未来から来たオレの恋人彼は未来から来たのではないかと思う。
彼、というのは最近付き合った神代類のことである。身長180センチの、ミステリアスな雰囲気を醸し出す男。確かに普段でも変人と呼ばれる点はあるが、特に付き合ったあと。彼の言動に慣れてきたオレでも不可解なものがあるのだ。
例えば。通学路を歩いているとき。
「よかった……!間に合った、司くん…!」
学校から真逆の位置に家があるのに、類がひょっこりと現れたのだ。出会い頭にぎゅう、とハグをされる。朝早い時間だったので周りには誰もいなかった。
それをいいことに彼を抱きしめ返し、朝一番に取り込んだであろうシャツを嗅ぐ。柔軟剤の、花の匂いで頭がふんわりと満たされて、へへ、と気の抜けた笑いが口から漏れた。人の気も知らないでとまた強く抱きしめられて少し苦しい。暫く二人の時間を堪能して、学校に行こうかと手をつなぎ、歩いた目先に。
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