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    李南(りな)

    @r1na_54

    表に上げにくいR-18小説や作業進捗等
    現在GS4・玲マリ多め

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    李南(りな)

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    5/8 エアコレ2022春の小説展示です。次回イベント6/25のGS Memorial Box ~3rd Open~にて頒布予定の新刊「ブルーローズの運命」の冒頭部です。逆転告白ルート本の予定ですが、それっぽい要素はまだなく、玲マリがいちゃいちゃしてるだけです。

    ##ときメモGS
    #ときメモGS4
    tokiMemoGs4
    #玲マリ
    mariRei

    ブルーローズの運命(冒頭部)高校二年目も終わりに近づいたある日、颯砂とイノリ、そして幼馴染の彼女と四人で学食を食べていた時のことだった。いつも通り颯砂はうどん、イノリはハンバーガー、俺と彼女は同じもり蕎麦を食べていた。
    「な、イノリ。オレたち、お邪魔なのか?」
     すると、俺の隣に座る颯砂がからかうように言う。
    「ええ。正直、居心地は良くないですね」
     颯砂のからかいに乗るように逆隣に座るイノリも言う。
    「え、どうしたの?」
     そんな颯砂とイノリの言葉に首を傾げる俺の向かいに座っている彼女。
    「だってさ、おまえたち今、イイ感じなんだろ?」
     颯砂は向かい合っている俺と彼女を交互に見て言う。
    「は……? 颯砂、それどういうことだよ?」
     俺は颯砂の言うことが気に入らない。
    「え……違うんですか?」
    「玲太くん……?」
     俺の剣幕にイノリはやや焦り、彼女も心配そうな表情で俺を見る。まるで分っていないこいつらに一言言っておかなければと蕎麦を食べる手を止めて口を開く。
    「俺たちがいい感じなのは、今だけじゃない」
    「はははっ! そっちにキレてんのかよ」
    「そこですか……」
     俺の一言に颯砂は笑い、イノリは呆れる。そして、彼女は恥ずかしそうに頬を赤く染めている。
    「そりゃそうだろ? 俺たちの歴史は昨日今日の話じゃない。なあ?」
    「えーと……?」
    「イノリ。オレたちに勝ち目、なさそうだ」
    「ですね」
     俺たちの歴史の長さを改めて感じた颯砂とイノリは諦めたように言う。当たり前だろ? 俺たち二人に他人が入り込む隙間なんてない。

     学食を食べ終えて颯砂とイノリと別れ、クラスが同じ彼女と二人になる。
    「玲太くん、さっきみんなの前でまたあんなこと……」
     彼女は学食でのことを恥ずかしかったと言う。
    「なんだよ? 事実だろ?」
    「それは……確かに玲太くんとわたしは昔から仲良しだけど……。最近みんな、わたしたちのこと、ラブラブとか幼馴染カップルとか……恥ずかしいよ」
     先日、本多と七ツ森と一緒に学食を食べた時も今日の颯砂とイノリと同様のことを言われて恥ずかしかったと彼女は言う。他にも花椿たちや同じクラスの奴らにもそんなことを言われたらしい。周りからもそう言われると、さすがに俺もちょっと照れくさいが、彼女とそのように見えることはもちろん嬉しくもある。
    「いいじゃん、そういうことで」
    「もう……」
     恥ずかしそうにしつつも、彼女も満更でもない様子なのが分かる。そんな彼女をまた愛しく感じる。
    「それより今度の日曜日、忘れるなよ」
    「うん、遊園地へ行くんだよね。ふふっ、楽しみ!」
     日曜日の話になると、彼女は途端に笑顔になる。そう、今度の日曜日は彼女と遊園地デートへ行く約束だ。入学式で再会してからデートを重ねてきた俺たちだが、今度のデートは特別だ。今度のデートで俺は彼女にあることをするつもりだ。

     日曜日になり、彼女と遊園地デートの日がやって来た。俺がイギリスに行って一緒に行けなかった分も取り戻すように彼女と二人で遊園地のアトラクションを堪能する。そして、最後に観覧車に乗った。
    「はぁ、楽しかった。玲太くん、観覧車好きだったんだね?」
    「今日で好きになったかな」
     そんな彼女のおでこにチュッとキスをする。今日、俺が彼女にするつもりだったこと。
    「⁉ えっ、今おでこに……」
     彼女は頬を赤く染めて驚き、おでこを押さえる。
    「ダメか?」
    「えぇと、びっくりしちゃって……」
     修学旅行で二人で夜景を見た時も感謝のしるしとして彼女にキスをしたが、あの時と同じように彼女は驚いた様子だ。
    「本当はさ『観覧車の中で』とか、色々ガキっぽいこと考えてたんだ。でも、いざおまえを前にすると、なんでも良くなってくるな」
     本当は観覧車の中でするつもりだったことを白状すると、彼女はさらに顔を真っ赤にしている。
    「玲太くん、みんな見てるよ……」
     彼女に言われて気づいたが、ここは観覧車の外で俺たちの周りにはいつの間にかギャラリーができていた。拍手や歓声が上がり、小さな子供にも見られていたらしい。
    「……そういや、人目を避けるための観覧車だった」
    「…………」
    「ここは逃げるが勝ちだ」
    「ええっ⁉」
     彼女の手を取り、人込みを抜けて、そのまま遊園地を出た。
    「もう、玲太くん、みんなに見られて恥ずかしかったよ……」
     彼女はまだ顔を赤くしている。おでこにキスなんてイギリスでは挨拶以下のことだが、さすがにギャラリーが多過ぎた。
    (失敗したかな……)
    観覧車の中でするよりも結果的に余計彼女を恥ずかしがらせてしまい、キスのことを彼女は怒っているのではないかと心配した。
    「でも……ふふっ」
     彼女ははにかみながら笑ってくれた。すると、俺も彼女に釣られて笑い、二人で笑い合う。初めて彼女を知ったあの日のように。今日のこともまた二人の大切な思い出になった。

     彼女を家まで送り届けた後、俺も帰宅して、部屋の学習机の引き出しを開ける。
    (順調にいきそうだな……)
     引き出しの中から取り出したのは彼女がいつも身に着けているものとよく似た髪飾りだ。イギリスへ来てすぐの頃に見つけて買ったもので、彼女と離れていた間はこれを見て彼女を想い、いつか絶対彼女に渡そうと決めていた。
    きっと彼女にこれを渡せる時は近い。そう確信したその日の夜、夢を見た。彼女とイングリッシュガーデンにいて、たくさんの青いバラに祝福される夢。

    * * *

     玲太くんと遊園地デートに出かけた翌日。観覧車での出来事から玲太くんを意識してしまい、少し早めに家を出た。修学旅行で夜景を見た時も同様のことはあったが、あの時より大事になったこともあり、今回はより意識している。
    (でも、今まで以上に玲太くんと近づけたみたい……)
     突然のことに驚いて、人前だったことが恥ずかしかっただけで、嫌だという気持ちはなかった。むしろ、玲太くんが特別なことをしてくれたことの方が嬉しかった。
    「おはよ」
     そんなことを考えていたら、いつの間にか学校に着いていて、下駄箱のところで玲太くんに出会った。
    「お、おはよう」
     昨日の出来事もあり、玲太くんに会うとドキっとする。
    「今日は早いな、おまえ」
    「なんか早く目が覚めちゃって……」
     どちらかと言えば、昨日のことを意識し過ぎて眠れなかったが正しいのだが。そんなことは玲太くんに言えず、何とかいつも通りに振る舞おうとする。
    「なあ、聞いてくれ」
     一方、玲太くんは何かいいことでもあったかのように上機嫌だった。
    「どうしたの?」
    「なんか妙な夢見てさ。おまえとイングリッシュガーデンにいるんだ」
     遊園地デートの後、玲太くんは不思議な夢を見たと言う。
    「うん、それで?」
    「庭を見渡せるお立ち台みたいなところで、おまえが待ってる。で、俺が隣に行くと青いバラがたくさん咲いて、祝福しているみたいだった」
    「ふふっ、素敵だね。ガーデンウエディングみたい!」
     玲太くんの話からその光景を想像すると、自然とそう言っていた。いつか本当にそんなことがあったら――。
    「……それだ。その解釈だよ。ありがとな」
     玲太くんも嬉しそうに笑う。だが、一つ気になることがあった。
    「でも、なんで青いバラなのかな?」
    「さあ? でも、言われてみれば確かに青いバラにそういう意味は……」
     玲太くんも首を傾げる。
    「そういう意味って?」
    「出た……ま、想定内ですけど。だから、青いバラの花言葉が――」
     玲太くんが言いかけたそのとき、わたしたちの会話が聞こえたのか後ろから声が聞こえた。
    「青いバラ、ブルーローズの花言葉は『夢かなう』だよ」
    「本多」
    「行くん、おはよう」
     この声はやっぱり行くんだ。
    「二人ともおはよ。でね、青いバラの話なんだけど、植物の中でもバラだけは自然界に青い花が存在しなかったんだ。でも、研究が進んで遺伝子組み換えによって開発に成功して、それで花言葉も『不可能』から『夢かなう』になったんだって」
    「へぇ、そうなんだ、素敵だね」
     学年トップの成績でクイズ王でもある行くんのさすがの知識に感心する。
    「うんうん、君ならそう言ってくれると思った。それでね……」
    「本多、その続きはまた……」
     と、玲太くんが言ったその時、予鈴が鳴った。いつの間にかもうこんな時間になっていたらしい。
    「だー、もうこんな時間!」
    「えっ、遅刻しちゃう!」
    「ったく、本多がまた長話するからだろ。ほら、行くぞ」
     玲太くんは昨日の遊園地の時と同じようにわたしの手を取って走り出す。
    「えっ! 玲太くん?」
    「待ってよ、リョウくん!」
     行くんもわたしたちを追いかけて急いで教室へ向かう。
    「着いた……」
    「間に合ったか……?」
     本鈴と同時に教室に着いた。御影先生が教卓の前に立ち、朝のホームルームをちょうど始めるところだった。
    「おはよう、お二人さん」
     間に合ったとほっとしたのも束の間、お二人さんと冷やかすように御影先生はわたしたちに言う。
    「あっ……」
     玲太くんと手を繋いだまま教室に入っていたことに気づいた。クラスメイトたちからも冷やかされる。
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