甘い紅茶を、貴方に「参謀!参謀はいるか!!」
ばぁんっ、とドアを破壊しそうな勢いで乗り込んできたのはこの館の主──将校殿だ。
空気を揺さぶるような大声に、机の上に積み上げていた資料が何枚かばらりと床に舞い落ちていった。
「全く。そんな大声を出さなくても聞こえていますよ。どうしましたか?」
落ちた資料を拾いながら将校殿を見上げると……柔らかな頬を紅潮させて、ふんっ、と鼻を鳴らしているのが見えた。
心なしか、瞳にキラキラと星が輝いているような気がする。
うぅん……これはロクな事を言い出しかねないような表情だ。
しかも、将校殿は詰襟に外套を羽織っていて、今にも外出せんという格好をしている。
ああ……何となくだけれど、このお転婆さんが何をしようとしているのか、おおよその推測が立ってしまったよ。
17636