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    pakupaku_ens

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    7月のルークWEBオンリーイベントの記念誌に寄稿した小論文を再録します。これを書くためにM2をやり込んだ結果、M2がいかにルーク・ウイリアムズにとって大切でターニングポイントになったイベントかを痛感したため。越境した今となっては前半部分はもう少し詳しく書けそうです。

    ストーリーコンプリートまでのネタバレがあります。

    パスワード:諸君四人または絆を半角英数字小文字4文字で

    テーマ:ルークの「つながっている」状態とは何か序論
     本稿は、ルークが思い描いていた「つながり」とは何かについて、現在開示されている情報に基づいて仮説を展開したものである。以下2点の視点からつながりについて推察する。

    ・ルークの言うつながりとは何か
    ・ルークは誰とどうつながっていると認識しているのか

    ルークが考えるつながりの定義はその時々で変化している。最終的には作中に仲間たちと絆を紡いで行くことでルークの中でつながりというものが再定義され、絶望からの復活そして自身の成長へと繋がる。その点も含めて、彼の「つながり」に対する認識を順を追って整理する。


    本論:ルークの「つながっている」状態認識の変遷

     本編ミッション0で、リカルドの孤児院で記憶を失ったルークが、自分は誰ともつながっていないと感じていたのは何故かについて考える。リカルドの孤児院でのルークは、表情が乏しく、「なんで、僕は誰ともつながってないの?」と悩む描写がある。このときのルークにとって、どんな状態が「つながっている」状態なのか、彼の過去から推察していく。

    (i)ハスマリー時代
     ルークが幼少期のアーロン(ルーク・バーンズ、以下ルーク・B)と出会って、ヒーローとしてハスマリーの研究所に居た時。ヒーロー(幼少期のルーク)にはとくに悲壮感は無く、快活な性格をしている。この時のヒーローは「つながっていない」ことなどまるで気にしていない。これは彼が誰かとつながっていると感じることが出来ているか、そもそもそういう認識がなかったかのどちらかだろう。これを踏まえてルークの幼少期(ヒーローと名乗っていたころ)、ハスマリー時代の出来事について振り返る。ヒーローは孤児院の解散と共に研究所に世話になることになったが、バーンズ博士が彼を養子に迎えたという明確な記述は出て来ない。職員や博士のヒーローに対する態度は皆好意的で優しい。次に、ヒーローとルーク・Bとはどういう関係か。ルーク・Bは内向的な性格だったが、ヒーローにはよく懐いていて、本作では二人が一緒に遊んでいたエピソードも記されている。当時の土地柄や情勢を鑑みても、自由に外の子供たちと交流は出来なかったはずだ。四六時中一緒に居て飽きない相手、兄弟のような仲だったと考えられる。(*)
     さて、ヒーローは研究所襲撃時、瓦礫の中からルークを助ける際に「また誰とも繋がらなくなっちゃう」と言っている。これは裏を返せば、①ヒーローは少なくともこの時点で誰かとつながっていると感じていた②以前に一度つながりが断たれたと感じたことがある、といえる。
     まず①に関して、ヒーローが誰とつながっていると感じていたのか。この台詞はルーク・Bを前にして言っているため、少なくともヒーローはルーク・Bとはつながっていたと認識していることがわかる。そして、ルーク・Bが瓦礫に埋もれ助からないことでつながりが断たれると考えている。その他の人間、研究所の職員やバーンズ博士については、ヒーローが研究員との会話の後に「家族って、こんな感じかな?ずっと一緒にいられるといいな」と感想を漏らしていることから、彼らともつながりを感じていた可能性は高いと推測する。誰とも、という言葉も複数人とつながっていたようなニュアンスにつながる。
     次に②に関して、幼いヒーローの記憶にある以前につながりが切れた経験について。出生時の記憶がどの程度あるかは判らないが、まず推察出来るのは孤児院の皆と散り散りになった出来事だ。孤児院時代の描写は本作に出て来ないため正確には判断できないが、周囲とつながっていたと認識していたと考えるのが妥当だろう。そして研究所に引き取られたのはヒーローひとりのようなので、この離別を「誰ともつながらなくなった」状態と捉えたのではないか。

     ここまでを整理する。ハスマリー時代のヒーローの定義する「つながっている」状態は、
     ・「同じ施設内で寝食を共にする」「一緒に居る」ことが条件(のひとつ)
     ・「血縁関係のある人間と共にいる」ことには依存しない
     ・離別または死別することで、相手とのつながりは断たれると捉えていた
    そしてこの時点での彼を取り巻く環境は以下である。
     ・少なくともルーク・Bとは「つながっている」状態だった
     ・ルーク・Bやバーンズ博士、研究所の人々はヒーローに好意的で家族みたいである(これが条件になるかはこの時点では確定しない)


    (ii)リカルド孤児院時代
     (i)を踏まえて、リカルドの孤児院時代のルークについて再度考える。これまでの記憶を失っているルークは「なんで、僕は誰ともつながってないの?」と悩んでいる。なんで赤ちゃんの頃の写真がないのか、ここにいるのか、父さんや母さんがいないのか。近しい境遇の子は施設内に他にも居たと考えられるが、「僕は」と表現しているので、周囲は僕よりつながりを持っていると感じていたのだろう。中には、赤ちゃんの頃の写真がある子供、ここに来た経緯がはっきりしている子供、父母について少しでも情報がある子供(もしくは養父母に引き取られて行く子供)が居るだろから、自分と彼らを比較してそう感じたということだ。つまり、ヒーロー時代の自身の記憶が無いことも彼の(過去も含めて)誰ともつながっていない、という喪失感につながっているのだと考えられる。また、ハスマリー時代のヒーローが感じたつながりの条件と比較すると、同じ施設内で寝食を共にすることはクリアしているし、元々血縁関係にもこだわっていなかった。すなわち、つながりを得るには仮の条件であった他の条件も重要であると定義が出来る。分かりやすい違いとして、この時のルークは職員に煙たがられているような描写がある。食事についても、躾と称して満足に与えられないことがあったようだ。覚えていないものの、やはりルークに対して好意的かどうか、は条件に入るのだと推測できる。

     以上から、リカルドの施設時代のルークの定義する「つながっている」状態は微妙に変化している。この時点での彼を取り巻く環境、つながりに関する意識の変化は以下である。
     ・ルークはリカルドの孤児院時代は「誰ともつながっていない」と認識している
     ・同居人とのつながりを感じるには、「同じ施設内で寝食を共にする」かつ「好意的」である必要がある
     ・過去の記憶を喪失したことも、誰ともつながっていない、と認識するに至る要因のひとつになっていると推察される


    (iii)エリントン暮らし、エドワードとの同居〜死別まで
     そうして二度つながりを失ったルークに、みたび新しいつながりを与えてくれたのはエドワード・ウィリアムズである。彼の養子になり、父子として関わることにより、ルークは「新たなつながり」を得た。一緒に暮らし、かつ自分に愛情(とルークが感じるような言葉や行動)を惜しみなく与えてもらい、共に暮らす相手を得たのだ。相変わらず過去の記憶は喪失しているが、恐らくそれを凌駕するつながりを得たのだろう。同居直ぐの頃は、ずっと一緒に居たいという意識が強く(サイドエピソード:ヒーローのマント参照)、物理的にエドワードの側に居ようとコートを盗む描写がある。しかし15才にもなると、ルークは一般的な思春期の学生らしく成長している。父の帰りが遅い事もそこまで深く気にしていないし、警察署内でエドワードにコートを借りたときには人前での触れ合いを恥ずかしいと思うようになっている。
     不幸にも(エドワードには意図があったと思うが)コートを借りて先に帰宅したその日、エドワードは帰らぬ人となる。しかしながら、エドワードとのつながりは、彼が殉職した後もルークの認識下では切れていない。サイトエピソードでは、ルーク自らチェズレイに対して「父さんはもういないけど、僕の中には父さんから受け継いだ夢がある。父さんは僕の中に生きてる」と言っている。つまりルークは強い信頼関係を結び深く愛情を注がれたと感じ、夢を共有し受け継ぐことで「(父さんと過ごした過去とは)つながっている」と考えた。現に、エドワードと死別した後のルークは、猛勉強の末にキャリアとして警察官になっている。

     以上から、エドワードとの同居〜死別時代のルークの定義する「つながっている」定義は現在と過去に拡張されたと言えるだろう。
     ・ルークは養父となったエドワードと「父子として寝食を共にする」「愛情を与えて貰う」「一緒にヒーローになるという夢を共有する」ことでつながりを感じている
     ・ルークはエドワードと死別後、彼との思い出と父の夢を受け継ぐことで「(一緒に過ごした過去と)つながっている」と感じることで自己を保った
     ・ルークは現在(生存する身の回りの人間)と過去(死別した人も含めて)の関係、それぞれに対してつながりを感じ、どちらかがあれば拠り所になる


    (iv)本編開始後〜BOND結成中
     エドワードとの過去のつながりを拠り所として努力を重ねてきたルークだが、その後の警察署内では彼の理想とする現在のつながり「同じ夢を共有する存在となる友人や同僚」は得られなかったようだ。現に、ミッション2の中でいやらしい看守に仲間の存在について問われたときには(アーロンを庇っての言葉ではあるが)「僕はずっとひとりきりだった、誰ともつながってない」と答えている。さらにその後ジェイスン警部に揺さぶられた時には、過去のつながりである父さんとの夢、ヒーローが幻想だとそのつながりを否定されたことで、やっぱり誰ともつながっていないのでは、とぐらついてしまう。直後アーロンに発破をかけられ、エドワードの言葉を思い出したルークは、つながりについて「誰ともつながってないとしたらそれは僕のせい」「うずくまっている僕自身のせい」だと新たな気づきを得る。その後、アーロンと「相棒」関係になり、BONDを結成し「仲間」を得たことで、ルークは「仲間」として認識した相手について理解しようと積極的に努めるようになり、周囲との関係を深めていく。その前向きな姿勢はチェズレイとのエピソード等で顕著に見られる。
     そしてルークはこの気づきを、父のアッカルドと関係が上手く行っていなかったスイに強く主張する。はじめは衝突したが、後にスイも納得して行動に移すようになる。(スイはミッション7で怪我をして入院し魘されるルークに対して「誰かとつながりたいなら自分から手を伸ばさなきゃ駄目だよね」と語っている。)

     以上から、本編開始後のルークの「つながり」に対する認識及び行動は以下である。
     ・本編開始時のルークは現在の人間関係ではつながりを感じておらず、過去のつながり(父さんとのつながり)しか認識していない
     ・アーロンとエドワードとの思い出により、自分自身が他者に働きかけることがつながりを作る第一歩であることに気づく
     ・その後仲間となった相手には理解しようと積極的に働きかけるようになった(他者と積極的につながるための努力を開始した)


    (v)ファントムと対峙し、裏切られ、価値を見失うまで
    本編中ファントムと対峙するまでは、怒涛の展開もありルークが「誰と自分がつながって来たのか、つながっているのか」を深く意識することは少なかった。それが、ミッション14でBONDの仲間と離別し、現在の人間関係のつながりを立て続けに断たれた状態になる。
     その後、信じていた父に引き取った本当の理由を語られ過去のつながり(=エドワードとの温かい思い出が詰まった6年間)を否定され、モクマとチェズレイが自分のせいで死別したと聞かされるが、何とかアーロンと合流し現在のつながりを一部取り戻す。「相棒がいりゃ、全部守れる」。相棒に励まされ前を向くタイミングで、アーロンが撃たれ物理的に引き剥がされる。最後に、ファントムからお前は何者でもなかった、お前にはなんの価値もなかった、お前は何ともつながっていなかったんだ、と言われ、その記憶だけを残して気絶する。

     ファントムに裏切られたことでルークの「つながり」は以下のようになった。
     ・ファントムに過去のつながり(父さんとのつながり)を否定される
     ・チェズレイ、モクマとの現在のつながりが自分のせいで断たれた(死んだ)と認識する
     ・アーロン(現在最もつながりを感じている1人)と再会するも、物理的に分断される
     ・一番信頼していた父から、自分の存在価値を否定されたあとに、他者とのつながりを全否定される
    つまり過去/現在のつながりを全て否定され、その原因は自身に価値がないからだ、と存在を否定されることになる。


    (vi)自分自身の価値を認め、つながりのある仲間を思い出すまで
     意識を取り戻したルークは、落下した身体的ダメージと精神的ダメージにより、一時的に記憶があいまいになっている(これはリカルドの孤児院に居た時と近い症状と推測する)。思い出せたのは気絶直前のファントムに否定された記憶で、そのきっかけとなったコードを探す。この時点では現在過去全てのつながりを喪失、自分自身も喪失している。
     チェズレイのおまじないもあり、記憶の中でチェズレイ、モクマ、アーロンに出合い何者でもないこと、価値がないこと、つながっていないことをはじめは皆そうだ、誰でも思うことだ、つながっている相棒や仲間を思い出せと全て肯定される。自分を取り戻すことで本当の自身の目的を思い出し、過去の記憶も取り戻す。

     自分自身を取り戻したルークの「つながっている」状態は、以下まで拡張された。
     ・ルークは相手が何者か、相手に価値があるかでつながりをなくしたり否定する人間ではない
     ・これまで関わった皆とは信頼関係を結んできていた、それはつながっているということだ
     ・ルークには同じ目的に向かって一緒に進める仲間(つながっている仲間)がいる
     仲間を思い出し、記憶を取り戻したルークは過去から現在まで、実は自分がたくさんの人とつながりを持っていたことにここでようやく気づく。

     その後ルークは、つながりを断たれることを恐れることなく、「何度でも絆を結び直せばよい」と思うようになり、目的を果たしていく。

    結論
     ルークはつながりについて定義を更新しながら成長してきた。特にターニングポイントとなったのはミッション2でヒーローになると改めて決意したときだ。そこでこれまで過去の父さんとのつながりに縋って周りを見ていなかった自分に気づき、積極的に仲間とつながろうと努力するようになった。その姿勢のおかげで、ルーク自身がつながりが切れてしまったと感じても、周囲から手を伸ばして貰える程に周囲とつながりを持てるようになった。
     最終的にルークの感じた「つながっている」状態は、物理的な距離は関係なく、お互いに手を伸ばし理解する努力をした結果得られるものだ。この定義に照らし合わせると、BOND諸君やミカグラの人々とルークは別れた後もずっとつながっており、ファントム(エドワード)とルークはこれから改めてつながっていくのだろう。


    以上


    *
    NintendoDream7月号にて、ルークとアーロンが初期設定において兄弟の構想もあったことが示された。あくまで初期設定での話だが、本編内でも彼らは兄弟のような仲だっただと形容しても良いだろう。
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