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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-08-17/本日の空閑汐♂デイリーは汐見♂編。これから空閑と汐見♂のそれぞれの1年づつを上げていきます。空閑と汐見♂だと別れてダメージ強いのは汐見♂の方だよなぁ。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #BL

    空閑汐♂デイリー【Memories】17 荒涼とした赤い大地を見つめ、密かに嘆息する。そんな汐見の態度を横目で見ていたフォスターは困ったように笑いながらも、彼の背中を景気付けとでも言うように叩いていた。
    「今日も一日、働くぞ」
    「解ってるさ、今日も一日墓場で飛んでやる」
     航宙士学院を主席で卒業した汐見は、フォスターと共に軍人としての道を進み始めていた。新兵教育を修了し、出された辞令は二人揃ってモハーヴェ宇宙港勤務。近くには飛行機の墓場と呼ばれる場所があるその地では、地球と軌道ステーションを結ぶスペースプレーンが飛んでいた。
     在学中に各種ジェット戦闘機の飛行ライセンスを取得し、航宙徽章を持つ二人は殆どが航宙士学院卒業生で構成される部隊へと配属されたのだ。
     航宙士学院では、どんな環境にも耐え得るパイロットの育成をその理念としていた。最短で航宙徽章を得た若いパイロットが、他のルートで航宙徽章を取得したパイロットよりも劣るような事があってはならないと。
     その為航宙士学院では、本来航宙徽章を得るのに不要であるジェット戦闘機の操縦まで出来る航宙士が育成されるのだ。そしてすっかり時代遅れになってしまった有人戦闘機パイロットの育成に金と時間を使いたくはないが人員を最低限確保しておきたい軍は、航宙士学院で現行機の殆どを操る事が出来る航宙士学院卒業生をこの砂漠へと集めている。
    「でも、お前が軍に入るなんて思ってなかったな」
     フライトスーツを纏いヘルメットを抱えながら歩くフォスターは、隣に立つ汐見へ不思議そうに言葉を漏らす。長らく航宙士学院の卒業生から連邦宇宙軍への入隊者が居なかったらしく、この部隊で久々の新人となった二人は先輩達からはコンビ扱いされている。今日の訓練も、フォスターは汐見とのペアだ。
     フォスターの言葉に、汐見はその切れ長な瞳をパチリと瞬かせ少し考えるように空を見上げた。フォスターが乗る機の前で、足を止めた汐見は「普通のエアラインに就職したら、出張が多いだろ?」と口を開いた。
     汐見の言葉を理解出来ずに首を傾げたフォスターは、彼のコールサインとなった名の由来を思い出す。
    「軍でオーベルト勤務になれば、テストパイロットでずっとそこに居れるからな」
    「あぁ、お前入隊した途端にオーベルト勤務の希望出してたもんな」
     航宙士徽章を持っていても、入隊した途端にオーベルト勤務を希望し上官に直談判をするなんて新兵は全くと言って良いほど居ないのだ。フォスターも、地上と宇宙を結ぶスペースプレーンのパイロットとして勤務する事を希望しこうしてこの場所に居る。
     そして、その直談判を面白がった上官によって彼に付けられたコールサインはイーグル。彼の地にはじめて舞い降りた宇宙船の名だ。
    「最後に、ヒロミに言ったんだ。俺はオーベルトに行くから、お前も、って」
     フォスターへと向けられたのか彼自身に言い聞かせたものなのか判別が付かないような小さな声で、汐見はそう溢して自身が乗る機体へと足を進めていった。
     汐見の真っ直ぐな後ろ姿を少しだけ見つめてからシートへと腰を下ろしたフォスターは、人知れず嘆息する。汐見はまだ、空閑の事を手放せずに居るのかと。
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