僕のこと好きなくせに!僕はいつもどおり野菜サンドを買って、彼と二人並んで昼食を広げている。もちろんこの野菜サンドは僕が食べるものではない。彼の口の中に突っ込まれたそれは今頃噛み砕かれはじめているだろう。
ぴし、と固まった彼は驚いた顔をしながらも咀嚼を始めたので思わず笑ってしまう。ちなみに今日の彼のお弁当は自分で作ってきたものらしい。
「……おい! 急に何を突っ込んでいるんだ類!」
わざとらしくおや、と彼の顔を見ると頬を膨らませて声を張り上げている。わかりやすく左手で拳まで作って。
「そう言いつつ食べてくれただろう?」
「吐き出すのはお行儀が悪いからだ!大体お前な──」
彼の言葉を遮るように弁当箱から卵焼きをつまみ、口に放り入れる。「ん〜?」と聞いているようで聞いていない声を漏らし、それを味わった。
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