かわいいかわいくないかわいい「見てください、これ、かわいい!」
レオが差し出したぬいぐるみは、イヌともネコともウサギともつかず、目は大きく、でもちょっとうつろで、虹色の毛がとにかくふわふわした何かだった。
土曜の昼下がり、レオが衣装の生地の買い出しをするというので、タイガは荷物持ちとしてついて回っている。朝からのハードな練習後、カツ丼が身体に染み、すっかり昼寝をする気分になっていたタイガだったが、なぜか今は2kg×7人分=14kg、概ね米袋に相当する重さの紙袋を下げていた。服なんてものは、着てしまえば重さを感じないのに、なぜ布っきれがこんなに手のひらに食い込むのか。レオがいう「フクシザイ」とやらが豊富な店はどこにあるのか。タイガはなにもわからぬまま、路面の雑貨店で、レオの道草に付き合わされている。どうしてこうなった。
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