綿々と脈々と「…何だよ、」
もの言いたげに、黙って主人を見上げる犬のようなルークの視線が先程から気になって肉の味が複雑になってしまい苛立っていたアーロンがいまいまし気に睨んだ。ルークは相変わらず凝、とアーロンをみている。さすがに落ち着かなくて、アーロンはフォークを置くと椅子ごとルークに向き合った。
「言いたいことがあるならはっきり言えや、ドギー」
「相棒にキスしたいと思うのは、どういう感情なんだろうか、なあ、どう思う、アーロン」
心臓が、食べた肉と一緒に口からとびだしそうになるのをアーロンは歯を食いしばって呑み込んだ。何寝ボケてんだこのクソドギー。そう、怒鳴ろうとして、でも、いま口を開いたら確実に心臓がとびだす。心臓どころか何もかも…すべてを、吐きだしてしまう。口のなかにあるものも、胃のなかにあるものも、この、胸のなかにある、ものも。
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