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    綾崎寝台

    @kopa382

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    綾崎寝台

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    Sky小説。
    うちの子ヂュリ助と、さーもんさん @salmon_0_2 とこのナギちゃんの出会いのお話。メル君も居るよ!

    創作だけど実録ネタやらなんやら込み込み。

    軽く広い気持ちで読んで頂けたらなぁと。

    友情出演でベルさん宅のトルク君 @lionbell_gm も名前だけ居ます。(前話繋がり)



    書いてて、ご○んですよが食べたくなった。

    空と海の星の子その日は、自分は自身の目指すものを明確に意識し、自分だけの鳴き声を得た日だった。しかし、まだ名前も決めてない自分は短いポニテールをぴこぴこと揺らしながら捨てられた地を飛んでいた。

    転生した後の世界は、以前は見えなかった精霊があちこちにいて、最初は気が付かなかったものに目移りしつつも、飛んだり跳ねたり暗黒竜に見つかったりしながら元気に砂地を進み、目的地である神殿の前にたどり着いた。



    そこで、その星の子は突然現れた。

    神殿の開閉スイッチであるダイヤに光を当てて起動し、それに寄せられてやって来た暗黒竜から逃げようと、てちてちと裸足で跳ねながら神殿へ入ろうとした所、唐突にその星の子が背後に現れたので面食らったのだ。

    その星の子は見ず知らずの星の子の筈なのに、初めから姿が見えていた。
    通常、星の子同士は互いのキャンドルの灯火を触れ合わさせたり、光を失った星の子に光を分け与えたりしない限り、互いの姿は黒い影法師状態で見えない筈なのだ。
    しかし、現にこうして見えている。

    前にこの星の子と会ったことあった?いやでもこの姿に見覚えはない。でも……
    わからない。わからない。

    混乱を抱えつつも、暗黒竜から逃れる為に一先ず神殿内へと駆け込んでいく。
    あとからプアプアと声を荒げて件の星の子もついてきた。

    格子扉が降りた安全な神殿の中で改めて相手を観察すると、素敵なケープや服や装飾を身に纏っていた。自分よりずっと先に生まれた星の子なのだろう。
    黄色を基調とした花冠と、雪のような白いケープ、お面のない閉じた瞼の素顔と、星の子にしては少し明るい茶の肌が印象的だ。

    そして、空と海の気配。

    それと…なぜだかどこか知ってるようで、知らないような、そんな気がする。

    その星の子の観察と、視界端の光の子をとりたい欲求の狭間で葛藤していると、目の前の星の子が話しかけてきた。

    「︙︙はじめまして?おちびちゃん」
    「はじめ、まして」

    この世界に生まれて、初めて言葉を交わした。

    星の子の使命である精霊や光の翼を天に還す焦燥感のある本能の声とも違う、女とも男とも聞こえる優しい声だ。

    穏やかにゆっくりとその星の子は語りかけてくる。

    「ごめんなさい。びっくりしましたよね?急に来たから」
    「︙うん、後ろに突然出てきた︙」
    「ぼくも驚きました…星座盤から飛んだ瞬間、暗黒竜と目が合ったので」
    「せいざばん?」
    「ええと︙、ホームの島と言えばわかりますか?その島にある…精霊にエモートをもらったりする事のできる…そこの大精霊の祈り場のところにあるやつに似てるものなのですが︙」
    「︙わかんない。使ったことないと思う」
    「あらら︙そうですか」
    「わかんなくて、ごめんなさい︙」
    「いいんですよ。物の名前や使い方はゆっくり覚えていけばいいんです」

    きっと星の子にとって当たり前だろう言葉がわからなくて意気消沈する自分を、初対面だろうにぽんぽんと撫でて慰めてくれた。

    この星の子はきっと優しい部類の星の子なのだろう。
    以前会ったことのある星の子は、暗黒竜の視線を擦り付けてきて自分だけ飛んで逃げたり、雨宿りで休憩していると背負ったアイテムでつついて雨の中に押し出してきたりと、ロクな事をしてこなかった星の子も居た。

    …嫌な事を思い出して気が落ち込みそうになるのを、一つ前の雪降るエリアで覚えたその場でくるくると回る感情表現で誤魔化す。

    と、目の前の相手が固まった。

    「︙えっ︙そのエモート︙、もしかしなくても暴風域︙原罪は」
    「行った!何あそこ!なんで一人で頑張ってたどり着いたのに頭に赤い石ぶつけてくるの!?鬼!悪魔!暗黒竜!!!」
    「︙︙︙一人で、ですか?」
    「うん。途中まで一緒だった星の子、風と石に飛ばされて居なくなっちゃったから」
    「Oh︙」

    ヂュッヂュ!と主張する自分の言葉に、閉じた瞼の星の子は驚いているようだった。

    そんなに変な事なのだろうか?使命に急かされたのは確かだが、次の景色や見たことないものに惹かれて突き進んだだけなのに。

    「すごいですね。たった一人でそこまでいけたなんて。
    暗黒竜もたくさん居て怖かったでしょう?」
    「ううん、隠れたらすぐ見失ってくれるから怖くなかった。
    それよりもぷるぷるする赤い石と︙ご○んですよみたいな黒い水のが嫌い!」
    「ごはん○すよ。」

    これ!と神殿の中にもある黒い水を足先でつつく。少し前に痛い目に遭ったばかりなので、慎重に深さを確かめてから触らないと怖い。
    いや、怖くない。何でも全然平気な強い星の子になるのだから。怖くなんかないのだ。︙︙︙なんだかちょっと不安になるだけだ。

    一人で勝手に色々考えていると、瞼を閉じた星の子がどこか楽しそうに声をかけてきた。

    「あの、もし良かったら一緒にパン焼きに行きませんか?」
    「ぱん?食べるのー?」
    「残念ながら食べないんですよ。焼くんです」
    「焼く︙?」

    脳裏にふわふわとした小麦の香ばしい食べ物が浮かんだが、食べられないようだ。パン焼きと呼ぶからには作る方なのだろうか?

    「よくわかんないけど、連れてって下さい!」
    「いいですよ〜」

    差し出された手を見て、きょとんと瞼の閉じた星の子を見上げた。

    これは、握ってよいということなのだろうか?

    不安げに、そっと伸ばされた手に触れて、ぎこちなく握った。
    優しく握り返してくれた手のひらは、キャンドルの灯りによく似ていて、ほのかに温かい光の流れを感じた。

    「︙他の人の手、握るの初めて︙」
    「あら?お友達は?」
    「いないよー。生まれてからさっきまで一人だったの」
    「じゃあ、ぼくが初めてのお友達ですね」
    「︙︙お友達︙なの?
    お友達って、なぁに?」

    ぱちりと瞬きをして、きっと初歩的な質問をした。

    わからないのだ。
    一人で苦しい思いをして原罪までの道のりを踏破したらしい自分は、友達というものがどんなものかイメージがつかなかった。

    んー…、と手を引いた星の子は少しばかり思案すると、ほんの少しの含みを持たせて笑った。

    「一緒に居て楽しい仲間の事、ですかね?」
    「ふぅん︙?」
    「さ、行きますよ。パン焼きの時間に遅れます」
    「パン焼くのに時間あるんだー???」
    「あるんですよ〜」

    その星の子がホームと呼ぶ拠点の島に帰ると、背の高い星の子が苛ついた様子で仁王立ちしていて、ぎょっとした。

    その星の子は木の枝のように先の分かれた角の生えた嘴の長い鳥の面を被っていて、少しくたびれた暗色のケープを身に着けていた。 

    「ナギ!また急にどこへ行ってたんだ!…なんか雀拾ってるしよ」
    「ちゃんと言いつけ通り待っててくれましたね。メルは偉いです」
    「人の話を聞け!」

    ︙よく分からないが、この二人は知り合いのようだ。
    話の流れからして、背の高い方がメル、自分と手を繋いでいる瞼を閉じた方がナギなのだろう。

    星座盤に新しい星があったのでつい…とかナギがメルに説明しているが、自分はメルの方が気になっていた。

    「あの︙大丈夫ー?」
    「?なにがだよ?」
    「とっても痛そうだよー」
    「︙何だ、それ」
    「︙それは︙︙あなたから見て、メルがどういう感じなのか、もう少し教えて貰えますか?」
    「んー︙んーとね︙うまく言えないけど︙︙あっちこっちひび割れてて痛そーなの︙たくさん痛い目に遭ったの?」

    何となく、直感だが、そう思った。

    無理矢理繋いでいるのか、運良く形を保ってるのか。
    強いて言うなら、草原に点在する年月を経た朽ちかけの今にも壊れそうな壺に似た、痛々しい感覚を立派で体格の良い筈のメルという星の子に覚えたのだ。

    だけど、生まれて間もない自分はそれをうまく言葉では表現できないで、唸る事しか出来ないでいた。

    その時、カーンコーンと赤黒い光を湛えた門の上の鐘が鳴った。
    すると、思案に耽っていたナギがはっとしたように叫んだ。

    「パン!パン焼きの時間ですよ!メルおんぶ!乗って!」
    「え、ちょ、」
    「そっちのあなたはボクの手に捕まってて下さいね〜」
    「お?お??おー???」
    「ナギ待て!せめて俺も手繋ぎで︙︙あああぁぁ︙︙!」

    ナギは素早く身長差のあるメルを担ぎ上げたかと思うと一瞬の間に投げ上げ、肩車の体勢へと移行していた。
    見た目に反してナギは非常に力持ちらしい。

    明らかに細くて背の低い星の子が上背のある大柄な星の子を肩車しているというシュールな図に感心する間もなく、ナギは自分の手をしっかりと握って雨林の門へと突っ込んで行った。

    その後も楽しかった。

    初めての手を繋いだキャリーに興奮したり、星の子と手を繋ぐと互いの灯りのおかげてケープエナジーが減りにい事を発見したり、なぜか凄まじく弾むパンに着火するとキャンドルの種火に変わったりと、新しい事まみれだった。

    なにより、そういう新しい出来事にリアクションしてくれる『友達』という存在がとても嬉しかった。

    ナギの上で「下ろして…」とお面の顔を隠しながらぐったり主張するメルなんか気にならない程に、胸の核がワクワクして熱くて仕方ない。

    「ナギさんナギさんナギさーん!」
    「なんですか?」
    「楽しいね!これがお友達なんだね!これからもよろしくね!」
    「うふふ︙ええ、そうですね
    よろしくお願いします。かわいいおちびちゃん」

    本当は『かわいいおちびちゃん』呼びは不本意だった。
    でも、ほんわりとした空気感で優しく微笑みかけてくるナギなら、かっこいいものを目指している自分を『かわいい』と言っても仕方ない気がした。



    こうして、自分が初めて声を得た日は、初めての素敵な友達が出来た日にもなったのだった。





    あれからしばらくは月日が経ち、自分はリサイズ魔法で大きく育ち、憧れの逆立つ髪型と切れ長の目の仮面を付けた。
    そして『ヂュリ助』と、誰からも自分だとわかりやすい名前を名乗った。
    この名前のせいもあるようだが、ネーヴ曰く黙ってれば性別を男性だと自然に思われる程度の外観と性格であるらしい。

    でも、自分の見た目が変わっても、ナギさんは相変わらずだった。

    「ヂュリちゃん、今日はどこの『裏』に行くの?」
    「めっちゃワクワクしながら聞いてくるぅ〜。
    メル君胃痛になっちゃうよー?」
    「メルは大切な相棒ですが、そこに関しては手遅れですので問題ありません。ぼくが面白い事優先です」
    「うちのネーヴも同じだから問題ないね!」
    「そうです。無問題です」
    「ひどーい。自分もだけど」

    サクサクお互いのパートナーをひどい扱いをしつつ、サクサクと峡谷の雪を踏みしめる。
    そんな風に、今日も今日とて二人で面白い『裏』の話をする。

    どうにも、自分は『裏』と呼ばれる本来星の子が入るべきでない場所に落ちやすい体質らしい。
    しかし、そういう場所こそ珍しいものや変なものも多く、変わったことが大好きなナギさんに相談したところ、大いに興味を示された。
    今では、時間のあるときに一緒に『裏』練り歩く事もしばしばだ。

    「︙︙︙そういえば、初めてあった頃のおちびちゃんは、ぼくについてどう感じてたんですか?」
    「今はおちびじゃないもん。
    えと︙︙説明したこと無かったっけー?」
    「話したのはメルだけでしたよ。あれはあれで興味深い話でしたが。で、ぼくは、どうなんです?」
    「えー︙ナギ、さんはねー︙︙」

    雀だった昔はともかく、今も少ない自分のボキャブラリーで表現できる『空と海』だけではナギさんは満足しないだろう。何か良い方法は︙︙︙︙︙あ、そうだ。

    「ナギさん、ナギさん。
    お手手貸して」
    「? はい、どうぞ」

    伸ばされた手をきゅっと握る。自分が成長してしまったからあの日と比べて小さく感じるが、変わらない少し明るい肌色の温かな手だった。

    その手を引いたまま、自分は『違和感』を感じる地面を力を込めて『踏み抜いた』―――

    「―――!!!」

    ナギさんが突然の事に思わず普段閉じていた瞼を開いて、すり抜けた地面の下の『空』をその本人とそっくりの色の虹彩に映し出す。

    ああ、滅多に見ないけど、やっぱり綺麗な色だなぁ。そんな事を見えない水に二人して着水しながら思った。

    バシャン!︙、︙︙ごぽぽ︙っ

    音と水の感触を頼りに水面から顔を出した。それと同時に、自分はさっきの問いの答えをナギさんに元気いっぱい投げつけた。

    「ナギさんは!こんな感じだよー!!!」

    明け方のような夕暮れのような淡い色合いの一面の『空』の中、ぷかぷかと見えない水に浮いていたナギさんは少し唖然としていたようだが、破顔して嬉しそうにしていた。

    「︙本当に、おちびちゃんは可愛くて面白いですね!」

    「だからー!今はおちびじゃないもーん!
    でもありがとー!
    …あ、こっちに変な物あった気がするからついでに見にいこー!
    Sky王国不思議発見ーッ」

    「ヂュリちゃん速いですって、待って下さーい」



    黄色の花冠、白いケープ、閉じた瞼、明るい肌の色。

    そんな初めてのお友達は、優しくて、素敵で、楽しい事を振りまいてくれる、今日もこれからも大切な仲間なのである。















    オマケ

    「あ、そーだ!ナギさん昔、自分にトルク君の事で嘘吹き込んだでしょ!?初対面の時むっちゃ怒ってたんだけど!?」
    「何一つ嘘はついてないんですが……ていうかやはり素直に喋ったんですねぇ」
    「あと、なんでトルク君踏んだり、上で回るの?踏むなっていつもトルク君怒ってるよ?」
    「︙ぼくが回りたい時に、彼がボクの下に来るんですよ」
    「来るのー!?…よくわかんないけど、来るなら仕方ないね︙手加減︙足加減?してね︙」
    「そういうものです。
    彼が気持ち良いように踏む加減はバッチリですので、ご心配なく」
    「そんなツボ押すみたいなやつなのー???やっぱりナギさんはすごいね!」
    「ヂュリちゃんもトル君の上で回っていいですよ?」
    「いいんだ!?うーん、わかったー︙?」

    今日もこれからも、初めての友達から一部の星の子の扱いに嘘を吹き込まれていくのに、まったく気が付かないアホのヂュリ助であった。


    本当に了
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