Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    2152n

    @2152n

    基本倉庫。i:騙々氏

    ☆quiet follow Send AirSkeb request
    POIPOI 94

    2152n

    ☆quiet follow

    ブラアキ。9章後ブのマンションでだらだらしてるだけの話。

    ##ブラアキ

    プライドとジレンマ「ブラッド、お前、怒らなくなったよな」
     脈絡のない言葉に、ダイニングテーブルでタブレットと睨み合っていたブラッドは、目を瞬かせて顔を上げた。正面を見れば、レンズの向こう、テレビの前に鎮座している革張りのソファーから、素足が覗いている。黙っていると、アキラが腕を上げてひらひらと掌を振ってきた。
    「そういや最近オレ、怒られてねーなって」
     そう言ってソファーにだらしなく寝そべり、映画を見ながらスナック菓子を頬張るアキラの姿は、決して行儀がいいとは言えない。
     しかし、ブラッドはそれに小言を言うこともなく、ローテーブルに置かれたペットボトルが空になっていることに気付くと立ち上がった。冷蔵庫から冷えたコーラを取り出し、アキラのいるリビングに近付く。差し出せば、映画を見たままのアキラがこちらに一瞥することなく受け取り、寝転がりながら飲み始めた。
    「怒って欲しいのか?」
    「んなわけねーだろ、もっとチヤホヤしろ。前も言ったよな」
     肘掛けに腰かけアキラを見れば、ジト目が返ってくる。テレビを見れば、教師らしき男が生徒を叱っていた。成る程、彼の言葉はこれが起因かと理解する。
     ブラッドは傍の赤い髪に指を通すと、くしゃりと撫で、指を耳、顎へと這わせた。喉を撫でれば「やめろ、くすぐってぇ」とぐるぐる鳴き声が聞こえてくる。
     仕事の都合でホテルからブラッドの持つマンションへと変更された逢瀬。むしろ怒られるのはこちらの方なのに、アキラは何も言わない。今もブラッドが勧めた映画を見て、仕事が終わるのを待っている。聞き分けが良いのか、我慢しているのか。普段は分かりやすい癖に、妙なところで本心を隠す。 
    「お前は怒るより褒めた方が伸び代がある」
     ブラッドはそう言ってアキラの前髪を掻き上げた。先日の戦闘で受けた額の傷は、まだ完治していないのか薄っすら跡が残っていた。
     選択に後悔がないとは言えない。けれど、彼がヒーローとしての道を選択した以上、それを口に出すことは出来ない。あの事件が更生のきっかけを与え、成長し、憧れを目標とする姿を、こうしてメンターメンティー以上の関係になった今を、あの頃の自分に伝えれば何を思うか。
     自分に出来ることは、信じることだ。――信じるとは、とても勇気のいることだ。
    「ふふん、分かってるじゃねーか。褒められるのは嫌いじゃないぜ。お前もそうだろ?」
     人の心中など知りもしないアキラは、得意げに鼻を鳴らしてブラッドを見上げた。瞼の下、疑いを知らぬ翡翠が眩しい輝きを見せる。
     ブラッドは、打算のない彼の目に弱い。
    「……あぁ、そうだな」
    「だったら、褒めてやるから早く終わらせてこいよ」
     そう言ってアキラはまたテレビに視線を向けると、映画に集中し始めた。最初こそ、伝記もののヒューマンドラマに「アクション映画はないのかよ」顔を顰めていたが、どうやら琴線に触れる部分があったのか、少なくともつまらなさそうな表情は見せていない。
     子供なのか大人なのか。馬鹿なのか聡いのか。思考よりも直感で物事を捉える動物的なアキラの習性には、慣れたようで慣れそうにない。一層、分かりやすく頬を膨らませて駄々をこねてくれれば、と思うこともある。
    「十分で終わらせる」
     そう言ってブラッドは傷痍に唇を寄せると、恋人として労いの言葉を送るか考えて――やめた。言葉よりも、誠意を見せるべきだ。足早にダイニングテーブルに戻ると、タブレットをつける。
     五分で終わらせれば、彼はきっと、頭をくしゃくしゃに撫でてくるのだろう。ブラッドは、そんなアキラの下手な褒め方が、存外、嫌いではなかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏❤❤😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    sakuranko55

    PROGRESS【過去編】神功・九鬼VS薬師河・イロハ⑤

    残りはアルファポリスで上げることにします!
    11月中はBL小説大賞に集中しますのでよろしくお願いします。
    九鬼が変態じゃないバトルはないです。笑
    【過去編】神功・九鬼VS薬師河・イロハ⑤「ねぇー、イロハちゃん。どれだけ姿を消してもニオイを消さないと〜。怖い怖い〜♡ってあまーいニオイがクッサイんだよネ〜」
    「ヒィッ!やめっ……!」
    「この髪って黒く出来るの?あーでも、水色のままでもいっか〜、顔だけ見てたら一緒だし、色違いもアリだね!」
    「い、いだあぁぁあっ、髪っ、引っ張るでなぁっ!」
    「はぁ……♡声が違うのがちょっとアレだけど、やっぱりイイヨ、イロハちゃん、その顔が歪むの最ッッッッ高!今までは黒い髪の赤い瞳の子をたくさーぁん殺してきたけど、顔が似てて色が違うっていうのもまたイイナァ……」
    「ひっ………ぅっ!?」

    逃げる間もなく伸びてきたてがイロハの首を掴んで地面へと抑え向けた。そのまま喉を押しつぶし、九鬼の指に力が入るとともに首が閉まっていく。イロハは色々な能力を有しているのに目の前の男に与えられる恐怖に屈服し、それ以上は能力が切り替わらなかった。喉を押し潰している手を必死に引っ掻いて、引っ張って足をばたつかせるがびくともせず視界が霞んでいく。
    1762