黙が2人を包む。扉を閉めていても、吐く息は白く、やがて灯りへ溶けていく。フラスコの渦が緩やかに水面を揺らしている。急に静かになったのが気になって、今度は千空が口を開いた。「テメーはどうだったんだよ。インチキでも芸能人だったんなら毎年すごかったんじゃねぇの」「相変わらず辛辣だねぇ…そりゃ、ファンの子から沢山チョコ貰ってたけど、なんかときめきとは違うっていうか…」「随分とわがままだな」呆れた、と嘆息する千空にゲンは苦笑する。「そうかもね〜。でも、なんかこう、情熱的な出来事が欲しいわけよ」「…例えば?」「例えばって言われると難しいけど、不意打ちでドキッとする言葉とか、行動とかされること?」「ふーん」「聞いといてその反応…いや千空ちゃんって感じだけどね〜」知ってた知ってた、とゲンはへらりと笑って少し自分の掌を見つめ、それから。「千空ちゃん」「なんだよ」「今日も頑張ってる科学少年に、良いものあげる〜」ゲンは握ったままの右手を千空へ差し出す。左手でパチリと指を鳴らし、右手を広げた。「ハッピーバレンタイン〜♪」そこには、淡いクリーム色と、薄緑色がマーブル状になった丸い塊がひとつ。「…テメーの手はなんでもでてくんな」「でっしょ〜?フランソワちゃんが、頑張ってる千空ちゃんのために作ってくれた特製のショコラだよ」「そりゃおありがてぇ」千空はゲンの掌からチョコレートを摘み上げると、口に頬張った。それは、舌でゆっくりと溶けていく。「さっすがフランソワだわ。うめぇな」ゲンは千空の顔を嬉しそうに見ている。千空もそれに気付き、2人の視線が絡み合った。「へー、どんな味?、っ」そう言うが早いか、後頭部を強く掴まれると、ゲンの視界はあっという間に千空に支配され、唇を押し付けられたことに気づく。「んぅ?!せ、んく…んむ」言葉を紡ごうと開いた唇に舌を捻じ込まれ、ざらついた感触に肩が震えた。親指で髪を下から上へ撫で上げられ、痺れるような感覚がゲンを襲う。ほろ苦い抹茶の香りと、脳内を侵す蕩けたホワイトチョコの甘さのせいで考えることを放棄しそうだ。「んっ…ふ、う、はぁっ…あ、」口腔内を千空の舌が這い、絡み合ううちに唾液が口角から溢れた。それを顎のラインから伝うようにゆっくりと舐め上げていくと、ゲンの喉がひくっと動く。「わかったか?どんな味か」吐息と共に零された言葉と挑発的な顔の千空を見て、呆然とした顔をしていたゲンもそれに応じるように妖しく笑い返す。「…わかんなかったから、もう一回ちょうだい?」「?…ぉわっ」ゲンは一度離れた千空の胸ぐらを掴み、力任せに引き寄せた。滅多に見ない、目を丸くしている千空に気を良くしながら舌で歯列をなぞる。お互いに目を閉じて唇を覆えば、もう2人の存在以外は何も感じられなかった。唾液が交わる水音が鼓膜を震わせ、縋るように背中を掴む指が服に深い皺を作る。そのまま隙間なく抱きしめると互いの心臓の音が混ざり合っているようで、ひとつになっている時のあの感覚が思い起こされ背筋がぞくぞくとした。そんな身体の反応を完全に読んでいるかのように千空の指がゲンの骨盤から脇腹の辺りをつうと撫でる。あぅ、と弱々しい喘ぎがゲンの唇から溢れ、背中が仰反ると、千空は息を漏らして笑った。次第に呼吸が苦しくなり、ゲンが千空の胸を軽く叩くとようやく唇が離される。2人の唇を繋ぐ糸が引いてぷつりと切れたのを、無意識のうちに目で追っていた。「で、美味かったか?」「はぁっ…ちょっと…ジーマーで激しいんですけど…いや美味しかったと思うよ?良くわかんなかったけど!不意打ちやめてよ…」足元がおぼつかず、へなへなと座り込んだゲンを見下ろして、千空は「腰抜かしてやんの」と揶揄いながら手を差し出す。「いきなりこんなの、ずるい」頬に赤みが差したまま、ゲンはその手を取る。千空はゲンをぐいっと引き上げると、赤い瞳をぎらりと光らせて不敵に笑った。「こーゆーのがご所望なんだろ?」呆気に取られたように口をぽかんと開けて、暫くゲンはその顔を見つめることしか出来なかった。今までもこれからも、きっと何度も同じことを思うんだろう。この男には、一生敵わない、と。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow ユノスケDONE汁フェス2021開催おめでとうございました!エロくないけどべっとりしてます。色々変だけど雰囲気で察してください。全年齢のえちおねを目指した…つもり…漫画史に残る名台詞、これが言えるのはゲンしかいないと思った。笑「千空ちゃん、ちょっと休憩しない?」そう言って姿を現したゲンの手には鮮やかな橙色のオレンジが2つ。千空はまじまじとそれを見た。「オレンジなんて生えてんのか。3700年の間で色々おかしくなってんな」「まあまあ、そういうことは置いといて。スイカちゃんが採ってきてくれたの」「これ、頑張ってる千空に差し入れなんだよ~!」と喉に手を当てて声を変えたゲンに、「声帯模写やめろ」と千空が眉を寄せる。ゲンはお構いなしに隣へ腰を下ろし、1つを千空へ手渡した。手のひらに収まるくらいの大きさだが、ずしりと重い。親指に力を入れて皮を剥くと、一気に柑橘の清々しい香りが漂った。「ん~ゴイスーいい匂い!美味しそう!」そう言ってゲンはオレンジを丸かじりした。ぐじゅ、と実が押し潰されてはじける音がする。持っていた手に汁が纏わりつき、指が光で反射して白く光沢を帯びていくのを千空はじっと見ていた。ゲンはその視線に気づいて小首をかしげる。「なに?」「…いや、不味かったら食べたくねーから、テメーの反応見てから食おうかと」「俺に毒見させたってわけね…大丈夫、フツーに美味しいよ」ゲンは苦笑して 2080 ユノスケTRAINING好きと言って欲しいゲンの話ワンライ(という名の1時間半)そして一人称練習。かっこよく好きという千空は居ない。全体的に薄い。ただのバカップル風味。「はぁ〜」 今日も今日とて地獄の地道ドイヒー作業中。俺は深い溜息を零した。 もちろんこの尋常じゃない単純作業の応酬に対してもそうなのだが、どちらかと言えばもう一つの悩みに関してだ。「言葉が欲しい…」 千空ちゃんとお付き合いを始めてからそれなりに月日が経った。 俺自身は早い段階から自分の気持ちに気づいていたからコントロールはしていたと思うけど、千空ちゃんから同じ想いを伝えられた時にはついに都合のいい幻覚を見るようになったのかと自分の精神状態を心配したほどだ。しかし、どうやらそれは真実らしかった。それは幸せなことではあるんだけど。隣でしかめっ面をしながらロードマップを書いている千空ちゃんを少し睨んでみる。俺の視線に気づいたのか、千空ちゃんの強い瞳がこちらを向く。「なんだ」言って欲しい。「好きって言って欲しい」そう、千空ちゃんに言われたことがないのだ。好きだと。「いきなり何言ってんだテメーは」千空ちゃんは思いっきり怪訝そうな顔をして、それだけ言って視線をロードマップへと戻す。わかってたけど、ジーマーでどうでもよさそうだね。「千空ちゃん、俺と一応 2277 ユノスケMOURNINGとにかく甘やかされてる千空と甘やかしてるゲンですゲン視点。内容はない…ここ数日、どうやら千空ちゃんは寝ていなさそうだった。若いから何日か寝なくても平気なのかもしれないけど、昼はカセキちゃんやクロムちゃんと科学工作してるし、夜は設計図に書き込んだり計算したりしてるし、ずーっと何かしている。日に日に目の隈ができていく様子をただ見ているのも、流石に辛くなってきた。と言うわけで、ちょっと息抜きしたら?と天文台へ半ば強引に連れてきたのだけど、案の定目の前の科学少年は不機嫌そうだ。「用があるならさっさと言え」「そう言うと思った。じゃあ望遠鏡覗いてみてね」「さぞかしいいモンが見れんだろうなぁ?」「さぁ、どうかな〜?」言われるがまま、千空ちゃんは望遠鏡を覗いた後、小さく肩を揺らした。「おー、銀河か。まあ冬は見えにくいんだが。今日は新月だからよく見えるな」「天の川ってきれいだよね〜。俺こんなの見たことなかったよ、ここに来るまでは」「こっちは100億回見てるわ」ぶっきらぼうに話すけど、望遠鏡から目を離さない。まるで新しいおもちゃを貰った子供みたいだな、と思う。「今日はここから更に、綺麗なものを見せちゃうよ」「そら大層なこった」ククク 2064 ユノスケMOURNING雨がすごかったので。突然始まり突然終わります。曇天がどこまでも広がっていた。独特の湿気た匂いがゲンの鼻を掠める。村の住人は外での作業をやめ、足早に屋内へと入っていく。賑やかだった音がひとつまたひとつと消え、やがてひとりの男だけが残された。間もなく降り出した雨は、地面を黒く染め上げていった。柔らかく落ちていく霧雨に包まれる感触は悪くない。どうせ手に入らない温もりを待っているよりは余程マシだと思った。さらさらと心地のいい雨音だけが広がり、世界にひとりだけしかいないような気持ちになる。寂しさを感じると同時に、不思議と気持ちが高揚する。いつもよりも広い歩幅で、踊るように足を踏み出せば、湿り出した地面は体の重みを受け止めきれずに少し沈んだ。そうして吸い寄せられるようにゲンが向かった先は、灯りが漏れていた。後頭部を掻きながら、紙に筆を走らせている音が耳へ届く。霧雨はやがて重みを増し、地面を叩き白く跳ねた。髪を伝う水滴を気にも止めず、ゲンはその後ろ姿を見つめていた。人類を救い文明を復興させると豪語する背中は、か細く幼い。本当だったらまだ守られていたはずなのに、とてつもなく重い荷物をひとりで背負っている。そう思 1593 ユノスケDONE千ゲばれんたいんねたこんな話100億万回見た…「千空ちゃんみーっけ」雪がちらつく冷え切った夜。ラボで作業をしている千空の耳に、ゲンの軽い声が届いた。千空は特に反応もせず薬品をフラスコへ入れて混ぜている。ゲンは千空の隣へするりと滑り込むように来てその様子を見ると、唇を尖らせた。「なんか言ってよ〜」「生憎反応してる暇もないもんでな」千空は仏頂面でそれだけ伝えるが、ぶっきらぼうな態度に慣れっこのゲンは意にも介さない。「今日はバレンタインだよ〜?」「ドラゴは溜まったか?」「順調に儲かってまーす」「そこは抜かりねぇな」「もちろん」悪い顔をした2人の目が合う。ゲンは何もないことを証明する為に両手を千空へ広げて見せ、くるりと手首を回し、また手を開いた。その瞬間、紙幣が両手いっぱいに溢れ出し、床へひらりひらりと舞い落ちる。「クク、テメーならインチキで大金持ちになれそうだわ」「ゴイスー人聞き悪いなぁ」クスクスと笑いながら、ゲンは落ちた紙幣を拾い服の袖にしまった。イベント独特のふわふわとした高揚感は、この空間においては微塵も感じられない。ゲンは無色透明な液体がフラスコの中で渦を作っている様子を見ながら 2532