今日という一日を 道端。店内。街の色んな場所で、睦まじい男女に目が留まる。笑顔で語らい、軽いスキンシップをする。
振り向いてまで見ていることに、ソフィアはいつもあとから気づく。羨ましい、と思うこの気持ちが、求める行き場は分かっているのに。
「ごちそうさま。……美味しかった」
「そうか」
カフェを出て一言目にそう言ったソフィアに、ジェイドは簡素な返事と首肯を返した。
紅茶とレアチーズケーキのセットだけのつもりが、なぜかパウンドケーキにアフォガートまでご馳走になっていた。
もちろん初めから全部を頼んだわけではない。彼女が食べ終わるたびに、他にはいらないのかとジェイドが何度も言うせいだ。
そのくせ自分は最初にホットコーヒーを頼んだきりで、しまいには席を外した隙に会計が終わっている有様。ここまでくると憎たらしい。
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