『その夜にー寂銃ー』 その瞬間。
貴方はその穏やかな瞳で、ただ前を見据えていた。
2thDRB決勝が終わり、中王区に急遽招集されたリーダーミーティングに向かう左馬刻を見送って、銃兎は煙草に火をつけた。
会場を共に出てきた理鶯には先に宿舎となるホテルに帰ってもらった。
自分が誰を待つのか分かっているのだろう。何も聞かず頷いてくれた理鶯に今更ながら気恥ずかしさがこみ上げる。
別に、待つ必要などなかった。何を約束をしている訳でもなし。ミーティングがどれだけかかるのかも、彼がそのまま出てくるのかすら銃兎は知らないのだから。
陽が落ちて冷たさを増す風に揺れる紫煙を、見るとはなしに目で追いかける。
それでも、このまま帰りたくなかった。
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