46 アル空「空、おはよう。今日もいい天気だよ」
耳に馴染んだ優しい声で目を覚ます。まだぼんやりとしている視界の中に、ミルクティー色が揺れていた。
「……アルベド」
いつの間に起きてたの、とからからになった喉が質問を投げた。
空の声に艶がなくなっているのは、昨夜の情事でアルベドから受けた愛に全身で応えていたためだった。腰にある鈍い重みも、噛み跡が残る肌も、彼の熱を受け止めた胎内も……まだ色香を残している。少し痺れる甘いそれを感じ続けるとまた彼を欲しくなってしまうから、なるべく感覚を追いかけないように軽く首を振り、まつ毛を震わせた空は、腕を支えにして身体を起こした。
「十五分程前かな」
「早起き〜……」
「そうでもないよ。時計も見えるだろう? 今日は休日だし、いつもよりずっとゆっくり起きてる」
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