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    @2152n

    基本倉庫。i:騙々氏

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    🎈ブラアキ。誕生日エリチャンネタ。ブがアを車で迎えに行ったときの話。

    ##ブラアキ

    快晴、青の喝采「遅い」
    「これでも急いで来たつもりだが」
     ぶすりと不貞腐れたアキラにそう返せば「でも先に買い出ししてたんだろ」と膨れた頬が一段と大きくなった。
    「オスカーは?」
    「別の買い出しのために途中で降りた。終わったら、そのまま会場に向かうそうだ」
    「ふーん」
     まだ機嫌はなおらないらしい。ボルダリングに行く予定だと言っていた彼は、いつものラフな服装にリュックを背負っている。誕生日でも変わらぬ行動に、心中でブレない男だとこっそり呆れていると、表情を読んだのかジト目を向けられた。最近の彼は、こちらのポーカーフェイスをお見通しだとばかりに読んでくる。それを成長したと喜べばいいのかは、ブラッドにとって複雑な気分だ。
    「そうだな、今日の主役はお前だ。今からは丁重にもてなしてやる」
     そろそろパーティーが始まる。これ以上機嫌を損ねさせるのは得策ではないと、運転手らしく助手席の扉を開いて恭しく頭を下げれば、少しは気分が良くなったのかアキラは鼻を鳴らして乱暴に乗り込んだ。
     メンターに対する態度ではないが、今日くらいは許してやろう。
    「そんで、何買ってきたんだ?」
    「ガストから頼まれたものだ」
     パークに着くまで待つという言葉を知らないのだろう。気になるのか、アキラは早速とばかりに後部座席に積んだ荷物を手繰り寄せ中身を確認する。
     そして『それ』を見た瞬間、みるみる目を輝かせ始めた。
    「これ、会場でやっていいのか!?」
    「お前が望むならな」
    「やるに決まってるだろ! くぅ〜〜、流石ガスト! オレが一番求めるものを分かってる男だぜ!」
    「……」
     アキラの言葉に、ブラッドはぴくりと眉を動かした。胸中で大人気ない嫉妬心が生まれたが、今日は誕生日なのだから多少のデリカシーのなさは大目に見るべきだ。ガストはブラッドよりもアキラと過ごした時期が長い。性格も気が合うのだろう。だから、他意はない。言い聞かせて運転に集中する。
    「ブラッドも参加するよな」
    「お前がそうして欲しいなら」
     とはいえ、やはり思うところはある。やや冷たい返事になってしまったブラッドに、アキラは不思議そうに目を瞬かせたあとニヤリと口端を持ち上げた。
    「なんだよ、嫉妬か?」
    「そう捉えてくれても構わない」
    「素直じゃねーな」
    「……」
    「……はぁ」
    「……正直に言えば、好きな相手が他の男を持ち上げるのは、気分が良いとは言えない」
     沈黙を割ったアキラの嘆息に呼応して吐露した本音。言うつもりはなかった。最近の自分はどうかしている。彼のことになると、感情が上手くコントロール出来ない。
     様々な感情から、胸中で渦巻く不快感に難しい顔をしていると、信号で一時停車したタイミングで頬に湿ったものが押し当てられた。アキラの唇だ。
    「安心しろよ、ガストはオレを一番に分かってる男だけど、お前を一番に分かってるのはオレだからな」
     フフン、と自慢げに浮かべる笑み。その言葉を自信たっぷりに言えるのはお前だけだ。ブラッドは横目で信号を確認しながらアキラの胸ぐらを掴むと、強く引き寄せ囁いた。
    「自惚れるな」
     近付ける顔。押し当てる唇。驚きに開いた隙間に舌を差し入れ、僅かな時間で咥内を堪能すると顔を離す。丁度信号は色を変えていた。ブラッドは運転を再開しながら挑発するように言った。
    「するなら、こちらがいい。……どうやら、まだ俺への理解が足りないようだな」
    「〜〜っ」
     見なくても分かる。横で顔を真っ赤にさせたアキラが、悔しそうに唇を噛み締めていることくらい。
    「覚えてろよ、これでゼッテェお前をぶちのめしてやるからな」
    「上等だ。こちらも手加減するつもりはない」
     唸る声を聞きながら、ブラッドはフリーウェイに入ったところでアクセルを踏み込んだ。
     早く皆でアキラの誕生日を祝いたい。そして、パーティーのあとはゆっくりと独り占めしたい。まだ彼の特別な一日は続いている。どうかこれからも、自分を一番に理解している男であり続けて欲しい。
     そう願いながら、ブラッドは遠くに見えるミリオンパークの入り口へ車を走らせた。
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