メモをほじくっていたら出てきた、
https://privatter.net/p/7290864 の設定でなんか始まりそうな風を出そうとした何かを書いていたらしいが
展開も落ちも思いつかなかったやつ
今日は新しい話がいくつか得られた。羽が生えたライオンの話、魚が降る町の話、機械人形の話。雪山に潜む怪物の話。
嘴の伸びる赤い人影は、崖上の建物を目指す。
夕方になり、海風の勢いが増す。激しい風に吹き飛ばされそうになりながらも、杖をついて人影は進んだ。
「おや、」
人影は独り言を呟いた。玄関に辿り着くと、白い細長い紙がいくつも散らばっていた。
人影はそれを拾い上げ、訝しむ。このような大きさの紙は、ここでは使っていない。本がばらけてしまった訳ではなさそうだが、これは一体。
びゅうと風が吹きこみ、散らばった紙片が巻き上げられる。人影は風が来た方を振り返ると、落ちた紙片よりもひと回り大きい紙が浮いているのが見えた。風をものともせず静止している。紙には、緑色の目玉があった。
「この紙束はお前のものか?」
人影は問いかけるも、目玉付きの紙は何も語らない。止まったままでいるそれの裏側がどうなっているか、見てみようと回りこむと垂直に高度を上げ、そして消えてしまった。
「奇妙なこともあるものだ。」
「あんたがそれを言うのか?」
再び風が舞い上がったかと思うと、手元にあったそれも合わせて紙片が集まり、人型を形成し始めた。
白い紙は鳥の羽でできた外套のように集まって胴を作り、顔には赤い仮面ができた。粘土細工のように荒い質感をしたそれも、紙が張りついてできている様子だった。
「やっと見つけた。海を越えるのは一苦労だった。潮風がまとわりつくのは、心地悪い。」
人らしい形になった仮面はそう言った。
「見つけた?というと?」
人影は問いかけた。自分を探しに来るような存在は身に覚えがない。
「あんたも、紙でできているんだろ。同族だ。あんたを探していたんだ。」