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    李南(りな)

    @r1na_54

    表に上げにくいR-18小説や作業進捗等
    現在GS4・玲マリ多め

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    李南(りな)

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    GSワンライで書いた玲マリSSです。小学生の二人がはば学に通うことを憧れてたらかわいいなと思って
    ※幼少期捏造注意!

    ##ときメモGS
    #玲マリ
    mariRei

    制服 小学生の頃、りょうたくんに不思議な教会に連れて行ってもらった。教会にある大きな鐘の音が聞こえるたびに、わたしたちは寄り道をするようになっていた。
     そんなある日、帰る時間が近づいて、りょうたくんと教会を出ると、制服を着た高校生の人たちを見かけた。
    「りょうたくん、あの人たちって……」
    「そこのはばたき学園の人かな。この教会もはばたき学園の敷地内の教会だって、おじいちゃんが言ってた」
    「へぇ、そうなんだ」
     りょうたくんにはばたき学園のことを教えてもらい、はばたき学園に通う高校生のお兄さん、お姉さんたちをじっと眺める。当時小学生だったわたしたちからすれば、十歳上の高校生はすごく大人っぽく見えた。
    「素敵。わたし、高校生になったら、はばたき学園に行きたいな」
     制服を着たはば学の高校生に憧れた、いかにも子供らしい単純な理由だが、あの制服を着た高校生の自分を想像すると、何だかワクワクする。
    「うん。おれたちも高校生になったら、あんなふうになれるのかな……」
     と、りょうたくんは手を繋いで歩いているカップルのはばたき学園のお兄さんとお姉さんを羨むように見つめていた。どうしたんだろう?
    「えっと、りょうたくん?」
    「何でもない……でも、はば学は難しいんだってさ。母さんがはば学に行きたいなら、たくさん勉強しなさいって」
     りょうたくんは照れたように顔を赤くした後、難しい顔をしてそう言った。はばたき市の中で名門校であるはばたき学園に進学するのは簡単な話ではないらしい。りょうたくんは頭が良くて勉強も得意だからきっと大丈夫だろう。でも、わたしはりょうたくん程勉強ができない。だったら――。
    「じゃあ、わたし、はばたき学園に行けるようにいっぱい勉強する」
     はばたき学園に通えるように勉強を頑張ることを決めると、りょうたくんは目を丸くしてびっくりしていた。
    「ほんとに? たくさん勉強できる?」
    「今から頑張れば大丈夫だもん!」
     どうしてもはばたき学園に行きたくて、勉強を頑張れると言い張った。実際、勉強の大変さも分かっていないのだが。
    「それに、幼稚園も小学校もりょうたくんと一緒だから、中学や高校も同じ学校がいいんだもん」
     物知りで活発なりょうたくんと一緒にいると、いつもたくさん元気をもらって、学校が楽しくなった。だから、ずっとりょうたくんと同じ学校がいい――。すると、りょうたくんも嬉しそうに笑った。
    「じゃ、高校も同じ学校に行けるように頑張ろうな」
    「うん!」
     りょうたくんと一緒にはばたき学園へ通うことを夢見てそんな約束をした。幼稚園からずっとりょうたくんと一緒だから、これからもずっと一緒にいられるとこの頃のわたしは当たり前のように思っていた。
     ところが、それから程なくしてりょうたくんはイギリスへ引っ越してしまった。当然、中学校も高校も同じ学校へ行けない。そのショックから、あの日のりょうたくんとの約束もわたしは忘れ去ってしまった。でも、あの日りょうたくんと一緒に抱いたはば学への憧れの気持ちはずっと残っていて、はばたき学園へ進学することはわたしの目標であり続けていた。

     そして、あの日から九年が経ち、わたしははばたき学園の入試に合格し、憧れていたはばたき学園の制服に袖を通した。あの日憧れた高校生になれたのだと、小学校の頃の通学路だった坂道を歩くと、そこにいたのは――。
    「久々の再会なのに。しかめっ面かよ」
    「もしかして……りょう――風真くん?」
     目の前にいた彼、りょうたくんも同じはばたき学園の制服を着ていた。りょうたくんはあの日の小学生の頃よりずっと背が伸びていて、すごく大人っぽくなっていた。はばたき学園の制服も通常の白いシャツとは違う青いシャツを着ていたが、よく似合っていて、今まで出会った人の中で一番かっこいいと見惚れていた。

    「――それで、入学式の日、俺を苗字で呼んだのか」
    「だって、玲太くん、小学生の頃から素敵に成長してて、昔みたいに〝りょうたくん〟って呼べなかったんだもん」
     入学式から三年後、卒業式の日にようやく玲太くんを入学式の日に苗字で呼んでしまった理由を打ち明けた。玲太くんからプロポーズを受けて想いが通じ合った今だから言えるのだが、思えばあの時わたしははばたき学園の制服を着た高校生の玲太くんに一目惚れしていたのかもしれない。
    「玲太くんだって、わたしのこと苗字で呼んでたよ?」
    「それはおまえが苗字で呼ぶから……俺もタイミング失ったんだよ」
     玲太くんも入学当初はわたしを苗字で呼んでいたと指摘すると、バツが悪そうに頬をかく。あれから一緒に過ごしていくうちに今はまた昔のように名前で呼び合えるようになった。
    「それに、俺も……」
     玲太くんは不意に隣を歩くわたしの方へ振り向き、頬に手を当てた。今でも間近で玲太くんに見つめられるとドキドキする。
    「入学式の日、この坂道ではば学の制服を着たおまえを見た瞬間、想いが溢れて……一目惚れした」
     わたしと同じように玲太くんも入学式の日にはば学の制服を着た高校生のわたしに一目惚れしたと白状した。あの時、玲太くんもそう思ってくれていたなんて。
    「わたしたち、あの日から同じ気持ちだったんだね」
    「ああ、俺たち、やっぱり運命だな」
    「ふふっ、そうだね」
     玲太くんがよく口にしていたその言葉が、今のわたしたちにしっくり来ると感じた。すると、それを確かめるように玲太くんはわたしの唇にキスをした。教会で二人だけの結婚式を挙げた時に初めてした恋人同士のキス。甘くて、優しくて、温かくて、幸せなキス。
     今日が卒業式だから、きっとこの制服姿で玲太くんとこんなキスをするのも今日が最初で最後だろう。そう思うと名残惜しくもあり、結婚を誓い合った制服姿の今この瞬間のわたしたちを心に焼き付けるように何度もキスを交わした。
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