人様の誕生日を祝うという発想がまず五条悟には無かった。生まれた時から祝われる側であり、家に関係のある人物としかまともに関わりがない。友人等は居る訳がなかったのだ。そんな中、呪術高専に入学し、初めて祝いたい、という感情と対面する事になる。だが、思った時は既に遅し。
「硝子!どうすりゃいい!?」
「……」
携帯へ連絡が来たと思ったら数分後のお部屋訪問に家入は思いっきり顔を顰めた。それもそのはずで、投げかけられた言葉からしてあまり良いものではない事はすぐ分かる。確か五条は、昨日から泊まりの任務で、今日の夕方に帰ってくると彼女は記憶していた。現時刻は午後の二時半頃。予定より早く終わったその足で女子側の寮へ直行して来た事は明白。
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