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    rikotta1230

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    rikotta1230

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    #大入り袋

    初めての誕生日(大入り袋)初めての誕生日(大入り袋)

    ※通話で話してたものを妄想交え書きなぐったものです。ifです

    3月3日…ひな祭りや女の子の日、桃の節句等となんとも愛らしい言葉が並ぶ日にいつもと変わらない日常が始まる予定だった。

    「おはようございます」

    目覚めたばかりの頭を覚まそうと入縄が洗面所へと行けば偶々、ワックスで髪を整えていた大内を見掛けた後から入縄が声をかけると大内も振り返りまだ髪が整えきれて居らず幼く見える大内がにこりと微笑みながら挨拶を返した。
    先約がいるため洗顔を後にしようとその場を去ろうとした時、慌てた様子の結花が入縄へと早足で向かい入縄とぶつかりそうになるも、互いに避けた為ぶつかる事は無かったが何時も幼い年齢にしては落ち着いた態度を見せる結花の慌しい動きに不思議に思った入縄は、高い目線を下げるようにその場にしゃがみ出来る限り結花へと視線を合わせた

    「おはようございます、お嬢さん…慌ててどうされました?」

    首を緩く傾げてたずねるが、結花は冷静を装うことも出来ないのか困ったように眉を下げて周りを見渡してから、ぎゅっと手に持ったものを抱き抱えるようにする
    それは画用紙を丸め棒状にしたような物で拙く黄色のリボンで結ばれている。それだけでは情報も足りずに入縄は結花の言葉を待っていたが代わりに後から聞き馴染みのある声が降ってきた

    「なにやってるんだ、2人とも」

    大内の姿を確認すると結花は少し気恥しそうにモジモジとして見える…。いつもズバリと言葉を発する結花にしては珍しい

    「薫兄…えと、お誕生日おめでとう」

    少し時間を置いた後に先程から抱き抱えていた物を大内へと渡せば結花の不振な行動の意味がわかったものの、その言葉で初めて知った真実に入縄は驚きを隠せない状況で微笑ましい光景を眺めていた

    「ああ、ありがとな。開けてもいいか?」

    目を丸くする入縄を他所に大内は結花から貰ったプレゼントを開いてそこに描かれていたイラストを嬉しそうに眺めて結花のサラリと流れるストレートの髪を撫で、形ばかりの触れない口付けを額へとすれば去っていく後姿を眺めて鼻歌混じりに立ち上がろうとするが、それは入縄の手によって阻止された。
    服を掴み大内を不満げに見つめる入縄にやっと気づいたのか不思議そうに首を傾げる大内は、状況を飲み込めていないのか何故引き止められているのか少し考えた後に

    「どうかしたか?お前もキスして欲しいのか?」

    等とからかうような言葉を添えてたずねるが、子供のように拗ねたような表情の入縄はそれを気にするでもなく表情に合った拗ねた口調で

    「知らなかったんですが……」

    「え?」

    やっと聞こえた言葉に短く聞き返すようにすれば大内よりも高い背はしゃがんだのもあるが背を丸めてさらに小さくなり大内の肩へと額を押し付け擦り付ける

    「お誕生日…なんで教えてくれなかったんですかぁ……ワタクシ何も用意してませんよぉ」

    思いがけず可愛らしい態度で可愛い事を言う恋人に大内は、一瞬思考は停止し胸が高鳴るのを感じつつ、珍しいこのやり取りを心に刻もうと一旦動きを止めた後にこの体制を崩すまいと背へと腕を回して柔く頭を撫でた

    「あー、特に気にしてなかったんだ…自分の誕生日とか…すまない」

    にやけそうなのを抑えて謝罪すれば拗ねた様子を崩さないが撫でられるのを静止しようとしない入縄は、見えない事もあり若干気持ちよさそうに目を閉じて

    「ワタクシだって、恋人のお誕生日くらいお祝いしたいですよ」

    等と可愛い言葉を自覚してか無自覚なのか伝えて大内の背へと手を回し抱き締め返せばぐりっと小さな動きで額擦り付け、大内はそんな入縄に胸が締め付けられながらも心中のみで

    なるほど、これが萌え

    等と絶対にこの場では言えないような事を考えたのは内緒の話だ。

    「祝ってくれようとした気持ちだけで充分だ。ありがとう」

    邪な事を考えはしたが感謝しているのは本当で心底嬉しそうに顔緩ませつつぎゅっと強く抱き締めれば、その分此方へと預けてくれる重みに愛おしさを感じ暫く撫でていると、ふとある事が浮かんだ

    「そういえば、楝の誕生日って何時なんだ?報告書とかに書いてなかったよな?」

    そういえば、囚人達の記録等は頭に入っているものの誕生日等の出生についての記録が無い人間は貧民層には珍しくないので見落としていた。
    そう聞くと入縄はさも当然のように

    「知りませんね。多分誰も知らないのではないでしょうか」

    と気にした様子を見せない、2人とも自分に関して無頓着なところがあるのは似たもの同士なのかもしれない。

    「そうなのか」

    記録どころか記憶にもない人間も珍しくない。大内はそういう国の在り方も変えたくて軍人を志望していたのもあり驚きはしないものの、神妙な面持ちで考え事をした後に抱きしめたままの状態で

    「じゃあ、今日誕生日で良くないか?」

    思いついたままに伝えればすっかり絆されかけていた入縄が「え」と短く驚いた声を上げる。だが、それも気にしない様子で大内は言葉を続けた

    「分からないなら好きな日に設定すればいいし、それなら俺と一緒でもいいだろ?わかりやすいし、それに……一緒に何度も祝えば…きっと、この日が愛おしく好きな日になる。」

    額を擦り付けていた肩から顔を離してきょとりと不思議そうな顔をする入縄の鼻頭へと大内が口付けると、少し悲しげに眉を下げつつも優しく微笑む

    「まあ、半分は受け売りだけどな……お前にとって素敵な日になればと思うし、そう思える程幸せにする。」

    まだ感情や状況が飲み込めないでいる入縄の意見を待つよりも先にもう一度頭を撫でてから肩を押して離れると、大内は立ち上がってから伸びをして

    「突然言われても困るだろうし、今日を過してから決めてくれ。」

    「さて、忙しくなるな」

    次の日クリームたっぷりのケーキと盛大なパーティで胃袋も疲れもMAXな入縄はベッドで過ごす事となった。
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