今年も終わる。
二人で準備したお蕎麦を食べ終え、今年残り30分、凪が潔を抱きかかえるような形で二人くっついて寛いでいた。
「1年が終わるな」
「んー」
「今年はどうだった?」
「今年も潔はもっと可愛いかったしカッコよかった」
「俺のことじゃなくてさ…」
「なんで?俺の人生はサッカーと潔のことしかないんだよ?」
だから潔のことばっか出ちゃうの仕方無くない?となんの疑問もなく、真っ直ぐに見つめられれば潔は何も言えない。
「…じゃあ、サッカーはどうだった?」
「それはもちろん、今年はもっと強くなれた。色んな奴と戦って、勝って、……たまに負けたこともあったけど」
少し小声でムッとしながら続けるが、でも、とすぐに声を明るくする。
「今年からはなんたって潔と一緒にプレイできたから、強くなって当然だよね」
抱き締める力が強くなり、潔の顔を覗き込む。
「潔は?今年も楽しかった?」
「…そんなの当たり前だろ」
今年から潔が移籍したチームには、すでに凪がいて。移籍直後から二人の息のあったプレイが話題になったのも当然で。凪とのプレイにはまだまだ進化がある。そんな風に思った一年だった。
「お前と一緒にサッカーするの、やっぱ楽しい。プレイする度に新しい発見がある」
うっとりとするように呟く潔に、凪は俺も楽しい、と潔を抱き締める。
「じゃあ、サッカー以外の俺は?」
「ん?」
「恋人としての俺は?潔から見てどうだった?」
先程と少し変わって、熱を孕んだ目で潔を見つめる凪。するりと頬を撫でれば、潔も熱に当てられたようにぴくりと身を震わせる。
「たくさん、愛して、もらった。……たまーにやりすぎなこともあったけど」
「それは、まぁ、ごめん」
「でも、それだけ愛されてるって実感もあったから、嬉しい」
そう告げて、凪の唇に軽く口付けを落とす。
「…じゃあ、もっと実感できるように来年はもっと愛してあげる」
「期待してるぜ、俺のストライカー」
気付けば、時計の針が0時まであとわずか。
「ご所望であれば、年が変わったらすぐにでも?俺のエゴイスト?」
首元にちゅっ、と音を立てて反応を伺う凪に、ふはっ、と笑いを零す。
「いいぜ、そうこなくっちゃな。来いよ、凪」
お返し、とばかりに顎をペロリと一舐め。それにより一気に火がついた凪は、目の前の恋人を抱きかかえてベッドルームへと移動する。
二人が収まるベッドに辿り着いたところで、ベッドサイドの時計が0時を示していた。
「あけましておめでとう。今年もよろしく」
凪の挨拶に返事をする間もなく、潔は唇を塞がれ返事代わりに腕を凪の首元に回した。