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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-08-28/ハッピーエバーアフターな空閑汐♂そのいち。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #BL

    空閑汐♂デイリー【Memories】28 硬い二段ベッドが置かれた寮で出逢ってから十四年、互いを一度手放してから七年、約束の場所でもう一度出逢い――思い返すと身悶えしてしまうようなみっともないプロポーズの言葉を叫んでから、一年。今日も汐見の左手には彼自身が空閑へと贈った指輪と対になるそれが光っている。
     互いに休暇を取っていたが、緊急の呼び出しだと苦々しげに呻いた空閑は背中に哀愁を漂わせて部屋を出て――一人残された汐見はぐずぐずとベッドの中で時間をやり過ごしていた。とてもじゃはないけれど動ける状態に無かったので。
     互いに休みが重なった前夜は、三十に入った今でも大いに盛り上がる。互いに不規則な勤務体系で働いているおかげで、休みが重なる日が少なく――互いに溜まりに溜まった情欲をぶつけ合っていれば気付けば朝になっていたりもする。
     昨夜もそうやって何度も肌を重ね、汐見は朝方まで空閑に一番深い所をも暴かれていた。そんな日の翌朝は大体腰から下が使い物にならなくなるのだ。空閑の剛直で腹の中を満たされた挙句に結腸までをもこじ開けられ、揺すられ、何も考えられなくなるような快感に支配される。汐見もその快感に流される事を嫌っている訳ではないものの、こうやって休みのうち半分が潰れてしまうのは頂けない。
     これで空閑が側に居るのであればそれはそれで有意義な休日になるのだが、その頼みの綱である空閑も今日は居ない。仕方がないとばかりに漸く気怠さが抜けた身体をゴロンと動かし、広く柔らかなベッドを満喫しても汐見の口から零れるのは溜息であった。
    「……暇だ」
     いつまで経っても待てを覚えない愛しい男と、結局流されはしたなくそれを求めてしまう自分。どちらがより罪深いだろう――そこまで考えて頭を振る。これは決して、罪悪ではないのだと。
     暇を持て余した汐見は再びのため息と共にベッドから床へと足を下ろす。幾度か座ったまま足の感触を確かめて、小さな掛け声と共に立ち上がれば少しだけ覚束ない足取りでベッドから抜け出した。
     最初は空閑が住む単身者用のワンルームで暮らし、その後籍を入れると同時にメゾネットタイプの広い部屋での生活を始めて――その日から数えて今日は丁度一年で。手すりに体重を預けながら、足元が少し怪しい状態で階段を降りる汐見は小さく笑う。
    「あいつも可哀想なこった」
     昨夜はこの結婚記念日になるのだろうこの日をどう過ごすかという事を、少年のように瞳を輝かせて大演説をしていた張本人が仕事で居ない。汐見はどちらかといえば記念日のような節目には重きを置かないしあまり興味も持てずにいた――三百六十五分の一日よりも、三百六十五日を全て大事にしておきたいというのは、流石に気恥ずかしくて誰にも言えないが。
     けれど、空閑がそうやって三百六十五分の一日を楽しそうにしているのを見るのは嫌いじゃない。そんな事を思っていれば昨夜からリビングに放置したままになっていた高校時代から使い続けている汐見の古めかしいデザインの端末が音を立てる。その画面には『今から帰る!』と一言だけ表示されていた。
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    kumo72783924

    PROGRESS前回の続き。少し手直し。流心ドイツ編のプロローグ的な位置づけ。ちなみに楓吾はじいちゃんがドイツ人、ばあちゃんが日本人のクォーターという設定です。
    流心〜ドイツ編〜楓吾1
     川岸に立つ電波塔のライトは、午後六時を示している。塔の側面に灯る明かりが十進法時計になっていて、辺りが暗くなると、小さな光の明滅でさりげなく時刻を教えてくれるのだ。雄大な川の流れを眺めていると時間が経つのを忘れてしまいそうになるけど、ここは基本的に東京よりも気温が低いので、十一月ともなれば上着が無いとかなり寒い。隣に座る魁は、僕のアドバイス通りに持ち込んだダウンジャケットを羽織っている。長旅で疲れていないかと尋ねたら、ずっと座りっぱなしだったからむしろ少し歩きたいと言うので二人で散歩に出ることにした。久しぶりに会う恋人は、少し痩せたようにも見える。だけどそれはやつれたというわけではなく、引き締まったと言った方が良いだろう。僕がドイツに来て以来、いくらメッセージやビデオ通話でコミュニケーションを取ってきたとしても、こうやって直接会って触れられる喜びは何にも替えられない。空港で挨拶代わりのハグをしただけではどうしても我慢出来なくて、駐車場で車に乗り込んですぐ、一度だけキスをした。
    1959

    のうべ

    Happy New Year一次創作「white memories」のお正月。
    世界観の事情から本編ではお正月ネタはできそうにないので、もしも○○があったら……的なやつです。
    本編は支部や個人サイトに公開してます。

    【簡単な人物紹介】
    ティジ:レリアンという国の王子。好奇心旺盛。
    ルイ:ティジの幼なじみ。ティジのことが好き(ティジはそのことを知らない)
    クルベス:ルイの伯父。城住み込みの医者。
    ジャルア:ティジの父。国王。
    【white memories】お正月「その格好、どうしたんだ?」
    「『着物』って言って東の国の伝統装束なんだって。父さんが外交の時にもらったから着てみろって言ってたんだ」

    ルイの問いかけにティジはその場でくるりと回って答える。因みにここは城に住み込みで働いている医者(ルイの伯父でもある)クルベスの私室だ。部屋の主は席を外している。

    「どうかな?」
    「……うん、まぁ良いと思う」
    首を傾げて感想を求めるその姿に顔を背ける。

    ティジが纏うのは黒の着物に灰色の袴。
    白い髪に赤い瞳という人目を引く容姿には少々コントラストがキツく映ってしまうが、ティジに惚れてしまっているルイには些細なことでしかない。

    「やっぱり、俺には似合ってなかった……かな」
    ルイが顔を反らしたのを、見るにたえなかったかと思いシュン……と肩を落とす。
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