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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-08-01/空閑汐♂デイリーも3ヶ月目に突入!ここからは怒涛のハッピーエンドまで駆け足です。ハッピーエンドになる筈なんだ。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #BL

    空閑汐♂デイリー【Memories】01 視界に現れたスラリとした細い体躯を持つ青年に、エリアス・フォスターは眉を寄せる。線が細いアジア人と思しき青年は、彼よりも体格の良い青年と連れ立ってこの場所にやってきた。
     航宙士学院の入学生に指定されたこの教室に居るという事は、厳しい選抜を潜り抜けたフォスターの同期である筈だ。しかしフォスターから見た細身の青年の姿は、とてもではないがストレートで入学していたフォスターと同い年かそれよりも年上だとは思えなかった。
    「なぁ君……たち? 高等部と間違えてないか?」
     隣接する本校に設置された高等部への留学生が迷ってしまったのだろうか、そして彼らは英語を聞き取れるのだろうかと思いながらも恐る恐る声を掛けたフォスターに細身の青年は呆れたように眉を寄せ、その隣の青年は面白そうにカラカラと笑う。
     フォスターが予想した反応と異なる青年達の反応に、アンバーの瞳を幾度か瞬かせていれば、細身の青年は淡々とした――しかし淀みのない発声で英語を紡いでいく。
    「間違えてない。そうやって迷子だと思って声を掛けてきた奴は、お前でめでたく三人目だ」
    「うちのアマネが口悪くてごめんね? 俺たちも航宙士学院の新入生なんだ。俺がヒロミ・クガ、こっちはアマネ・シオミ」
     斬って捨てるような淡々と――しかし有無を言わせないような強い口調で紡がれた汐見の言葉を補足するように、柔らかな調子で空閑が言葉を重ねていく。
     汐見と空閑の言葉に併せて眼前に提示された学生証は、正しくフォスターが持つそれと同じもので。学生証に印字された写真と眼前の青年達が、完全に同一人物である事も確かな事であった。
    「俺の方が勘違いしてしまって、大変失礼した。君達もストレートなんだな、俺はエリアス・フォスター。これから五年間よろしく頼む」
     勘違いの無礼を詫び片手を差し出したフォスターに、片手を差し出された汐見は不思議そうに幾度か切れ長で涼やかな瞳を瞬かせる。
    「シオミ?」
     差し出したフォスターの右手を不思議そうな表情を隠そうともせずまじまじと見つめていた汐見の名を呼べば、彼はハッとしたようにフォスターの右手をがしりと握り締める。
    「この反応は初めてだった。さっきは気まずそうにして逃げてくか、分かりにくいって逆ギレされてな」
     汐見のどこか儚そうな見た目からは想像が付かない程、強い力で握りしめられたフォスターの右手はぎちりと軋んで。楽しげにぶんぶんと握った手を振る汐見に、隣に立ってた空閑がやんわりと静止の言葉をかける。
    「フォスターくんが痛そうだよ、アマネの握力やばいじゃん」
     柔らかな語調で汐見に向けられた言葉は、きっと彼らの母語だろう。フォスターには聞き取れない言葉で紡がれた空閑の言葉に、汐見の手からは力が抜けていった。
    「あ、すまん。大丈夫か?」
    「平気だ、思ったよりも強いんだな」
     少しだけ痛む右手をひらりと振ったフォスターは、空閑へもその手のひらを差し向ける。
    「クガも、宜しく頼む」
    「うん、こちらこそ宜しくね」
     人好きのする笑みを浮かべ、こちらは常識的な握手を交わした空閑にフォスターも笑みを浮かべる。きっとこれからの五年間は、楽しくなるのだろうと。
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