Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    いと(ito_rin_mori)

    @ito_rin_mori

    杏千🔥🧹文字置き場
    原作・キ学・現パロ色々

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🌙 🐦 🐥 🍎
    POIPOI 56

    いと(ito_rin_mori)

    ☆quiet follow

    20250822 ~20250824 ※8/24 8:30追加
    ホー常WEBオンリー「暁の鷹は月と添う5」展示作品
    ご覧頂き、ありがとうございます。
    8/31まで公開しておきます。

    カイチョホ×DK常くん
    恋心の自覚に関してはご想像にお任せします。

    マウント「こないだ聞いたよ。常闇くん、よくやってますって」
     突然の言葉にぎょっとする。誰からとは聞かずともわかる。インターン先の所長からだろう。今まさにインターンの話をしていたから、文脈から見ても間違いない。自身の評価を第三者から聞くのは嬉しいものだ。だが、まさかホークスから聞くとは思わなかった。
     ホークスは公安委員会会長で、数多のヒーローを束ねて管理する立場にある。一年ほど前まではトップランカーのヒーローで、常闇のインターン先の所長だった。大戦の折に個性を消失し、ヒーローを引退した。そして、現在の職についた。つまり、常闇は継続して同じ事務所でのインターンは不可能となった。大戦でトップヒーローの数は減ったが、元々職場体験でも評価の高かった常闇は大戦の活躍もあり、別のインターン先も無事に見つかった。高評価の要因に、ホークスと空を飛べていたという点があったのも事実だ。だからやはり、ホークスには常闇は感謝しているのだ。そして、ホークスとは現在もこうやって定期的に会って情報交換、今はまだ常闇の相談事項が多いが、をする間柄だ。
     そんなわけで常闇がホークスの元にいたのは周知の事実で、現在世話になっているインターン先はそもそもホークスの元に行けないから、という理由で赴いているのでホークスと関係があるのは当然知っている。だが、まさかホークスに自身について話をしているは露ほども思わなかった。
    「何か仕事で会ったんですか?」
    「いや、連絡があった」
    「何かの用事のついでに、俺の話題も出たのか?」
    「ううん、常闇くんのことだけ」
    「…左様か」
     それもまた驚きだ。ホークスは年若い。大戦で多くのヒーローを失ったが、今なお数多のヒーローが存在し、ほとんどがホークスより年上だ。しかし、公安委員会会長という立場上、気軽に連絡を取るような相手ではない。しかも、たかがインターン生の状況報告だ。なぜなのだろうか、と訝しむが、思いつくのは一つだ。何かしらの失態を犯した、ではないだろうか。それをやんわりと師に伝えたのかもしれない。何かしらミスは当然、自身で責任を取らなければならない。だが、常闇はまだ学生だ。そうなると、自分よりも学校や教師が『何を教えているのか』と評価を受けてしまうのを知っていた。特に雄英高校となればネームバリューは絶大だ。そうなると、世間やメディアの目が厳しい。メディアの善し悪しを、常闇は目の前の人物を通して嫌というほど知っている。
     それと同じだけ、インターン先のヒーローも同様の責を負っている。ヒーロー科の学生は、インターンからサイドキックとして就職をするのが一般的な流れだ。雄英生は取り合いになるから、という理由で体育祭での職場体験の指名制度まで存在している。つまりは、同年代の学生の中でも群を抜いて注目された存在なのだ。さすれば、受け入れる側のヒーローにも大きな責任がある。良い人材を確保したい、という目論見はあるが、逆に言えば立派にデビューをさせないといけない。そのあたりは同級生が赴いているファットガムやベストジーニストが各段に育成が上手いように思う。
     急に喉がカラカラになり、ジュースを口に含んだ。ホークスには学生から育成したサイドキックはいなかった。なぜなら、ホークス事務所が受けいれた学生は自分ただ一人だけだからだ。そして、それはたった一年で終了してしまった。そのため、ホークスが世に送り出したプロヒーローは、この世に存在しないのだ。後進育成に興味がないと言いつつも、彼は育成上手だった。やらないと覚えないから、と少人数の事務所の利点を生かして、学生ながらもプロヒーローとそん色ない形で任務にあたらせてくれていた。だから実践型なのかと思えば、言葉でもしっかりと指導をしてくれた。興味がないと言うが、優秀な雄英教師の元で学ぶ自分から見ても、ホークスは育成に向いていると感じていた。
     常闇がホークスの元にいたのは、周知の事実だ。所長にも伝えてある。だから、「一体何を教えていたのか」とホークスにクレームが入る可能性はあるのだろう。飲んでいたジュースを机に置いた。
    「何か、俺は失態をしたでしょうか」
     問いながら、常闇は憂鬱になってきた。改善すべき事項があれば早急にしないといけない。伝えてくれるの有難い。しかし、それをホークスに知られるのは嫌だと感じてしまったのだ。どうせなら、かっこいいところだけを知って欲しいと思っているからだ。貴方の弟子は、こんなにも立派だと言いたいからだ。
    「へ?なんでそうなるの?思い当たることでもあるの?言ったじゃん、よくやってるって言ってたって」
    「思い当たることはないが…貴方が俺のモチベーションを下げないために、話を集約して伝えてくれただけではと思ったんだ」
     ホークスが眉を顰めて口にしていたカップをソーサーに戻した。
    「するわけないじゃん。てか、失態があったらなら俺隠さないでしょ」
     それもそうか、と常闇は納得をする。ホークスは的確に指摘をしてきた。それも、常闇が本人に考えさせ、答えを導きさせるようなやり方だった。時には丸投げに見えるような業務の任せ方もあった。しかし、それは常闇を奮起させる材料になっていた。
    「真逆。めちゃくちゃ褒めちぎってたよ。あまりに終わらないから、電話切ってやろうかと思ったよ」
    「めちゃくちゃ」
    「強いとかはベースとして、個性の使い方の創意工夫が柔軟だ、とか、他のメンバーとの連携が上手い、とか、頭の回転が早いとか」
     語彙力が豊富、とか、気遣いができる、とか、あと、とホークスは指折り数えながら所長の言葉を復唱していく。確かに多い。それを全て覚えているのも流石というのか、なんとも常闇は複雑な気持ちになった。
    「黒影のギャップが可愛い、とか。こんな感じ」
     ホークスがしかめっ面で腕を組んだ。想像がついた。所長は大変良い人だ。ヒーローとしての実力も十分だし、コミュニケーション能力も高く誉め上手で面倒見がよく、育成にも熱心だ。それこそファットガムも誉め上手だ。しかし、彼の場合はズバズバと駄目なことを言う。言うが、それを前向きな言葉に変換し、煽るように、できるだろうと促してくる。切島や鉄哲の性格に合っているし、時折一緒になる常闇も気分が高揚する。だが、常闇が世話になっている事務所の所長は違っていた。とにかく手放しに誉めてくる。褒められすぎていると感じてくらいだ。学生だから気を遣われているのか、それとも本音ではないのかと疑うほどだ。だが、どうやら本当にそう思っているようだ。
    「普段からそんな感じだ。とにかくよく誉めてくる。有難いが聊か大袈裟で、非常に恐縮する」
    「ふーん」
     ホークスが生返事する。何故かホークスが不機嫌そうに角砂糖をコーヒーに追加している。妙な沈黙が流れたので、仕方なしに常闇もグラスを手に取った。
    「良かったじゃん、よく見てくれるお師匠さんが出来て」
    「待ってくれホークス、確かにとても世話になっているが、師匠とかではないぞ」
     ピクリとホークスが飲もうとしていた口につけていたカップを離した。
    「なんで?」
    「なんでと言われても…ご教示賜っているのは事実だが、だからといって師匠にはならないぞ」
    「俺のことは師とか勝手に言ってんじゃん。ちょっとインターンで教えてただけで」
     勝手やちょっとという言葉に今度は常闇がむっとする。勝手なつもりもちょっとでもないのだ。何度か、貴方は俺の師だと伝えてこともある。確かに言度に、彼は、はいはいと、適当に常闇をあしらっている。
    「師よ、俺が貴方を師と呼ぶのは指導のことだけではないぞ」
    「また、師とか言う。俺、君のこと弟子とか思ってないけど」
    「貴方は、俺に人生の指針を示し、目指すべき道を歩き、貴方の想いを俺は受け継ぐべきだと決意したからこそ、師だと思っている」
    「…そんなん聞いたことないけど」
    「伝えていないからな」
     ホークスが唸り声を上げながらコーヒーを飲んでいく。
    「それで、所長になんて言ったんだ?」
    「それ全部知ってます。前からそうですって」
     意外な返答に常闇は瞬きをした。確かにホークスならそうするか、とも思い、ジュースを一口飲んだ。よく知りもしない相手と押し問答をしたり、違います、と論議をしたところ時間の無駄だと思ったのだろう。ただ、それにしては刺のある言い方にも聞こえた。
    「でも、常闇くんは褒めるよりも駄目出しした方がいいんですけどねって」
    「ん?」
    「もっと出来るでしょ、ってやらせた方が常闇くんは伸びるし、最後に褒める方が効果あるって。そうでしょ?」
     ホークスとの仕事を思い出す。学生を信用していないようなことを言っていたわりに、ヴィランを前にして蹴られるような勢いで行ってこいと指示出しされた。絶妙な言葉選びで、こんなもんだっけ、と常闇の負けん気を刺激しけしかけてきた。嫌なことも思い出し、小さく息を吐いた。だが、必ず最後によくやったね、と微笑んで褒めてくれた。普段見られないその笑顔が、常闇には何よりの褒美だった。本人も明かしていない、常闇だけの小さな秘密だ。それを思い出して、少し体温が上がった。余計なことだった、と小さく頭を振る。
    「まぁ…そうだな」
    「黒影が可愛いのには全面同意するけど、君も褒めた時に嬉しそうなの可愛いのにね。普段かっこいいから、それだってギャップなのに、褒めちぎってたら見れてないんじゃん」
     ずっ、と飲みかけのジュースを勢いよく飲んでしまった。上目でホークスの様子を伺うが、先ほど変わらずに少し不機嫌な様子でコーヒーを飲んでいる。
    「別に見れてなくてもいいけど」
     ジュースを吸おうとして、空になっているのを思い出した。持っていても意味がないので、テーブルにグラスを置いた。ホークスはまだコーヒーを飲み終わっていないようだった。砂糖を足したはずなのに、苦々しい顏でチビチビと飲んでいる。常闇は手持ち無沙汰になり、居心地も悪くなってきた。しかし、ふと疑問が湧いてくる。何かのついでに雑談として常闇の話が出るのならば、納得ができる。だが、なぜわざわざ連絡をしてまでホークスに伝えのかは話を聞いても理解ができなかった。
    「しかし、なぜそんなことで貴方に連絡を取ったんだろうな」
     ホークスが置いたカップも空になっていた。約束していた時間ももうそろそろ終わる。多忙な業務の中で捻出してもらっている僅かな時間は貴重と認識しながらも、いつも終わる時は寂しさを覚える。しかも、今日は妙な空気になってしまい、残念な気持ちもある。しかし、ホークスは常闇の言葉にきょとんと目を見開いた。
    「なぜって、俺に常闇くん自慢するためだよ」
    「じ、自慢?!」
    「あ、そういう感じ?」
     驚く常闇に、ホークスはしたり顏になった。そして、先ほどまでの機嫌の悪さはどこへいったかというほど満面の笑みを見せる。
    「まぁ、また連絡きたらもっと言うけど。俺、常闇くんのお師匠さんなんでなんでも全部知っていますって」
     今度は常闇の方が嫌な顔をする番だ。自分は常闇の師ではないと、数分前にも否定したくせに、どの口がいうかという台詞だ。認めろと迫ってはいるが、こうやって肯定されるとそれはそれで不服な気持ちになってくる。
     やはり、ホークスは底知れぬな、と思い、常闇は大きくため息をついた。異形特有の表情の乏しさはあるが、そもそも常闇は協調性が高く、相手を尊重する。敵対する相手でなければ嫌な顔もしない。だが、今の常闇は不満を隠すもせずに、めんどくさそうな表情をしている。それを知るホークスは、ふっと小さく笑った。
    「ほら、こういうところとか」
     そう言って、伝票を持って立ち上がりながら常闇の頭を乱暴に撫でた。不服そうな常闇とは正反対に、ホークスは実に晴れやかで満足そうな顔をしていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺👏💖☺😍☺☺☺☺💯💯💯👏👏💖☺☺💕💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    いと(ito_rin_mori)

    DOODLE20250822 ~20250824 ※8/24 0:45追加
    ホー常WEBオンリー「暁の鷹は月と添う5」展示作品
    ご覧頂き、ありがとうございます。
    8/31まで公開しておきます。

    カイチョホ×プロヒ常くん
    新作でなくべったー転載ですが、最近の中で気に入ってるので。新作とほぼ同じ流れだったな、と今更の気づき。
    できてない。
    具体的な年齢は考えてないけど思春期すぎて8年後軸の方が萌えるかも。
    つまりそういうことみたい ホークスは、口に含んだコーヒーを思わずごくりと喉を鳴らして飲み込んだ。仕事の打ち合わせの後、遅めの昼休憩を取っていた。打ち合わせ相手は常闇で、彼とは定期的にプライベートでも会う間柄だった。仕事で会うならついでに、とホークスは時間休暇を取得し連れ立って馴染みの喫茶店にいた。公安本部にほど近いこじんまりとしたレトロな喫茶店で、ホークスや常闇の立場を慮って何も言わずに人目につきづらい奥まった席へ案内してくれる気遣いもあり、ホークスは重宝していた。
     ランチタイムともティータイムとも言い難い時間帯の店内はまったりとした空気だった。久方ぶりに話す常闇との会話は途切れることなくポンポンと進み、店内の空気と相まってその心地よさにホークスは心身が満たされている感覚に陥っていた。この所は少し余裕もでき、前は習慣で缶コーヒーを飲んでいただけだったが、喫茶店のコーヒーの香りを楽しめるようになってきた。そう思いながらカップに口をつけたところで、思わぬ常闇の発言に目を見開きコーヒーらしからぬ飲み方をしてしまった。
    4679

    いと(ito_rin_mori)

    DONE20250822 ~20250824 ※8/24 8:30追加
    ホー常WEBオンリー「暁の鷹は月と添う5」展示作品
    ご覧頂き、ありがとうございます。
    8/31まで公開しておきます。

    カイチョホ×DK常くん
    恋心の自覚に関してはご想像にお任せします。
    マウント「こないだ聞いたよ。常闇くん、よくやってますって」
     突然の言葉にぎょっとする。誰からとは聞かずともわかる。インターン先の所長からだろう。今まさにインターンの話をしていたから、文脈から見ても間違いない。自身の評価を第三者から聞くのは嬉しいものだ。だが、まさかホークスから聞くとは思わなかった。
     ホークスは公安委員会会長で、数多のヒーローを束ねて管理する立場にある。一年ほど前まではトップランカーのヒーローで、常闇のインターン先の所長だった。大戦の折に個性を消失し、ヒーローを引退した。そして、現在の職についた。つまり、常闇は継続して同じ事務所でのインターンは不可能となった。大戦でトップヒーローの数は減ったが、元々職場体験でも評価の高かった常闇は大戦の活躍もあり、別のインターン先も無事に見つかった。高評価の要因に、ホークスと空を飛べていたという点があったのも事実だ。だからやはり、ホークスには常闇は感謝しているのだ。そして、ホークスとは現在もこうやって定期的に会って情報交換、今はまだ常闇の相談事項が多いが、をする間柄だ。
    4839

    いと(ito_rin_mori)

    DONE20241115 ~20241117
    ホー常WEBオンリー「暁の鷹は月と添う4」展示作品
    開催中、足を運んで下さった皆様、いただきありがとうございました🐥

    無自覚両片想い未満
    大戦後、しばらく会ってなかった2人
    それに名前を付けるなら おやすみと送られてきたメッセージに、おやすみなさいと返す。既読になったのを確認して、画面を消した。今日はちゃんと寝るだろうか、と数秒前にメッセージを交わした相手を思いながら常闇は布団に入った。
     二人の関係は何かと問われると非常に難しかった。
     
     先の大戦の爪痕はまだ大きく残っているが、日常生活は取り戻り始めていた。戦場の1つとなっていた雄英高校も多少の不便はあれど、徐々に授業も再開していた。まだ仮免許とはいえ、復興作業では学生も大事な戦力だ。大戦直後は、授業もなかったのでほぼ毎日復興作業に駆り出させれていたが、学校が再開した後は週末が中心となった。さらに一ヶ月が経つと、休みをしっかり取れとの指示の元、学生の支援は週に1回程度へとなった。それは予測よりも早い速度で復興計画が策定され、そして順調どころか前倒しで復興が進んだおかげであった。その先導指揮を取ったのは新しく就任した若きヒーロー公安委員長だった。大戦前、戦力の底上げとして学生の強化を進言したのも彼だったが、大戦後に学生をいち早く学生生活に戻す算段を整えたのも彼だった。かの人こそ、常闇が関係性の表現に悩む元№2ヒーローのホークスだ。
    12033

    いと(ito_rin_mori)

    DONE20241115 ~20241117
    ホー常WEBオンリー「暁の鷹は月と添う4」展示作品
    開催中、足を運んで下さった皆様、ありがとうございました🐥

    両想い 年齢設定不明なのでお好きにどうぞ
    ふと過去の経験を🐥くんに聞くホ師
    不意に近づく息 床に座り、対面した状態でさわさわと両手で頭部を触られている。仮にも恋仲であるならば、その触れ合いに幾何かの熱や甘さがあっても良さそうだが、そういうものは伝わってこない。恋仲になるその前からも、頭を撫でられることはあった。元より幾分、手の主は他人に対して距離の近い性質があった。そこに多少なりとも周囲よりも後輩として気にかけられていたとは感じている。身長差が丁度良かったこともあるだろうが、その触れ合いは単に幼子への称賛対応に似ていた。少々悔しさはあったが、かと言って不快ではなかった。さて、要するに眼前の彼は常闇の感触が人の頭皮とは違うから気に入ったようだった。
     しかしながら、二人の関係が少しばかり変化した頃から、こうやってただひたすら感触を楽しむような触れ方をしてくるようになった。無機質とまではいかないが、これまでの褒美をくれるような特別な触れ方と違っており、少なからず戸惑った。恋仲の方がむしろ情熱的になりそうなものなのに、違っていたのだ。いつも唐突に始まり、わしわしと心地よい程度の乱暴さで触れられ、本人が満足したらなのか知らないが唐突に終わる。不思議ではあるが、嫌なわけではないので常闇は好きにさせている。しかし、熱がないとはいえ、恋仲の大きな手で触れられれば心臓は高鳴り、身体は緊張をする。そんな常闇の心境を知ってか知らずか、今日もまたホークスは両手で常闇の頭を撫でていた。頭部から後頭部へ移る手を、常闇は少し頭を下げて目を閉じて受け入れていた。両頬が包まれ、小指の先が首元に触れ、くすぐったさに首を竦めた。親指が嘴の根本をかすり、ぴたりと手が止まった。どうしたのたのかと目を開けば、ホークスがじっと嘴を見つめていた。
    4701