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    mio_free1357

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    mio_free1357

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    零英です!
    えいちくんのお誕生日記念に♪
    甘々なのも描きたいしギスギスなのも描きたいですね。零英書いたの初めてなのでご容赦ください笑

    素直になれないのはお互い様※付き合ってる前提の零英です
    ※ギスギスしてるけど相思相愛です、多分。

    「ねぇ、朔間くん。僕に何か言うことはないかな?」
    そう言ってニコリと可愛らしい笑顔で笑って我輩を見てくる天使。天祥院くんは沢山の紙袋を持って部屋のソファーに座る我輩の前に立つ。
    その姿は柄にも無く浮かれているようで、いつもの含みのある顔ではなく年相応の様な気がした。

    今日は天祥院くんの誕生日。日々樹くんや白鳥くんが張り切って誕生日会の準備をしていて、我輩も手伝わされたのじゃった。
    柄にもなく誕生日プレゼントまで用意して、待ちわびた日だ。
    「何か…とは何かの〜。ハッキリ言ってくれぬと分からぬぞい?天祥院くんや?」
    「……今日は一月十日だよ」
    「さて?知らぬの〜」
    「君が知らないなんて。ついにボケちゃったの?」
    「ボケてはおらぬぞい。それにお主こそボケておるのでは無いのかえ?我輩も神様ではないからのぉ…言われぬと分からぬぞい」
    天祥院くんの顔をじっと見るとはぁとあからさまにため息をつく。
    心做しか残念そうで、こやつのこの顔はずるく、可愛らしい。
    「大ボケのご老人には分からなかったかな?まあいいよ。僕はまた部屋を出るから、留守番よろしくね。朔間くん」
    「おお、任せておれ。行ってらっしゃい」
    天祥院くんはそう言ったあと自身のベッド横に貰ったであろうプレゼントを優しく置いて、部屋を出ていった。
    ばたんと扉の閉まった音がして、一人きりの空間になった。

    「素直に誕生日だからお祝いしてほしい、ぐらい言えば良いのに。本当に難儀な子じゃの」


    --


    「天祥院先輩!俺がプレゼント持ちますから!」
    「ふふ、ありがとうね白鳥くん。でも大丈夫だよ。これは僕が自分で持ちたいんだ」
    「それはそうなんですけど……持ちきれなくて、落としてしまいそうで…」
    「あはは、ありがとう。でも大切な物だから。僕が自分でね」

    扉越しに寮室メンバーの声が聞こえる。
    やはり、心無しか天祥院くんの声は弾んでいて嬉しそうだ。
    部屋の扉が開く音が聞こえて、2人にお帰りと声を掛ける。
    「朔間先輩!ただいま戻りました!」
    「朔間くん。まだ起きていたんだね」
    「おかえり、白鳥くん。天祥院くんはただいまぐらい言えぬのかえ…」
    「君なんて知らないよ」
    天祥院くんは我輩の方を見ず向こうを向いてそう答えた。その傍でうろうろと慌てる白鳥くん。
    「後輩を困らせるのはやめた方が良いと思うのじゃが…」
    「ひえ…だっ大丈夫ですから!あ、あのっ!今日はお誕生日ですから!天祥院先輩何かお出ししましょうか?」
    「ふふっ…白鳥くんは優しいね♪そこにいるご老人とは大違い」
    我輩のさっきまで座っていたソファーに天祥院くんはちょこんっと座って我輩を睨んだ。
    「ふむ……完全に拗ねておるの〜…」
    「拗ねてないよ」
    ぷいっとそっぽを向いて素っ気なく答える天祥院くん
    「朔間せんぱぁい〜…」
    我輩をうるうるとした瞳で見つめる白鳥くん。
    困ったように我輩を見つめる白鳥くんに申し訳なくなりながら彼の頭をぽんぽんと撫でる。そんな我輩を見て余計に目元をきつくした天祥院くんに思わず笑みがこぼれそうになった。
    本当に可愛い子じゃ。素直になれない可愛い子。

    「天祥院くんは本当に素直じゃないのう…」
    「素直じゃないって、君だって僕の事ど…」
    「天祥院くん」
    天祥院くんが話し切る前に座っていた天祥院くんの手を掴んで歩き出す。そしてそのままドアまで向かう。
    「ちょっと、朔間くん!離して…!」
    「騒ぐで無い。少しは大人しくならんのかの」
    「大人しくって君が勝手に……」
    「いいから、来るが良い。見せたいものがあるんじゃよ」

    それじゃあ白鳥くんや、行ってくるぞい♪
    はぁい!楽しんできてくださいね!

    -

    「ちょっと朔間くん!何処に行くの?!」
    朔間くんは何も答えずに、ずんずんと僕の腕を握って前を歩いていく。
    僕の顔を少しも見ずに真っ直ぐ玄関に向かっていた。
    「ちょっとまって?もしかして外に出るつもり?」
    このままだと風邪をひいちゃう。せめて上着は着ないと…
    「大丈夫じゃよ。ほれこれ。我輩のじゃが暖かいからの。お主に風邪をひかれては困る。
    お主を大切に思ってくれている子を我輩のせいで悲しませたくはないからの〜」
    朔間くんは、朔間くんが普段使っている黒のコートを僕に手渡して着るように催促してくる。
    僕が大人しくコートを着るとふわっと笑って僕の首元にマフラーを巻いてくれた。
    「……暖かい…」
    首に巻かれたマフラーをギュッと握っていたら、朔間くんもいつの間にか上着を着ていて、手を握って僕を連れ出した。
    「こんな時間に外出なんて…」
    「こんな時間にしかお主を独占できぬからの…昼間はみんなの天祥院英智じゃし。皆に祝われて楽しかったかえ?」
    「うん……楽しかったし、嬉しかったよ。僕が…こんな…」
    僕が朔間くんの方をみて答えると、彼もとびきり嬉しそうに笑って
    「我輩は…お主が幸せそうなのが嬉しいのじゃよ。夢ノ咲時代と違う、とびきりに幸せそうな天祥院くんを見ていると嬉しいのじゃ」
    月夜の光に照らされる朔間くんはとても綺麗で、深紅の目が僕を見て柔らかく細められた。
    朔間くんが僕の体をギュッと抱きしめて耳元で小さな声で話す
    「お主がこれからも幸せに生きられますように…と、せめて願わせておくれ。我輩の大切な…」

    愛しい人

    朔間くんはそう言ったあと僕の体を自分から離して、僕の頭を優しく撫でてくれた。
    その手は冷たいのに暖かくて、その熱がじんわりと僕の心に浸透していくようなそんな気がした。

    「本当は…お主を独占したかった。我輩の大切じゃもの。閉じ込めでてもお主を今日だけは独占したかった。普段は出来ぬ、特別な日の今日だからこそお主の一番を取りたかった。
    じゃが…お主のことを大切に思っておるのは我輩だけじゃない…だから昼間は皆に譲ったんじゃ」
    「昼間、僕の問いにとぼけたのって……」
    「天祥院くんあそこで我輩が祝ってしまうと皆の元に帰らなかったじゃろう?今だって口では何か言うておるが我輩についてきた。きっとお主は止めたら残ってくれた。だからかの…」
    「僕、結構悲しかったんだけどね。君が本当に僕の誕生日を忘れちゃったんじゃないのかなって。
    君に…お祝いして欲しかったから…」
    僕がそう言うと朔間くんは手をまたぎゅうっと握ってくれる
    今きっと情けない顔をしてる。上手く笑えてる気だってあまりしない。
    「昼間は意地悪してすまぬかった…なんというかの…お主のその怒った顔が可愛くてつい…」
    「は?」
    思わず朔間くんをぽかっと殴ってしまう
    「そんな理由で僕に何も言わなかったの?」
    ぽかぽかと朔間くんの体を何回も力を込めて殴ると、痛いぞい…と朔間くんが小さな声で言った。
    「ふふん。僕に意地悪するからだよ」

    二人で庭にあるベンチに座ってぼんやりと空を眺める。
    朔間くんが聞きたいと言うから、僕は今日みんなに何を言われたか、どんなものを貰ったかを話した。
    そんな僕を見て朔間くんがまた目を細めて見る。嬉しそうに幸せそうに。そんなふうに僕を愛おしそうに見るくせに…朔間くんだって大概何も言わない。僕に気持ちを隠すなって、素直に言えって言うけど君だって何も言わない。
    何も言わないのに態度が、行動がいつもそうなんだ。僕が欲しいものをくれる。
    だから言ってやろうと思った。だって君にばかりしてやられるのは僕の性にあわない。
    「朔間くんは僕に素直になれって言うけどね、君だって大概素直じゃないし、僕に対して何も言わないじゃない」
    僕が突然そう言うと目をぱちくりとさせて僕を見る。
    ああその顔だよ。マヌケな顔。君だってずっとそんな顔でいればいいんだ。顔ばっかり顰めて、他の子達と一歳しか変わらない癖に大人ぶってる馬鹿みたいな君がさ。
    そんな顔が面白くて思わず声を出して笑ってしまう
    「あははは!あははっ!ふふっ……君のそんな愉快な顔が見れるなんて!面白いね……ふふっ……」
    僕が笑い始めると朔間くんも一緒になって笑った
    「ふは……はーー笑ったぞい。天祥院くんや、お主からそんなふうに言われるなんて…よっぽどなのかもしれないのぉ」
    「天下の朔間零が何を…まあ…でもお互い様なのかもね。僕達はこうなるまでに色々ありすぎた。お互いに素直になれないのも仕方ないのかも」
    「我輩は…」
    朔間くんはそう言って、足を組み直して、言葉を続けた。

    「うむ…そうじゃの。我輩はお主の帰る場所になりたいのじゃよ。普段はお互いに別の場所で仲間が居って、別々の世界に住んでおる。きっとそれはこれからも変わらぬ。
    天祥院くんも我輩も今の居場所を大切に思っておる。もう二度と失いたくない大切な居場所。
    だからこそ、その大切を自分自身のわがままで奪う気は互いに無い」
    朔間くんは前を見ながらそう話す。
    「じゃが…そんな居場所以外にももう一つ大切な居場所があっても良いとは思わぬかえ?
    我輩はお主にとってのそれでありたい。天使のお主が羽を休めたい時に我輩の傍で休めるようなそんな居場所になりたいのじゃよ。
    グループの次で良い。じゃがfineの天祥院英智ではなく、ただの"英智"に何かあった時にお主の傍に一番に居られる権利が我輩は欲しい」
    「は……」

    空気が止まった気がした。二人だけの空間が更に広がって本当に僕と朔間くんだけの二人の空間になったような。風の音の自然の音も何もかも消えて、ただ朔間くんの話す声だけが聞こえて、朔間くんの息遣いが…手の音が…僕は…

    「そんな…プロポーズみたいな……」
    「プロポーズしとるのじゃよ」
    「そんなの…ダメだよ。だって僕は…君だけは僕を…」
    「その"我輩"がお主の傍に居たいと言っておってもか?
    お主は過去に我輩の大切な友人を傷つけて、俺自身を傷つけて、それでもなお…我輩の気持ちまで傷つける気かえ?」
    朔間くんはじっと僕の目をみる。その赤い目が何もかもを吸い取っていきそうで声が上手く出ない。
    朔間くんは僕を逃がす気なんてないんだ。僕が君を大切に思ってるのだってきっとわかってる。だからわざと僕が嫌がるように言うんだ。優しい君だから、自分が悪いって見えるようにしてくれてる。
    僕が一緒にいたいって一言言えば、きっと朔間くんは僕のそばに居てくれる。縋りたい。大好き。好き。ああでもダメだ僕は…
    声にならない声が口から出そうになる。それを必死に押えこむ。言っちゃダメだ。一緒に居たいなんて。ダメだ。
    僕が君のそれを受け取っちゃ。だって僕は誰よりも…君自身を分かってて…

    朔間くんが突然僕の方に手を伸ばしてきて目元を優しく触る。
    「ああ…すまぬ…泣かせる気はなかったんじゃ…泣かないでおくれ天祥院くんや…」
    「は…?泣くって僕は泣いてなんて……」
    「…泣いておるよ。とびきり綺麗な涙での…。本当に…お互いに素直にはなれんのじゃな…」
    ぽたっと目から伝った涙が僕の手を静かに濡らしていく。
    「…どうして…泣くつもりなんて…」
    「のう…天祥院くん。今だけでも良い。お主の気持ちを教えておくれ…。もしお主が、我輩を本当に普段言っているように"嫌"なのなら我輩は……俺はお前から離れるから…今ならまだ…」

    あきらめられるから

    朔間くんが手をぎゅうっと握りながら俯く。

    「違う……」
    また、また、僕のせいで朔間くんを傷つけてしまう。夢ノ咲の時、僕は僕の理想を叶えるために朔間くんを"五奇人"を傷つけて。僕が、彼らに血を流させて、なのにどうして?どうしてこの人は僕を責めないの?どうして自分自身のせいにしてしまうの?
    僕自身を嫌いになってくれないの…どうして…僕の為にそんなふうに何かを願うの?
    僕は君に何も返せはしない、奪うだけなのに。

    「すき…だよ。さくまくん。僕が…君にそんな風に思うなんてダメだって…思ってて、でも」

    僕が小さな声で話すのを俯いたまま朔間くんは聞いてくれる。朔間くんの手が震えてて。この人をこんな風にしてるのは僕で、僕は…

    「ぼくは、きみが…君を傷つけてばっかりの僕が…僕が君のそばに居たいだなんて…そんなこと願っちゃ…」
    話切る前に体ごとぎゅうっと抱き締められる。
    力強いに僕を傷つける力強さじゃなくて、とても暖かい力で。暖かくて優しくて。
    「やっと…やっと言ってくれた。それがお前の本心?そっかぁ…お前、俺と一緒に居たいって、好きだって思ってくれてたんだな…初めて…初めて聞いた。この関係になってから初めて。
    やっと…お前の口から好きだって…」
    朔間くんはぎゅうっとまた力を込めて僕を抱きしめる。その手は震えててああそっか僕はずっと君を。
    そんな朔間くんの体を抱きしめ返す。

    「ごめんなさい…素直になれなくて。僕、僕、君が好きだよ。だって…君と一緒に居たいって、思って…」
    「当たり前じゃよ…我輩はお主が好きじゃ。我輩がお主と共にいることを願っておる。だからお願いじゃ。これからも我輩の傍に居ておくれ…居なくならないでおくれ。どうか…共に」
    「うん…好きだよ…零。ごめんね。ありがとう…」

    朔間くんはそっと僕の体を自分の体から離して、また赤い目を優しく和らげて微笑む。
    目元が何かに濡れていて、ああこの人も泣くのかとそう思った。

    朔間くんの唇が僕の唇に優しく触れたあと、朔間くんの胸の中に収められて、頭の上から優しいテノールの声が聞こえた。

    我輩を選んでくれてありがとう。英智。

    朔間くんの胸の中から彼の方を見ると、もう一度朔間くんと触れ合っていた。
    息継ぎの間に見えた景色は、酷く綺麗で
    ずっとこの時間が続けばいいのに、そう思った。


    -


    「わぁ〜!天祥院先輩とても綺麗なイヤリングですね♪」
    「ふふふっとても綺麗だろう?」
    「はい!とっても綺麗で…お似合いです!」
    僕の耳元で光るのはひとつの赤い宝石
    彼の瞳と同じ色をした深紅の宝石

    『真実』『友愛』『繁栄』『情熱』

    『努力の成果の実り』

    『変わらない愛情』

    朔間くんと同じ色のその宝石が、血のような真っ赤な宝石が僕の耳元でキラキラと輝いて、思わず笑い声が出てしまう。ああなんて凄く…これは僕だけの感情だ。

    「どっどうしましたか?天祥院先輩?!」
    「ふふっいやね、ううん。なんでもないよ。褒めてくれてありがとう。白鳥くん」
    僕がそういうと白鳥くんはお似合いですから!と言ってくれる。

    これを渡してくれた時、朔間くんは酷く情けない顔をしていて。
    お互いに格好なんてつかないし

    お互いに素直になれないものだよね。



    零の不器用な誕生日プレゼントをしばらくの間僕の耳につけたまま過ごそうか。
    彼が選んでくれた、たった一つの僕の為の色を。
    僕も大切にしたいから。


    僕こそ…零と一緒に


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