未来予知伊地知さんと二人の小さな術師たち出会い、もしくは五条悟12歳の春
「五条悟様。あなたが一番欲しいものを差し上げます。」
眩いばかりの『記憶』だった。沢山の誰かの視界に映る映像を繋ぎ合わせた、まるで神の視点から見る一つの[[rb:人生>モノガタリ]]。
「なに、今の。」
「あなたの未来にある、一つの可能性です。」
自分よりもはるかに背の高い男が、畳に額を擦り付ける。低く垂れた首。
「私の術式は[[rb:未来予知>・・・・]]。戦闘にはまるで役に立たない、守るべき家族も危険に晒すどうしようも無い相伝です。
前任者が死んだのでしょう。この歳になって、身に余る代物を手に入れてしまいました。」
男は依然として顔を上げない。俺を仰ぎ見ることも無く、ただ額を床に擦り付けている。全く情けない大人の姿だ。
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