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    Luso

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    藤堂葵はぴば

    #藤堂葵
    eichorniaCrassipes
    #山田太郎
    taroYamada
    #藤ヤマ
    wisteriaMountain
    #藤堂葵誕生祭2024

    誕生日は好きじゃねえ。

    誕生日を友達に祝ってもらった事はあんまない。
    夏休み最終日で大半の友達は宿題のラストスパートだった。
    リトルに入ると色々と世話を焼く大人がいるもんで、黙ってても宿題なんてスケジュール通りに進められて夏休み最終日に慌てた事なんざねぇ。
    野球を始めてからはリトルでもシニアでも誕生日はチームメイトに練習後に祝ってはもらう様になって、それはそれで楽しかった。
    みんないい奴だったし、ストイックな制約もあったが、あんだけ動けば誰かの誕生日はチートデイになる。
    だがそれもこれも俺がイップスになるまでの話だ。
    出来ないことへの苛立ちやら、勝手に作り上げた疎外感やら、果てはどうして俺は生まれて来たんだろう、と思う様にもなっていた。

    誕生日はやっぱり好きになれねえ。

    今まで8月31日は夏休みだったのに、高校では8月25日で休みが終わっちまった。
    まぁ、誰にも誕生日なんざ教えてねえし、身構えることもないだろ。

    「藤堂くん、誕生日おめでとう!」
    「は?」
    ヤマだ。
    満面の笑みのヤマが真正面にいる。
    「何でオメーが知ってるんだよ」
    「え?要くんが教えてくれたんだけど」
    「はぁ?何でアイツが俺の誕生日知ってんだよ」
    ヤマの顔から笑顔が消え、うっすら青白くさえある。
    こんな顔がさせたかった訳じゃないんだが。
    「えっとー、智将バージョンの時の要くんが教えてくれたんだけど」
    「益々意味が分からん」
    段々目つきが悪くなってる気がする。自分を律せよ、俺。
    「あー…まず僕が色々迷ってる時に智将が声をかけてくれて、昔覚えた僕のデータベースを教えてくれたんだよ、僕のプレイスタイルとか生年月日とか」
    「ほーん?」
    「キャッチャーがバッターに声を掛けるのはよくある事だろ、頭に入れてるんじゃないかな?対戦相手」
    「おぅ」
    「その時みんなのも教えてもらったんだよ」
    「へぇ、それで全員の誕生日を覚えたって訳か」
    なんかそれもつまんねえ話だな。
    「ん〜、覚えたのは藤堂君と要君だけかな」
    なんだ、ソレ
    「いや、要君はもっと前から覚えてたよ、入学したてで左右も分からない頃に刷り込まれたと言うか、誕生日騒いでたしね」
    「あ、同じクラスだもんな。あのアンポンタンの介の騒ぎっぷりは想像つくわ」
    「うん、嫌でも覚える」
    「で?俺は何で覚えた?」
    「えっとー?藤堂葵様だから?」
    「はぁ?」
    「シニアの頃からかっこいいなって思ってたよ」
    「何でだよ、対戦したことねえだろ」
    「当たってなくても同じ球場にいたら目に入るでしょ。藤堂君目立つし」
    「おう」
    「こんな強打者で守備も上手くて、しかも優しい」
    「優しいは余計だ」
    「あはは、余計じゃないよ、そう言うとこ」
    やっとヤマに笑顔が戻った。
    「何でかなぁ?やっぱり藤堂葵様の誕生日だから、でいいんじゃない?」

    なんか、少しは誕生日を好きになってやってもいい気がしてきた。
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