1
全てが順調だった。高校二年生の冬、互いが互いを想っていることを自覚した。ああ、愛とは、恋とはこういうことなんだって、生涯抱くはずのなかった感情を持て余した。
愛しいと思えば撫でて、好きだと思えば手を繋いだ。僕が大学に入ってからは、劇団員の見習いとして働く司くんがよく寮に遊びに来てくれた。
幸せだった。
ある公演で、遂に司くんが舞台に出ることになった。大学は休みの日だったし、司くんが観に来て欲しいと言うので、もちろん僕は彼を観に行った。
僕は、その日のことを一生忘れない。
2
来世でもお前を愛する、と誓い合ったので、絶対に出会えると信じていた。
会えた。声も、見た目も、名前も全く変わっていたが、彼が類だと気がついた。
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