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    Eleven_dq10

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    Eleven_dq10

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    キスの日
    煉炭 杏炭

    #煉炭
    refinedCarbon
    #杏炭
    charcoalUsedForTeaCeremony
    #キスの日
    kissDay
    #腐滅の刃
    sink-or-swimSituation

    日差しがたっぷりと降り注ぐ庭、煉獄家3人分と自分の洗濯物を洗い終えた炭治郎は、真っ白にはためく洗濯物を見て、よしっと呟いた。
    今日はいい天気なので乾くのもきっと早いだろう。
    庭の草むしりなどは普段千寿郎が、部屋の掃除は槙寿郎がやってくれている。
    煉獄の姿を探すと、縁側に出る部屋の柱に身を持たせかけて、炭治郎へ慈しみの目を向けて佇んでいた。
    「煉獄さん!」
    「洗濯物をありがとう炭治郎」
    庭へと下りた煉獄に走りよった炭治郎は、いいお天気なのでついたくさんしてしまいましたと笑う。
    「手伝わなければと思いつつも、すまない。見とれてしまった」
    「煉獄さ…」
    「まるで君がこの俺に嫁いできてくれたかのようで、錯覚を起こす」
    「煉獄さんさえ良ければ、俺はあなたの妻になりたいです」
    片腕も効かないし、痣ものでいつ果てるとも知れぬ命ですがそれでもいいならと微笑む。
    「俺こそ片目も見えぬ男だ。けれどお互いになにも支障はないな!無理をしてはいけないが、君はこれ以上ないくらい頑張っているし…俺は君が好きだ」
    洗濯物が風にはためく音、不器用ながらも真っ直ぐな言葉に炭治郎は目を丸くし煉獄の言葉に口元を綻ばせる。
    「俺も煉獄さん…いえ、杏寿郎さんが大好きです!お慕いしています!心から、嘘偽りなく」
    炭治郎の言葉にもまた驚いた煉獄からは、甘い香りと芯から喜んでくれている香りがむせかえるほどにあふるる。
    ああこの人も本当の心から言ってくれているのだなと思った炭治郎は、近づいてくる煉獄の男前な顔にそっと目を閉じる。
    頬に触れる煉獄の手の温もり、ゆっくりと触れる唇のカサついた感触。
    唇が重なる瞬間の愛いと言った小さな声。
    二度三度触れ、やがて呼吸の苦しくなった炭治郎が唇を少し開いた僅かな隙を逃さずに、煉獄の厚い舌が入り込む。
    その感触に驚きはしたものの、これが口吸いだと頬が熱くなる。
    こんな庭先で、外からは見えないものの屋内には家族がいる。あれこれと考えていた脳は、煉獄の巧みな口吸いにあっという間に思考が蕩け、着物の胸元を縋り付くように握る。
    および腰を引き寄せられて、体ごと喰われるのではという所で、咳払いの音が聞こえた。
    「っ!!」
    お前たちここは外で朝だとぶっきらぼうに投げられた言葉に、煉獄がその人物を見て無粋ですと返せば、目も当てられねぇんだ、ちっとは憚れと手をひらっと返す槙寿郎の姿。
    そして父の後ろに顔を隠すようにした千寿郎もいて、チラチラとこちらを見ている。
    「ああしまった…」
    恥ずかしさに炭治郎も顔を覆うと、その頭を撫でた煉獄が、またちゃんと改めて君に告げる、と耳元へ囁く。
    それにさえ震える身体は、喜びに満ちていた。
    なんて幸福な朝だろうか。
    炭治郎の手を握って歩く煉獄の横顔を見ながら、暖かい思いに満ちていた。
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    Eleven_dq10

    DONEキスの日
    煉炭 杏炭
    日差しがたっぷりと降り注ぐ庭、煉獄家3人分と自分の洗濯物を洗い終えた炭治郎は、真っ白にはためく洗濯物を見て、よしっと呟いた。
    今日はいい天気なので乾くのもきっと早いだろう。
    庭の草むしりなどは普段千寿郎が、部屋の掃除は槙寿郎がやってくれている。
    煉獄の姿を探すと、縁側に出る部屋の柱に身を持たせかけて、炭治郎へ慈しみの目を向けて佇んでいた。
    「煉獄さん!」
    「洗濯物をありがとう炭治郎」
    庭へと下りた煉獄に走りよった炭治郎は、いいお天気なのでついたくさんしてしまいましたと笑う。
    「手伝わなければと思いつつも、すまない。見とれてしまった」
    「煉獄さ…」
    「まるで君がこの俺に嫁いできてくれたかのようで、錯覚を起こす」
    「煉獄さんさえ良ければ、俺はあなたの妻になりたいです」
    片腕も効かないし、痣ものでいつ果てるとも知れぬ命ですがそれでもいいならと微笑む。
    「俺こそ片目も見えぬ男だ。けれどお互いになにも支障はないな!無理をしてはいけないが、君はこれ以上ないくらい頑張っているし…俺は君が好きだ」
    洗濯物が風にはためく音、不器用ながらも真っ直ぐな言葉に炭治郎は目を丸くし煉獄の言葉に口元を綻ばせる。
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    consacrer au sort d’une journée enneigée

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    子猫と蝶のヴァリアシオン


    「と、言うわけで、こちらが完成したお品でございます」

    小さな白い紙袋を両手でうやうやしく差し出しながら、ラズの向かいに座った男は頭を垂れた。
    作家先生ご自宅のリビング、十四時半、打ち合わせ。
    作家先生、こと、ラズルーカはただでさえ寄り気味の眉根をぐっと近づけて不快感をあらわにした。

    「そういう茶番は要らない」

    本を渡すくらい普通にやれ、と、差し出された紙袋をぱっと奪い取る。男は、空中に浮いたまま所在なくなった手をにぎにぎと開け閉じしながら、さも悲しげな様子でため息をついた。

    「つれないなぁ、ラズ先生は」
    「シリュウは喧しい」

    シリュウ、と呼ばれた青年は、心外だと言わんばかりに片眉をひょいとあげ、先生ひどい、と文句を垂れる。が、ラズは知らん顔だ。聞こえていないのか聞こえていないことにしているのか、不機嫌そうな顔のまま紙袋の中身を検めはじめる。
    紙袋の中身は小さな絵本だ。ラズはその一ページずつを、端々までを丁寧に目を通していく。
    まったく相手にされないだけでなく、真面目に仕事を始めてしまった作家先生を前に、シリュウはやれやれとため息をついた。

    ラズ 6285