派手に、でも鈍く光る証明が照らす場内に―
俺と同じく上司に無理に連れてこられた宇髄と、こっそり抜け出して経費でのみにでも行ってやろうと企んでいたから。
だから、目的の割には下品さの少ないなぜだか圧巻するようなその群れとも呼べる中、彼女を見つけたのは必然だったのかもしれない。
「…!」
目が、合った。
ピンクと赤と紫と。ネオンというにはやはり美しくどこか現実離れした光の下、それでもどうしてか彼女の色は見てとることができた。
金色だ。透き通るような琥珀色の瞳が、その金髪と相まって一瞬輝いたように見えた。
どうして、まるで。この世のものではないのではと思うほど惹かれてしまうのは―。
「おにいさん」
気がついたら目の前にいた彼女は、歌うようにそう呼んで俺の肩に手をかける。
「…私でも、いい?」
にっこりと。微笑んで見せる彼女に見惚れて呆けたことで了承だと伝わったらしい。
馴れ馴れしくないのに奔放に、彼女の腕が回され膝に跨がり見つめてくる。
考えるより先にのびた手をあやすよう握られ困ったように表情を作られて。
「名前、きいてもいい?」
「…杏寿郎、だ」
「杏寿郎さん?杏くんて呼んでもいい?」
「なんでもいい。…なぁ、君の名前は?」
一瞬だけ。驚いたように固まった彼女は小さくぜん、と名乗った。
ぜん、ぜん。小さく自分の中だけで繰り返したそれを口にするより先に唇を塞いできた彼女のソレは柔らかくて。
ー
喉が渇くみたいだ。