ガストが土曜の、このくらいの時間に帰ると大抵マリオンが出迎えてくれる。ドクターはノース部屋にいたとして自室だし、レンはとっくに寝ている。
「ただいまー」
「ガスト、遅かっ……おい、なんだその匂い」
マリオンはガストを向くなり不快そうな顔をした。
今夜のガストは特に、酒やタバコの匂いがキツい店にいたわけではない。酒もタバコもやらないマリオンは、どちらの匂いも酷く嫌っている。だから自然とガストも身体に匂いが移りそうな店は避けていた。
「えっ、俺なんかにおうか?」
「におうから言ってる。さっさとシャワーを浴びてこい」
ガストは慌ててシャワールームへ向かった。これ以上いたら鞭を振るわれそうだ。
何の匂いかとガストは首をひねったが、脱衣所で着ていた服を脱いで思い当たった。弟分の香水だ。弟分のひとりが彼女に振られたと言い、ネガティブに興奮していてガストは繰り返し抱きついたり肩を組んだりされた。
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