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    かべうちのかべ

    @mahokabeuchiaka

    まほやくのかべうち。壁打ちの結果であがった物を細々と載せる。
    学パロと両片想いが好き。

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    かべうちのかべ

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    青春ハッピースプリング!開催おめでとうございます。
    秋は学園祭の時期なので、学祭の話にしました。
    CPは意識していません。(が、ブラネロとネ受けの民が書いたものです)
    フォ学が男子校と仮定してのお話です。
    参加賞につられて女装ミスコンに参加するネロの話です。
    書きたいところだけ書いてますが、妄想の足しになりましたら幸いです。

    あおはぴ終了しました!
    見てくださってありがとうございました!

    ##ブラネロ
    ##学パロ

    『学祭といえば!』 男子校の学祭といえばミスコンだ!とは、誰が言いだしたのだろうか。
     煌々と照らされるステージの上、ネロは、舞台上から客席の様子がこんなに見えるとは思わなかったなと、関係のないことを考えながらこの時間をやり過ごしていた。目の端で所属するストリートチームのメンバーが手を振ってくるのが見え、溜息をつく。
    「はやく終わってくれ……」


     ことの発端は一ヶ月ほど前、売店でバイト中に張り出されていたポスターをみかけたことだった。
    「え、一万円分!?」
    「? 何だ?」
    「ブラッド! これ! 今度の学祭の催しの参加賞!! すげぇ!!」
     そう言われ、ブラッドリーは興奮気味に話すネロの横から件のポスターを覗きこむ。
    「参加賞、食堂・売店共通利用券一万円分?」
    「そう!」
    「でもこれ、ミスコンじゃねぇか」
    「え?」
    「書いてあんだろうがここに」
     企画者の意図だろう。デカデカと主張された参加賞の下に、小さめに書かれた文字があった。
    『男子校の学祭と言えばミスコン!
    女装してミスコンに参加してみませんか?
    本学の生徒であれば誰でも参加可能です。
    貴方の新たな魅力を一緒にみつけましょう!!』
    「マジ……?」
    「女装して競うんだろ?いいじゃねぇか」
    「いや、良くねぇよ……。そんな目立つとこには……」
     苦学生のネロにとって参加賞はかなり魅力的だが、そのために女装をしてコンテストに参加するのはかなり厳しい。全校生徒の前ではないとはいえ、目立つことに代わりはない。だいたい、ネロが出るとききつければ、チームの連中も冷やかしにくるだろう。
    「俺様も出れば二万だぜ?」
    「は? 何でお前のも?」
    「ほれ、ここ」
     ブラッドリーが指し示したところを見れば、更に続きがあった。
    『更に!上位には豪華特典!!
    一位:在学中の食堂利用無料パス
    二位:一年間の食堂利用無料パス
    三位:食堂・売店共通利用券三万円分  を贈呈します!』
    「すげぇ……」
    「俺様はこっち狙うから、参加賞はてめぇにくれてやるよ」
    「いや、そんな簡単に上位なんて……」
    「上位じゃねぇよ、一位だ。何だろうと一番とることに意味があんだよ。っつーわけで、申し込むぞ」
    「え、まだやるなんて……」
    「こういうのは勢いが大事だぜ」
    「あ、おい! ブラッド!!」
     
     そこからはよく覚えていない。所属するストリートチームは総出で似合う衣装は何だとか、家族や知り合いに服や化粧品を提供できる奴はいないかとか、いろんな事を話し合っていたようで、知らない間に全てが決まっていた。正直これを着たいだとかアレをしたいだとかそんな希望はなかったから助かるのだが、ド〇キの安い衣装を買って着るだけのゲテモノ枠でいいと思っていたから想定外だ。チームメンバーの姉が二人、衣装と化粧をそれぞれ担当してくれるらしく、かなり意気込んでいると嬉しそうに報告してくれた際には顔が引きつっていたと思う。

     後悔しかない気の重い数週間が過ぎ、とうとう学園祭当日。
    朝から賑やかな校内を、憂鬱な気分で通り抜け、昼前に始まる準備の為に移動していた。参加申請した以上は嫌でも舞台へ上がった方がきっと目立たないのだ。溜息を吐きながら控え室へ入ったネロは、それから一時間近く拘束され、気合いの入った手伝いの姉二人は楽しそうに準備していく。
     ネロの感想は一言。化粧って大変だ。ということだけだ。これから化粧をバッチリしている人は尊敬することにする。できあがって鏡に映ったのは、切れ長の目に長い睫毛、濃すぎない化粧をしたそこそこな美人だった。普段眠そうと称されるような部分は欠片も見当たらなかった。
    「すげぇな……。こんなに違ぇんだ……」
     出来映えに満足そうな二人に背中を押され、スタッフに連れられて舞台へと移動する。
    「足、めちゃくちゃスースーする……」
     ネロが着ているのは青地にドラゴンの銀刺繍が綺麗なミニスカチャイナドレス。胸辺りは貧相に見えるからと肉襦袢と言うらしいものをまかれた。気やすめにかなり長めの幅広ストールを貰って腕にかけている為、何もないよりか幾分とマシだ。ヒールは履けないからと、かかとのない足首にストラップのついた落ち着いた刺繍入りチャイナ靴を準備してもらった。これら全てが手作りだというのだから、すごい技術だ。耳には大きめのイヤリングが揺れ、髪は後ろで落ちてこないようにアレンジされているらしい。写真を見せて貰ったが、どうなっているのか全く分からなかった。付き添いで着ていたチームメイトにえらく褒められ、なんだか満更でもない気もしてくるから不思議だ。

    が、それも束の間で、舞台へ上がり、自身に用意された席に座るとすぐに後悔が押し寄せてくる。
    「はやく、終わってくれ……」

    席についていく参加者達。どよめく会場。まぶしい照明。
     司会のカインと解説を担当しているらしいクロエの声が聞こえる。
    「さて、いよいよお待ちかねの女装ミスコンテストの始まりだ!司会は元アイドル校のカインが担当することになった。みんな、よろしくな!」
    「解説は元アイドル校のクロエが担当するよ。普段は衣装の製作やデザインをしているから、わかりやすく伝えられるといいな」
     会場からは歓声や拍手が聞こえてくる。一体何人入っているのか、空席はあまり見当たらなかった。
    「じゃぁ早速、参加者の紹介をしていこうか。名前を呼ばれたら立ってステージの真ん中まで出てきてくれ!」
     カインが元気よく進めていく。いよいよ始まってしまうのだ。

    「エントリーナンバー1。元進学校より、アーサー。参加理由は、合併して初めての学園際、賑わいの一つになれれば。とのことだ」
     座っていた椅子から立ち上がり、舞台の真ん中へと歩いて行く。
    「お嬢様を彷彿とさせる紺色のフレアワンピースだね。ストレートのウィッグにシンプルなカチューシャと白のフリル靴下と黒のメリージェーンの靴が更に清楚感をプラスしていてとても似合っているよ。彼のイメージともピッタリだ!」
    「うん。かわいらしい印象だな!」
     お嬢様らしくスカートの端を両手で少し持ち上げてお辞儀をして戻っていく。

    「エントリーナンバー2。元不良校より、ミスラだ。参加理由は、俺に似合わない服はないんで。だそうだ。自信を持つのは一番大切なことだからな」
     普段からモデルをしている彼はウォーキングも慣れたものなのだろう。スッと立ち上がり、思わず目線がそちらへ向いてしまう程綺麗に歩き出した。
    「モデルもしてるから背の高さを生かしたコーデだね。全体的に黒でまとめているのに、フリルシャツとリボンタイは柔らかめの素材で、ロングスカートは硬めの素材なところがセンスがあるよ。大きなツバの三角帽が全体のバランスをきっちりとっているね」
    「魔女のイメージっぽいな!」
     舞台上を端まで歩くと、真ん中で一度ポーズを決め、そのままお辞儀もせずに自分の席まで戻っていく。まさにモデルのようだった。

    「エントリーナンバー3。元アイドル校より……、えっと、レモンパイラバーズで登録でいいのか?」
    「あぁ、俺達は二人で一つだからな」
     カインの問いかけにもちろんだと強く答えたシノは、少し恥ずかしそうなヒースを促して舞台の真ん中へ出る。
    「では改めて、レモンパイラバーズのシノとヒースクリフだ。参加理由は、CDのプロモーション。それから、ヒースは女装しても綺麗だから。だそうだ」
    「うんうん。そうだね!服は僕がデザインさせて貰ったんだけど、エプロンドレスをベースにしたフリル多めの衣装だよ。レモン柄の映える水色のギンガムチェックの生地にしたんだ。袖口もパフスリーブにして、手首にフリルのカフスを合わせたよ。髪飾りも同じ生地とレースを使って作ったんだ」
    「まさにアイドル!って感じだな!」
     客席にちらほらと居るレモラバのファンに向けて手を振ったり投げキッスをすれば歓声が上がる。一通りファンサをすると席まで戻ってくる。

    「エントリーナンバー4。元不良校より、ブラッドリー。参加理由は、一番をとるため。優勝を狙ってるってことだな!」
     組んでいた足をといて、静かに立ち上がる。喋らなければキツめの美人に見えてくるから不思議だ。
    「普段は恐そうなイメージだけど、化粧すると目の大きさが際立つね。少し濃いめなのにしっかりと顔に合ってるのがすごい! オーバーサイズのパーカーから肩が見えてる感じとか、ホットパンツから伸びた足の細さを強調するゴツめのスニーカーがいいね」
    「強い女!って感じがするな!」
     舞台の真ん中でニヤリと笑えば、うちのチームメンバーが沸き立つ。それを軽く制して、席へと戻っていく。

    「エントリーナンバー5。元進学校より、リケ。参加理由は、食堂のごはんをお腹いっぱい食べてみたいから。だそうだ。かわいいな」
     静かにスッと立つと、胸の前で手を組んだまま進み出る。
    「リケは化粧していないのにとても綺麗だね。シスター服は協会で借りてきたって聞いたけど、本物だからこそとても厳かな印象を受けるよ。普段は見えている金色の髪がしまわれているのもまたいいね」
    「欲と無縁そうなのに参加理由が食欲なのもギャップって感じがしていいな!」
     静かに祈りを捧げるように目を閉じ、お辞儀をして戻ってくる。

    「エントリーナンバー6。元不良校より、ネロ。参加理由は、参加賞がよかったから。だそうだ。ははッ、ネロらしいな」
     呼ばれて、意を決して立ち上がった。舞台の真ん中のスポットライトの下へいくと、最前列の客の顔までも見えてくる。
    「線の細さが綺麗にでているチャイナドレスだね。青地に銀刺繍がよく似合っているよ。ストールでシルエットのボリュームも出て上品さもプラスされている。チャイナ靴もストラップ付きで足下までよくコーディネートされてるよ」
    「大人っぽい感じがするな!」
     早く終われと念じながら、ぎこちなく客席へと手を振り、席へと戻る。
     ひとまず一つめの難関はクリアした。

    「エントリーナンバー7。元アイドル校より、ルチルだ。参加理由は、面白そうだから、だそうだ。いいな!」
    「はい」
    大きく返事をすると、笑顔で元気に進んで行く。
    「学生の王道、女子制服だね!ジャケットとシャツは芸能校のものみたいだけど、深緑のプリーツスカートがチェックとよく合っているね。本当に女子の制服みたいだ。ナチュラルメイクにジャケットから少しだけ出ている長めのカーディガンとルーズソックスも今の流行だね」
    「流行まで抑えるなんて流石だな!」
     舞台の真ん中でしばらく何パターンかポーズを決め、大きくお辞儀をして戻っていく。

    「次が最後だ!エントリーナンバー8。元不良校より、オーエンだ。参加するなんてびっくりだな」
    「何か文句があるの?」
     ムッとした声でカインをにらんだ後、静かに立って舞台の真ん中へと進んで行く。
    「いや、そんなことは言ってないって。参加理由は、食堂で甘い物をお腹がはち切れる程食べて良いってきいたから、か。なるほど、それは納得だな」
    「オーエンもとても素敵!学帽と手袋、片耳ピアスはそのままで、紺色に白ラインのセーラー服!ロングのプリーツスカートがスケバンをイメージさせるね。素材そのままでここまで綺麗だなんて、うらやましいよ」
    「普段とそんなに変わらないイメージだな!」
     明らかにやる気なく、説明も終わらないうちに席に戻ってくるが、それが逆にスケバン感を増していた。

    「以上、8名だ。想像以上に皆可愛いくなってるな」
    「そうだね。皆一番じゃだめかな?」
    「そうしたいところだが、豪華賞品は全員にはやれないからな。というわけで、みんなの投票で順位が決まるから、しっかり考えて選んでくれよな!」
     
     その後は、アピールポイントだとか客席からの質問だとかくじを引いてその台詞を言うだとか、必要があるのかないのか分からないコーナーをやり過ごした。ごく一部が、真面目にやっていたかと思えば突然拒否したり、喧嘩に発展しそうになったりと色々あったが、波乱のミスコンはようやく幕を閉じた。
    結果はもちろん上位にはかすりもしなかったけれど、ネロとしては参加賞が貰えれば十分だ。それでも、もう二度と参加賞にはつられまいと密かに決意した日でもあった。







    (あとがきという名の懺悔とただの妄想)
     男子校はミスコンするもんだと思っています。フォ学は女子生徒いるのかわからなかったので、いっそのこと男子校にしようと思った結果の産物です。一度しかミスコンみたことないので、よく分かりませんが、雰囲気が伝わればいいなと思います。ネロ君には申し訳ないことをした……。でもミニスカチャイナを着て欲しかったんです。その他のキャラも皆それぞれ何が似合うかなぁ?って考えながら書きましたが、何でも似合う気がしませんか?ボスをスケバンにするつもりで、オエちゃんにゴスロリ着てもらおうかと思ったんですけど、オエちゃんが学帽と手袋を外したくない気がしてオエちゃんをスケバンにしました。アサくんとオエちゃんとミミちゃんは謎の双子が衣装準備してくれてます。そして「色々あった」で全てぶっ飛ばしてしまいましたが、私が書いていて楽しいところだけ書きました。その他は想像して欲しいです。ネロくんにとっての地獄が展開されているんだろうと思います。その後しばらく男性ファンがそれぞれについて学祭のミスコンの写真出回っていて欲しいです。私が欲しいので良いカメラでとった写真ください。レモラバの新曲も欲しいです。こんな妄想しかない文を読んでいただきましてありがとうございました。少しでも楽しんでいただけていたなら嬉しいです。

    2021.10.31 かべ
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    かべうちのかべ

    MENU『冬から春へ』
    の書き下ろし2作の冒頭部分抜粋しました。( )内の計は全文の長さ。サンプルはその三分の一くらい。

    『お気に入りは』←オエちゃんとネの出会いと、その数ヶ月後。(計3200字くらい)
    『宴の夜に』←ブ様とおシャイがお話するところ。(計1600字くらい)
    頒布先→ https://mahokabeuchiaka.booth.pm/items/3914349(BOOTH店舗)
    『冬から春へ』書き下ろし文サンプル『お気に入りは』

     ブラッドリーの城の近くの森で動物たちから面白い噂を聞いた。
    『俺たちの言葉がわかるやつがいる』
    『ちょっと聞かないなまりのあることばを話す』
    『近くにいると穏やかな気持ちになる』
    『食べたことのないような、甘くておいしいものをくれる』 等々。
     
     最近何もなくて退屈だし、オーエン以外で動物と話せる存在はそう多くない。それになにより、『甘くておいしいもの』が気になった。オーエンは甘いものに目がないのだ。
     巻き起こる吹雪の中を歩いているとは思えないほどに悠々と進み、しばらく行けば視界が開ける。ブラッドリーの治める領域の中へとたどり着いたのだ。今は昼前で太陽が真上に上り、先ほどとは打って変ってかなりの晴天になっている。そのおかげか、遠くの街の煙突の煙まできれいに見えているが、そちらには目もくれず、その北側へと広がる森へと歩を進めた。
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    かべうちのかべ

    DONE再掲
    ・初めて激オコしたネ君と何が悪かったか分かってないブの話

    第1回ブラネロ冬春ワンドロライ、4回目のお題:喧嘩 より。
    2021.8.30にTwitter掲載済。
    『らしくない』「……」
    「ネロ?なんだそんな恐い顔して」
    「これ……、どうした?」
    「お、それな。美味かったぜ!」
    「……食ったのか?」
    「おう」
    「昨日、これだけは食うなって、言っといたよな?」
    「そう……だったか?まぁ、でもこんな美味そうなもん我慢できねぇし、また作ればいいだろ?」
     悪びれもせずにそう言って笑うブラッドリーとは反対に、ネロは感情を落としたように無表情だ。何度か耐えるように呼吸を繰り返していたが、どうにも収まらない怒りがあふれ出す。
    唇をかみしめ、顔をゆがめてブラッドリーをにらみつけるとキッチンから荒々しく駆けだした。感情にまかせた言葉を吐き捨てて。
    「てめぇは……野菜でも食ってろ!」
    「は? おい、ネロ!」

     涙こそ出てはいないが、明らかに傷ついた表情で去って行ったネロに困惑するブラッドリーは、何がなんだかさっぱりと分かっていなかった。そのまま呆然と扉を見つめ考え込むが、何度思い返してみてもいつものつまみ食いとなにも変わらない行動だったと思う。
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