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    チェズルクワンライ
    20min …のところで、超眠いからねる。

    #チェズルク
    chesluk

     分厚い紙の束を取り出すと、つやつやとした様々な色合いが目に飛び込んでくる。
     グリーン、ホワイト、パープル、レッド、イエロー……派手な色が多い割に、目に優しいと思えるのは、きっとそれらが自然と調和していた色だから、なんだろうな。
     大ぶりの葉野菜に手をのばして、またよくわからない植物が入っているな、と首を傾げる。
     世界中をひっちゃかめっちゃかにかき回し続けている「ピアノの先生」から送られてくる荷物は、半分が彼の綴るうつくしい筆致の手紙で、もう半分は野菜で埋め尽くされていることがほとんどだ。時折、隙間には僕の仕事に役立ちそうなので、等と書いたメモや資料が入っていることもある。惜しげもなく呈されたそれらに目を通すと、何故か自分が追っている真っ最中、外部に漏らしているはずのない隠匿された事件にかかわりのある証拠や証言が記載されていたりする。助かる……と手放しで喜べるような状況じゃないよな、と思いながらも、対処が取れないままだ。
     多分、盗聴器とか仕掛けられているんだよな。隠しカメラとかも、探せばあるのかもしれない。シキから渡された端末もすこしあやしいと睨んでいるけれど、とある国の防衛機能として動いている衛星を利用した回線で接続されているそれは、どんな辺鄙な場所でもネット回線が繋がるという大きなメリットを持っている。少し治安の悪い地域に入るだけで、普通のスマートフォンやモバイル端末は利用できなくなることがほとんどだ。しかも、手軽で使いやすいフォーマットになれてしまうと、署にあるPCさえ少し不便に感じてしまう。機能と画面の大きさの割には随分軽く感じるタブレットを、手放せる気がしない。
    「うーん……」
     手の中の野菜をためつすがめつ確かめてみる。葉野菜の先端は濃い緑の色合いを広げていて、茎の部分に近付くにつれ色合いを薄く変じていく。根元の部分なんて、ほとんど白と言っていいような色合いだ。ほんのり、緑がかっている気がするけれど、気のせいだと言われたら納得してしまいそうな淡さだった。
     つやつやした緑は、きっとチェズレイ自らが選んで寄越したものだとおもう。当然、美味しいだろうし、栄養価も高いんだろう。たまに何の冗談か自分のことを僕の母なんて言い出す彼が、僕に美味しくないものを送りつけてくる、という行為は考えづらい。
     とはいえ、名前もわからないその野菜の、調理方法なんて僕は知らない。
    「うーん……仕方ないよな」
     ちらりと、タブレットへ目を向けた。
     食べ方によって、野菜はその味をまるっきり変えてしまう。そのまま食べられるのか、それとも火を通した方が良いのか。もっと言えば、強火で炒める
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    ☺☺☺☺☺
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    きたはら/しま

    DONEはみ通をよんで我慢できなくて書いた
    部屋ではなく屋上で寝ているアーロンと、なにかものを買ってあげたいルークの話
    アーロンにとって、世の中には嫌いなものばかりだ。餓え、争い、怪我、略奪、銃撃、腐ったパン、泥水。

    いつだったか。「アーロンはどうしていつもそんなに怒っているんだ?」と聞かれたことがある。決まっている、アーロンの世界には許せないことばかり目に入ってきたからだ。怒らなければ、立ち上がらなければとっくの昔に死んでいただろう。

    いつだったか。潜入した国で情報をあさるために図書館で情報収集していたとき。迷子になった子供になぜか懐かれて、絵本を読んでやったことがある。古ぼけた図書館の、これまた古ぼけた木枠ががたついている窓ガラスは、表面があめ玉みたいに波打っていた。そこから入り込む午後の光は揺らめいていて、机にぼんやりとした影を落とす。それがあんまりにも砂漠の日差しと違いすぎて、アーロンの気が迷ったのだ。その子供が、死んでしまった仲間と同じ髪の色をしていたのもいけない。
    アーロンはそのとき読んだ話も大嫌いになった。三兄弟がそれぞれ家を建て、狼が襲いに来るというおとぎ話。わらの家と木の家は吹き飛び、煉瓦の家だけが安全だったという、くだらない夢物語。

    コンクリートとガラスで出来ていた砂漠の家は、 2522