君が沈んだ海に告ぐ 遊び疲れてぐっすり眠る銀髪を大きな手で優しく、ゆっくりと撫でてやる。小さく寝息を立てるあどけない寝顔を見つめるオズの表情は、昔のオズからは想像出来ない程に穏やかであった。
だがいつまでもこの平穏が続くわけではない。いつか訪れるであろう別れの時がくるその日まで、否、例え傍を離れようとも、この子は自分のものだ。オズは愛し子の白くまろい頬に手を添え、祈るように囁いた。
「アーサー。おまえは私より先に石にならないでくれ。おまえの為ならば私は──」
それより先は音として紡がれることはなかった。