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    amei_ns

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    カップリング臭が薄すぎたので供養しようと思いました。

    #ぐだリン未満
    lessThanAGudrin

    「もし生まれ変われるとしたらなんになりたい?」
     道満に書き物仕事を任せ、ベッドで横になったマスターはそんなことを言った。仕事を取り上げられて暇なのだ。話しかけずに道満が黙々と仕事を片付けていく様を見ているのにも飽きた様子なのであった。
    「そう言われましても、拙僧は影法師なれば、他のなににもなれませぬ。行き止まりの存在にございますから」
    「ええ、そんな夢がないこと言わないでさぁ。なんかあるでしょ、鳥になって空を自由に飛んでみたいとかさ」
     絡んでくるマスターをウザいなどとは思っていない道満である。いつもなら自分がウザ絡みをしている立場だというのに、少し逆転したらこうだ。
     歪んだ笑みでマスターの言葉を受け、少し考えてみたものの、何になろうとも思えなかった。
    「鳥にならずとも、飛ばす式に視点を移せば、空を飛ぶ気分は味わえます。それで十分でしょう。拙僧には過ぎたる願いでございます」
    「んーそっか。道満はそういうことができるのか。羨ましいな」
    「ではマスターも陰陽道を学んでみますか?」
     道満としてはそんなことできないだろう、と思っていた。マスターが学んでいる魔術は多岐に渡る。今も暇を見つけては他のキャスター連中から詰め込み教育が行われているのだ。道満がそこに入り込む余地などないと思いながら、意地悪のつもりで尋ねたのだが、マスターは起き上がり、そして「いいの?」と言った。
     前向きすぎる声が聞こえ、聞き間違いかと思いながら、道満はマスターの方を見た。
    「道満が教えてくれるっていうなら、俺は教えて欲しいよ」
     真摯な青い目が伺うように道満を見ていた。道満はその視線に耐え切れず、書面に視線を戻した。
    「しかし、拙僧の術は殆ど我流に近いですからな。大事なマスターに変な癖がついてはいけませぬ。ええ、ええ、そうです。それこそいまは香子殿に初歩を教わりながら、晴明がここにやってきた際に詳しくされるのがよろしいかと」
     自分で言い出したのに逃げを打つ道満に、マスターは煌めいていた目を伏せた。
    「そっか」
     落胆したのか、マスターは再びベッドに横になる。そしてぽつと呟いた。
    「俺は、道満に教わりたかったけどな」
     道満はそれを聞かなかったことにして、書類を片付けていった。
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    amei_ns

    DOODLEカップリング臭が薄すぎたので供養しようと思いました。「もし生まれ変われるとしたらなんになりたい?」
     道満に書き物仕事を任せ、ベッドで横になったマスターはそんなことを言った。仕事を取り上げられて暇なのだ。話しかけずに道満が黙々と仕事を片付けていく様を見ているのにも飽きた様子なのであった。
    「そう言われましても、拙僧は影法師なれば、他のなににもなれませぬ。行き止まりの存在にございますから」
    「ええ、そんな夢がないこと言わないでさぁ。なんかあるでしょ、鳥になって空を自由に飛んでみたいとかさ」
     絡んでくるマスターをウザいなどとは思っていない道満である。いつもなら自分がウザ絡みをしている立場だというのに、少し逆転したらこうだ。
     歪んだ笑みでマスターの言葉を受け、少し考えてみたものの、何になろうとも思えなかった。
    「鳥にならずとも、飛ばす式に視点を移せば、空を飛ぶ気分は味わえます。それで十分でしょう。拙僧には過ぎたる願いでございます」
    「んーそっか。道満はそういうことができるのか。羨ましいな」
    「ではマスターも陰陽道を学んでみますか?」
     道満としてはそんなことできないだろう、と思っていた。マスターが学んでいる魔術は多岐に渡る。今も暇を見つけ 941

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