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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-05/空閑汐♂夏祭り5日目〜!私もまさか線香花火ってお題から線香花火作り出すなんて思わなかったし、ハイブリッドロケットをぶち込めるとは思わなかった。何年か前に行った講演で聞いてからずっとどこかで使いたかったネタ。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day05 摘んだ指先に垂れる細い紙縒の先に火を灯せば、ジリジリと小さな音を立ててぽってりとした火の玉が橙色に輝く。しかし、その火球は美しい松葉型をした火花を散らす事なく地面へと落ちていった。
    「くっそ、撚り方が甘かったか」
    「あ、俺の上手くいってる!」
     悔しそうな汐見の声を追うように、楽しげな空閑の声が飛ぶ。
    「ボクのもいい感じじゃない? せんこ花火ってこのパチパチがメインなんでしょ?」
     パチパチと火花を散らす光を嬉しそうに見つめながらフェルマーも声を上げ、高師は火花を散らす前に落ちた火球を見遣り鼻を鳴らした。それぞれの一喜一憂を見守りつつも、自身の手にあった火花を少しだけ散らし落ちた線香花火の紙縒を水を入れたバケツに落として篠原は笑う。
    「非火薬式線香花火作ろうとか、突然何言い出すかと思ったけど結構楽しいな、コレ」
     流石に市販の線香花火と同じ材料で線香花火を作ろうとすればそれは密造だ。パイロットコースに所属する空閑と汐見は兎も角として、篠原達が所属するエンジニアリングコースはロケットエンジンについての講義や実験がメインである。密造線香花火なんて子猫みたいに思えるような燃焼が身近にありすぎて、篠原はうっかり「非火薬式なんて面倒な事しなくても普通に作りゃ良いだろ」なんて言葉を口を滑らせていた。
    「非火薬式でも何でも、そもそも線香花火作ろうって言い出すのがエンジニアリングコースって感じだよな。作るの自体は面白かったけど」
    「そうそう、こないだやった金魚のプログラムどころじゃないじゃん。あっちはプログラム組めばいいだけだけど、こっちは燃えるし」
     二本目の線香花火は上手く燃えたようで、何処か得意げに口端を上げる汐見とその様子を見て楽しげに笑みを深める空閑はそんな事を口にして。
    「ていうか、昔のロケット技術者ってよく子供の頃から非合法なロケット作ってたって話も聞くけど、お前らもそうなのか?」
     前にそんな本を読んだと首を傾げた汐見に、エンジニアリングコースに所属する三人の男は三者三様の表情を浮かべる。呆れたような高師に、視線を逸らした篠原、そしてきょとんと瞳を瞬かせるフェルマー。
    「あのなぁ汐見、ロケット技術者が皆ホーマー・ヒッカム・ジュニアって訳じゃないだろ」
    「まぁ、若気の至りで……」
    「ボクは端面燃焼式ハイブリッドロケット試してみた事あるかな」
    「お前らなぁ……!」
     呆れ気味に告げる高師を裏切るように篠原とフェルマーは過去の所業の一端を口にして、高師はあまりの裏切りに頭を抱えてしまう。
    「端面燃焼式? 構造作るの難しくないかアレ」
    「うちに3Dプリンタあったからね。こんくらいのちっちゃいやつだし、ハイブリッドロケットなら安全だし」
     興味深げにフェルマーへと問いかける篠原に、彼は得意げに笑う。フェルマーの口にする安全、という言葉に高師も納得したように頷いた。
    「俺らからしてみれば、ロケットって付いてる物を子供が作るって時点で安全ではないと思っちゃうんだけど?」
     そのまま彼らの専門に話が流れようとした気配に気付きながらも空閑は片手をひらりと上げて、彼らへと問う。隣では汐見も同じように怪訝そうに眉を寄せていた。
    「あぁ、ハイブリッドロケットは簡単に言えばプラスチックを燃やして飛ばすロケットだから、移動させる時も気を使わないで良くて取り締まり対象でもないんだよね」
    「万が一失敗しても爆発しないからな、ただ燃えるだけだから安全なんだよ」
     空閑と汐見の怪訝な様子に、拳で自分の手のひらを叩いたフェルマーはそのメカニズムを口にする。その言葉を追うように篠原が解説を補足しその隣で高師が同意するように頷いた。
    「燃えるなら安全じゃないと思うんだけどなぁ……」
    「爆発しないだけマシってやつなんじゃないか……?」
     ついていけない、と肩を竦めた汐見に無理やり自分を納得させるように頷いた空閑は今度は包装されている線香花火に手を伸ばす。こちらは学内の購買で売られていた国産手作りの高級線香花火である。
    「国産手製品は持ちがいいって言うけど、どうなんだろうね」
    「よし、どっちが長く続くか勝負するか」
     同じタイミングで線香花火に火を灯した彼らの夏はまだ始まったばかりである。
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