Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    Takumi

    @sun_stone_fe

    💍フォガパン パン受 アルディア ディア受
    FE3H ディミクロ

    ついったーは独りで壁打ち中。
    pixiv使っていません。
    作品の投稿はポイピクだけです。
    (過去のディミクロは再加筆してべったーからお引越し予定)

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 11

    Takumi

    ☆quiet follow

    現パロ フォガパン。
    社畜なパンドロは生まれて初めて恋人(フォガート)とのクリスマスイブを過ごす事になったのだが……。

    ⚠️エロなし
    ⚠️モブ女子とパンドロの会話あり(エロではありません)

    #フォガパン
    #フォガート
    #パンドロ
    mandoro

    奇跡が間に合った日 クリスマスイブ前日。
     パンドロは不満を口にしながら帰宅し、恋人のフォガートからスマホに届いたメッセージを読み返す。ため息を吐いてソファーにスマホを放り投げるとチューハイの缶を手にした。

    『飛行機が大雪で飛ばず必死に代替便の手配をしているけれど、いつ帰れるかはまだ分からないんだ……』

     フォガートからの切実なメッセージにパンドロの胸がキュッと締め付けられる。
     1週間前の朝、出張で隣国イルシオンへ向かったフォガート。クリスマスイブ前日に帰国する予定だったが、突然の大雪によって帰りの飛行機が欠航になってしまったのだ。

    「大雪で飛行機が飛ばないとかマジかよ、ありえねー」

     その言葉も一体何度口にしたことか。酒が入っているのもあり、どんどん不幸全開モードになってゆくパンドロ。恋人フォガートがいない今、パンドロは酒の力を借りて愚痴大会を開催することにした。

    「俺のどこがいいのかね。お人よしなところ? それくらいしかいいところねーか」

     フォガートとは奇跡のような出会いだった。店の裏口から飛び出してきたパンドロをフォガートが偶然受け止め、一目惚れしたのがきっかけ。パンドロにすっかり惚れこんだフォガートの情熱的なアプローチと優しい態度に絆され、付き合うことを決めたのだ。
     ちなみにパンドロが住んでいる街では同性とのパートナーシップが許容されている。

    「俺なんかよりもっといい奴がいるだろ。あいつくらいハイスペックなら男でも女でも引く手あまただろうに」

     嘆いている最中、スマホからメッセージを受信する音が鳴った。見るとフォガートからだ。『お酒飲み過ぎたらダメだよ』と笑いながらハートマークの絵文字で飾った可愛いメッセージが目に入ってきた。

    「もう飲んでるっての」

     パンドロは悪態を吐き、酒の缶をぐいっと飲み干した。

    「あいつ、俺に夢中すぎるだろ……。俺なんかのどこがいいんだ?」

     頭がずば抜けていいわけでもないし、勤め先だって年中無休のブラックなサービス業だ。容姿だって人並みだという自覚がある。パンドロはこれ以上ない平凡男子だった。だが、それでもフォガートのラブコールは変わっていない。

    「俺、このまま愛されていい奴じゃないよな」

     最近になってパンドロは自身がプレッシャーに感じる時がある。いつかフォガートの気持ちが変わるのではという不安だ。平凡な自分よりもっと相応しい人間が現れるのではないかと思ってしまう。
     フォガートは年下だけど恋人であるパンドロを一途に愛してくれている。しかし、愛を求められるたびに心苦しくなるパンドロ。彼が子供のようにはしゃぐ笑顔を見ると息苦しくなり、はにかむように微笑む彼の顔を見るたび辛い気持ちになってしまうのだ。

    「はぁ、イブに会えないの、マジでつれぇ。必死に仕事終わらせて根回しして超忙しいクリスマスイブに休みもぎ取ったのに」

     ぐびり、とチューハイを喉に流しこみ、暗い気持ちのままソファーの上に倒れこむパンドロ。そのまま目をつぶり、眠りの世界に堕ちていった。





     翌朝、クリスマスイブ当日。
     テーブルの上には空になったチューハイの缶が3本ほど散乱していた。どうやら愚痴を吐きだしながら酔いつぶれて寝てしまったらしい。
     ソファーの上で朝を迎えたパンドロ。上体を起こし、ぐぐぐっと背伸びをすると冷たいテーブルに置いてあったスマホが目に入った。すると、そのメッセージに目がとまった。

    『おはよう。まだ飛行機の出発の目途が付かないんだ。いつ帰れるかも分からない……クリスマスを一緒に過ごせないダメな恋人でごめん。ソルムへ戻ったらすぐ逢いに行くよ。愛してる』

     メッセージと共に画像が送られてきている。そこには大勢の人で混み合った空港内、膝を抱えたフォガートの自撮り姿が。そしてパンドロに気が付かせたいのかチラッとパンドロの返信を促すようなスマホ目線も送っている。
     パンドロは眠気眼を擦りつつそのメッセージをじっと見つめていると、映し出されたフォガートが徐々に霞がかってきた。ぼやけて、そして見えなくなった。スマホの画像もぐしゃりと歪む。パンドロの視界が水浸しになってきたのだ。

    「こんのアホ! こんな情けない自撮り送るならもっと笑顔で送りやがれ……んだよ、クリスマス一緒に過ごせないダメな恋人って……なに言ってんだこいつ」

     自分の頬を伝う水滴を拭うこともせずパンドロは思ったまま言葉を漏らした。
     ぐしっ、と腕で無造作に拭っても溢れて止まらない涙。やっと心に引っかかったモヤモヤが晴れ始めてきた。フォガートの湿っぽいメッセージで気持ちに気づかされたのだ。

    「こんな時だけ年下モード全開にするんじゃねーよ、バーーーカ!」

     歯痒さに顔をくしゃくしゃにし、零れ落ちる涙を拭い取る。アルコールの所為なのか寒さの所為なのか身体はブルブル震えてしまっているが、心と頬を伝う温かさは感じていた。
     パンドロが目尻を擦っていると再びスマホが震動した。今度は電話がかかってきているようだ。鳴り響く画面に映し出された送信者はもちろんフォガートだった。パンドロは慌てて電話に出た。

    「おはようパンドロ。ごめんね、寝てた? どうしても声が聞きたくっ……て……」
    「フォガートが帰って来られないなら、休み取っていたけれど会社に行ってくる!!」

     スマホを耳にあてて開口一番、パンドロはフォガートの言葉を遮り叫んだ。

    「俺は仕事してくるからな!! 焦らず気をつけて帰って来い」
    「え!? ちょ、ま、パンドロ!?」

     一方的に言いたいことを言い、ぶちっと電話をきってしまったパンドロ。勢いのまま通話を終了させ、はぁはぁと息を切らした。
     スマホの画像フォルダを開くとフォガートが送ってくれた画像が表示されている。その画像を胸に押し当てながらスマホ画面に声を掛ける。

    「俺だって、お前のこと好きだよ。……素直じゃなくてゴメン」

     パンドロはそう呟くと、そのままスマホをギュッと握り、会社へ向かうべく身支度をするためリビングを離れた。





    「あーあ! 一緒にクリスマスデートする予定だったのになー」
    「パンちゃん、それ何度目?」

     休みのはずなのに出勤してきて何度も同じことをぼやくパンドロにショートタイム勤務のお姉様達から野次が飛ぶ。
     昨夜突然入った飛行機が飛ばないというフォガートからの連絡で今日の予定が全て崩れてしまったのである。パンドロのテンションが上がらないのも無理はない。

    「うるせー。生まれて初めて恋人とのクリスマスだったんだぞ? 最高に甘い夜を考えていたんだぞ! あいつと一緒にクリスマスディナー食べたかったし、イチャイチャしながらクリスマスを迎えたかったんだからな!」
    「嘘ぉ! パンドロくん今までクリスマスに恋人いなかったの~!?」
    「まぁな」
    「……信じらんない!! こんなに格好良くて素敵なのに」

     信じられないわ、と周囲のお姉様達は驚きの声を上げる。しかし、逆にパンドロが信じられない気持ちになる。周囲からは顔が良いとかスタイルが良いと言われるのだが全くピンとこないのだ。
     真面目だけが取り柄だと自負しているパンドロは今まで仕事もプライベートも一生懸命に頑張ってきた。そんなパンドロを好いてくれる女性も中にはいたけれど、仕事を優先し過ぎてフラれた経験だって少なくない。パンドロも仕事に夢中で気付いたらクリスマスが終わっていたことも何度かあり、すっかりイベントや色恋沙汰とは無縁な日々を送っていたのだ。

     だが、それが一変。フォガートとの出会いで人生が変わるほどに転機を迎えた。今は彼無しでは生きていけないくらい、フォガートに惚れ込んでいるパンドロ。しかし、思いがけぬトラブルによりクリスマスデートが消えて意気消沈状態なのである。

    「パンドロくんが家で出迎えるだけで、疲れて帰宅する彼氏にとって最高のクリスマスよ~!」
    「そうそう! 一緒に美味しいもの食べて、一緒にケーキ食べて、一緒に寝るだけで十分じゃない!」

     一緒に寝る、という言葉にパンドロの顔が真っ赤になり照れている。そんなパンドロをお姉様2人組がからかうように笑うのだった。

    「やぁね! パンちゃんってば純情! お疲れな彼氏のためにクリスマス仕様でご奉仕してあげればいいのよ!」
    「年下彼氏なんでしょ? ならこうグッと色気を上げて彼氏をムラっとさせるの!」

     2人からのアドバイスを受け、パンドロが覗いた画面の中には真っ赤なミニ丈のランジェリーを纏っている艶かしい女性の姿。そのランジェリーから零れんばかりのたわわな胸の谷間が露わにされている。そして、挑発的な眼差しでこちらを見つめているパンスト越しの足を組んでいる姿があったのだ。

    「うわ。エロ……」
    「ちょっとー。何見てるのよー? えっちー!」

     釘付けになっていると、すかさず同僚にパソコン画面を覗きこまれた。

    「うーん……いや、これはこれでなかなか捨てがたいんだけどなぁ」
    「彼好みの下着を想像してたってこと? パンちゃんなら細身だし、女性用のトールサイズ着られるわよぉ」
    「…………俺、男だけど?」

     お姉様達が顔を見合わせニヤニヤしている。この流れはもしかして、と思いパンドロは引き気味の抵抗を見せる。

    「ちょっと待ってくれ、俺にそんなランジェリーを履けってのか?」
    「パンちゃんの長い美脚が映えるわ」
    「ケツが丸見えじゃないか? 下半身モロ見せだぞ??」
    「いいのぉ~! 彼氏の目を楽しませるためのランジェリーなんだから!」

     クネクネと妖艶に身振り手振りで話すお姉様達。どうやらパンドロが言葉数少なくなりさらに真っ赤になったのをからかっているようだ。

    「俺の話はもういいだろう! いいから仕事しろって。終わらないと俺が帰れないだろ」

     パンドロはお姉様達を威嚇し自分の仕事に戻る。仕事しながら駅前の何でも置いている巨大雑貨店にありとあらゆるコスプレの衣類、果てはランジェリーまで売られているのを思い出していた。フォガートがクリスマス仕様になったパンドロをどう愛でてくるのか見てみたいと考えたのだった。






     仕事が一区切りした頃には20時を過ぎていた。仕事が忙しくてそれどころでなかったパンドロは、昼過ぎにフォガートからメッセージが届いているのに全く気が付かなかった。

    『休日出勤お疲れ様! 最寄りの空港着じゃないけど飛行機のチケット取れたんだ。イブには間に合わないだろうけれど待っていて』

     画像も送られている。朝とは打って変わってパリッとしたスーツ姿で、笑顔のフォガートが飛行機の搭乗ゲートに立っていた。

    『早くパンドロに逢いたいな』

     メッセージを見つめ帰り支度を着々と進める。フォガートが昼過ぎに飛行機へ乗り込んだのなら、もしかしたらイブ終了の前に帰宅が間に合うと考えたのである。パンドロは残りの仕事を上司にお願いして会社を出ることにした。

    「……フォガート喜んでくれるかな……」

     1人呟くパンドロは駅前の巨大雑貨店でクリスマス仕様のセクシーコスプレを手に取り購入する。何でも置いている雑貨店のお陰で見事にR18用のコスプレランジェリー購入が出来てしまった。
     自分の仕事鞄の中へ丁寧に畳まれたそれをしまい、その足で友人がパティシエをしている洋菓子店へケーキを引き取りに。閉店間際に滑り込み駆け込むとフォガートと2人で選んで予約したケーキを購入。
     そのまま脇目も振らず真っ直ぐ家に帰る途中、スマホにメッセージが届いた。

    『もうすぐ帰るよ! イブに間に合いそうで良かった』

     続けて画像が届く。そこには髪の毛が乱れ、コートを着崩しているフォガートが見慣れた街並みと共に写し出されていた。出張に出掛ける時よりも荷物が多くフォガートの疲労も限界に近いのが伝わってくる。

    「……俺に逢うため、こんな必死になって……」

     嬉しくて愛しくて、思わずスマホの画面を指で撫で、早く会いたいと呟いていたのだった。





    「ただいまー!! ……って、誰もいないか……」

     玄関先でパンドロは一人苦笑いをした。フォガートと2人で住むマンションに到着したのだ。リビングは暗いままでフォガートはまだ戻って来ていないようだ。
     一息ついた後、パンドロはシャワーを浴びて買ってきたばかりの真っ赤なランジェリーを身に着ける。普段は色気等から掛け離れた生活をしているだけに彼の心を動揺させる。胸の辺りがシースルーで透明になっていてパンドロの淡い桜色の可愛い乳首が見えてしまっていた。網タイツとセットのようで、ある意味全裸より恥ずかしい格好と言えるのではないだろうか。

    「やば……やっぱり超恥ずかしいんだけど」

     初めての経験に戸惑いを感じながらも鏡に映る自分の姿は艶のある色気を放っている。まるで自分が女性であるような錯覚を感じてしまう程だ。
     後で驚かせるために上から部屋着を着込む。テーブルに買ってきたケーキを置いていると玄関の外から車の止まる音が聞こえてきた。耳を澄ませるといつもより騒がしそうな音がする。ようやくのご帰宅のようだ。
     出迎えるべく玄関の扉を開けると、そこには出張帰りで疲れた表情のフォガートが立っていた。

    「ただいま、パンドロ!! 会いたかった」

     大好きな恋人の顔を見た時思わず安堵してホッと心を癒したようだった。余程疲れていたのだろう、子供のように満面の笑みを浮かべてハグしてくるフォガートは重そうな荷物を玄関先に放置しいきなりパンドロをギュッと抱きしめてきたのだ。

    「お前……身体冷えてるって」

     フォガートの身体は外気で冷えてしまっているようだ。パンドロの優しい労りと再会が嬉しかったのか、一旦上半身を離し頬に額にとキスの雨を降らせるフォガート。そして、唇に到達するなり流れを閉じ込めるようにしてパンドロの口を塞いだのだ。
     突然の濃厚過ぎるキスに一瞬パンドロは驚いて目を大きく見開きパチパチとさせたが、これが一週間ぶりのキスという事実を思い出しゆっくりと瞳を閉じる。少し震える手でフォガートを引き寄せ応えた。チュッチュとフォガートの唇を求めて触れ合う音で部屋の中がいっぱいになる。
    激しい口付けを暫し楽しみ唇が離れる頃、フォガートの瞳にまだ心残りだという光が灯されているように見えた。

    「もっとしたいか?」
    「……うん……」

     焦らすのも可哀想だと思ったパンドロが優しい笑みを浮かべて問いかけると、素直な返事が返ってきた。聞かれ慣れているその質問の答えだが、いつも以上に機嫌が良いらしく恥ずかしそうにしているのが良いらしい。

    「シャワー浴びてこいよ、フォガート。身体冷えてるぞ? ケーキ食べながら続き、するか?」
    「する!」

     フォガートの目がキラキラとして期待に輝いているのが分かる。子供っぽい表情に笑い、パンドロはフォガートを一度抱きしめてからバスルームへ行くよう背中を押してやる。

     
    「これでフォガートの前に出たら、あいつどんな顔するかな……」

     素直に頷いてパンと頬を叩きバスルームへ向かうフォガートの背中を見送ると、パンドロは嬉しそうに微笑んで部屋着を脱いだのだった。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺💖💞💞💞💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works